計算問題は「捨て問」にしない方がいい
愛玩動物看護師国家試験では、薬用量・輸液・エネルギー要求量など、体重をもとに数値を求める計算問題がほぼ毎年出題される。文章題に苦手意識を持つ受験生は多いが、出題パターンはかなり限られており、公式さえ押さえれば得点源にしやすい分野でもある。焦って自己流の暗算に走ると単位換算でミスしやすいため、まずは「何を求める式か」を理解してから数値を当てはめる順番で練習するのがコツ。
薬用量計算(mg/kg)の基本
最も出題頻度が高いのが「体重〇kgの動物に、〇mg/kgの薬を投与する。必要量は何mgか」というタイプ。考え方はシンプルで、投与量(mg/kg) × 体重(kg) = 総投与量(mg)。さらに「その薬剤は1mLあたり〇mg」という濃度が与えられ、総投与量(mg) ÷ 濃度(mg/mL) = 投与量(mL) まで求めさせる2段階の設問も多い。単位(mg・mL・kg)を書き出しながら計算すると、どこで割ってどこで掛けるかを迷いにくくなる。
輸液の滴下数計算
輸液の滴下数計算は「1分間に何滴落とせばよいか」を求める問題。基本式は次のとおり。1分間の滴下数(滴/分) = 総輸液量(mL) × 輸液セットの滴下係数(滴/mL) ÷ 投与時間(分)。輸液セットには一般用(1mL≒20滴)と小動物・微量用(1mL≒60滴)があり、動物看護の現場では体格が小さく流量も少ないため60滴/mLのセットを使う場面が多い。例: 体重4kgのネコに1日100mL/kgで24時間かけて投与する場合、総輸液量は400mL。60滴/mLのセットなら、総滴下数は400×60=24,000滴、投与時間は24時間=1,440分なので、24,000÷1,440で約16.7滴/分となる。「投与時間」を時間のままにせず分に直してから割る、という順番を崩さないことがミスを防ぐ最大のポイント。
エネルギー要求量(RER・DER)の計算
もう一つの定番が、安静時エネルギー要求量(RER)と1日のエネルギー要求量(DER)を求める問題。RERの正式な計算式は「RER(kcal/日) = 70 × 体重(kg)^0.75」だが、これは電卓が要る指数計算になるため、体重2〜30kg程度の一般的な犬猫では「RER(kcal/日) = 30 × 体重(kg) + 70」という簡易式(一次式)で近似できる。国試の計算問題ではどちらの式を使うか問題文で指定されることが多いので、両方の存在を知っておき、問題文の指示に従うのが確実。DERはRERに、ライフステージや状態(成犬・避妊去勢済み・肥満傾向など)に応じた係数をかけて求める:DER = RER × 係数。たとえば体重5kgのネコのRERは30×5+70=220kcal/日。避妊・去勢済み成猫の係数を1.2とすればDERは220×1.2=264kcal/日、という流れになる。係数は問題文で必ず与えられるので、暗記すべきは「RERを先に出してから係数をかける」という手順そのもの。
体表面積(BSA)を使う投与量計算もある
抗がん剤など一部の薬剤は、体重ではなく体表面積(BSA)を基準に投与量を決める。これは犬猫の代謝が体重よりも体表面積と相関しやすいため。実務では換算式を暗算するのではなく、あらかじめ用意された体重→体表面積の早見表(換算表)を使うのが一般的で、試験でも表や換算値が与えられたうえで「その先の投与量計算」を問う形式が中心になる。計算問題全般に言えることだが、公式そのものより「どの数値をどう当てはめるか」の練習量がものを言う分野。
計算問題の練習の仕方
計算問題は解法パターンが限られているぶん、数をこなすほど本番でのスピードが上がりやすい。本サイトの過去問には計算問題も含まれているので、同じ形式の問題を繰り返し解いて、単位換算の手順を体に覚えさせるのがおすすめ。間違えた問題は「どの段階でミスしたか(式を間違えたのか、単位換算を間違えたのか)」を切り分けて復習すると、同じミスを繰り返しにくくなる。