人と動物の絆(One Health・動物介在活動)

人と動物は古くから深い関わりをもち、互いに影響し合って暮らしてきた。人と動物の絆、動物介在活動・療法・教育、補助犬などの使役動物、人・動物・環境の健康をひとつと考える One Health、そして共生を支える看護の役割までを、図ではなく文章で読んで理解する。

1人と動物の関係(ヒューマン・アニマル・ボンド)

人と動物の心のつながりをヒューマン・アニマル・ボンド(人と動物の絆)という。伴侶動物(コンパニオンアニマル)は家族の一員として、人の心身に良い影響(癒やし・運動・社会的つながり)をもたらす。

人と動物の絆(ヒューマン・アニマル・ボンド)の図。人と伴侶動物(コンパニオンアニマル)の心のつながりが絆であり、癒やし・安心、散歩などの運動、人どうしの会話のきっかけといった社会的なつながりを通じて、動物は人の心と体の健康に良い影響を与える。

人と動物は、狩猟の助けや家畜として、また家族として、長い歴史の中で深く関わってきた。

人と動物の間に育まれる心のつながりを、ヒューマン・アニマル・ボンド(人と動物の絆)という。

現代では、イヌやネコなどは『ペット』を超えて、生活をともにする伴侶動物(コンパニオンアニマル)、家族の一員として位置づけられるようになっている。

動物とふれあうことは、人にとって癒やしや安心をもたらし、散歩などを通じた運動、人どうしの会話のきっかけといった社会的なつながりにもつながる。

このように、動物は人の心と体の健康に良い影響を与える存在である。

2動物介在活動・療法・教育

動物の力を活かす取り組みには、ふれあいによる動物介在活動(AAA)、医療・リハビリの一環として目標をもって行う動物介在療法(AAT)、教育に活かす動物介在教育(AAE)がある。いずれも動物福祉への配慮が前提。

動物が人にもたらす良い効果を、福祉や医療・教育に活かす取り組みがある。

動物介在活動(AAA)は、施設の訪問などで動物とふれあい、生活の質を高めたり楽しみを提供したりする活動である。

動物介在療法(AAT)は、医療やリハビリテーションの一環として、専門家が治療の目標を立てて行うもので、たとえば体や心の機能の回復を助ける。

動物介在教育(AAE)は、学校などで命の大切さや思いやりを学ぶ教育に動物を活かすものである。

これらはいずれも、関わる動物自身に無理やストレスがかからないよう、動物福祉への十分な配慮が大前提となる。

3使役動物・補助犬

人の役に立つ働きをする使役動物には、警察犬・災害救助犬などがある。身体の不自由な人を助ける補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)は身体障害者補助犬法で定められ、社会で受け入れる仕組みがある。

動物の中には、人の役に立つ働きを担う使役動物がいる。

においを追う能力を活かした警察犬や、被災地で人を探す災害救助犬などがその例である。

身体の不自由な人の生活を助ける犬は補助犬と呼ばれ、目の不自由な人を導く盲導犬、肢体の不自由な人を助ける介助犬、耳の不自由な人に音を知らせる聴導犬がある。

これらは身体障害者補助犬法によって定められており、公共施設や店舗などで受け入れることが求められている。

使役動物・補助犬についても、その健康と福祉、引退後の生活への配慮が重要である。

4One Health(人・動物・環境の健康はひとつ)

One Health は、人の健康・動物の健康・環境の健全さは互いに深くつながっており、ひとつとして考えるべきだという理念。人獣共通感染症や薬剤耐性菌の問題などで、医療・獣医療・環境分野の連携が重要になる。

One Health(ワンヘルス)の概念図。人の健康・動物の健康・環境の健全さは切り離せず重なり合っており、その中心がOne Health。人獣共通感染症(ズーノーシス)、抗菌薬の使いすぎで生じる薬剤耐性菌、環境汚染・気候変化などは分野をまたぐ問題で、医師・獣医師・看護職・行政・環境の専門家が連携して取り組む。動物看護師もその担い手の一人。

One Health(ワンヘルス)とは、人の健康、動物の健康、そして環境の健全さは切り離せず、互いに深く関わり合っているという考え方である。

たとえば、動物から人へうつる人獣共通感染症(ズーノーシス)は、人だけ、動物だけを見ていては防げない。

また、抗菌薬を使いすぎることで生まれる薬剤耐性菌は、人医療・獣医療・畜産・環境にまたがる問題である。

環境の汚染や気候の変化も、人と動物双方の健康に影響する。

こうした課題に対しては、医師・獣医師・看護職・行政・環境の専門家などが分野を超えて連携することが必要であり、獣医療に関わる動物看護師も One Health の担い手の一人である。

5共生と看護の役割

人と動物が良い関係で共に暮らすには、適正飼養の啓発、最後まで責任をもって飼う終生飼養、動物福祉と人の幸福の両立が欠かせない。動物看護師は飼い主と動物、社会をつなぐ橋渡し役を担う。

人と動物が幸せに共に暮らす(共生する)ためには、社会全体での取り組みが必要である。

正しい飼い方を広める適正飼養の啓発、迎えた動物を最後まで責任をもって飼う終生飼養は、その基本である。

動物の福祉(動物が心身ともに良好であること)と、人の幸福の両方を大切にし、両立させていく視点が求められる。

動物看護師は、診療の現場で動物のケアにあたるだけでなく、飼い主に正しい知識を伝え、動物と人、そして社会をつなぐ橋渡し役を担う。

人と動物の絆を支え、よりよい共生の社会をつくることに、動物看護の専門職として貢献していくことが期待されている。