脊椎・骨盤・脊柱靭帯の構造

脊椎は頸椎(C)・胸椎(T)・腰椎(L)・仙椎(S)・尾椎に区分される。犬はC7・T13・L7・S3。椎骨は椎体・椎弓・棘突起・横突起からなる。骨盤は仙骨+寛骨(腸骨・恥骨・坐骨)+尾骨で構成。仙骨と腸骨は仙腸関節で強固に結合。脊柱靭帯は前縦靭帯(椎体前方の安定)・後縦靭帯・黄色靭帯・棘間靭帯などがある。

1脊椎の区分と椎骨数(犬・ネコ)

脊椎は頸椎(C)・胸椎(T)・腰椎(L)・仙椎(S)・尾椎の5区分。犬はC7・T13・L7・S3、尾椎は個体差あり(約20〜23)。ネコはC7・T13・L7・S3で犬とほぼ同数(尾椎はやや多め)。頸椎7はほぼすべての哺乳類共通。

イヌの脊柱を頭側から尾側へ頸椎(C7)・胸椎(T13)・腰椎(L7)・仙椎(S3)・尾椎(約20〜23)の5区分に並べ、帯の幅を椎骨数に比例させた図。ネコもC7・T13・L7・S3で同数だが尾椎はやや多い。

脊椎(척柱・せきちゅう)は頭蓋骨から尾まで続く骨の連なりで、5つの区分に分けられる。

頸椎(けいつい)は英語でCervical=C。

首の部分の椎骨。

胸椎(きょうつい)は英語でThoracic=T。

肋骨が付く胸の部分。

腰椎(ようつい)は英語でLumbar=L。

腰の部分。

仙椎(せんつい)は英語でSacral=S。

仙骨を形成する椎骨(融合している)。

尾椎(びつい)は尻尾の部分。

個体差が大きい。

イヌ(犬)の椎骨数:頸椎7・胸椎13・腰椎7・仙椎3。

尾椎は約20〜23(品種による差あり)。

ネコ(猫)の椎骨数:頸椎7・胸椎13・腰椎7・仙椎3で犬と同数。

尾椎はやや多め(約20〜26)。

頸椎が7つというのはキリンもヒトも含めほぼすべての哺乳類に共通する(例外:ナマケモノは6または9)。

胸椎の数は肋骨の対数と等しく、犬・ネコはどちらも13対の肋骨をもつ。

第1頸椎(C1)は環椎(かんつい・アトラス)、第2頸椎(C2)は軸椎(じくつい・アキシス)と特別な名前をもち、頭の回転や前後の動きに関わる。

2椎骨の構造(椎体・椎弓・突起)

椎骨は椎体(前方の円柱形・荷重を負担)+椎弓(後方のアーチ・脊柱管を形成して脊髄を保護)+棘突起(後方に突出・触れる「背骨の出っ張り」)+横突起(左右に突出・筋肉の付着)からなる。椎体と椎体の間には椎間板(ゼラチン状の髄核+線維輪)がある。

1つの椎骨(ついこつ)は以下の部分からなる。

椎体(ついたい):椎骨の前方(腹側)にある円柱形の部分で、体重の荷重を支える主要な構造。

上下の椎体の間には椎間板が挟まれる。

椎弓(ついきゅう):椎体の後方(背側)にあるアーチ状の骨で、椎体と合わさって脊柱管(せきちゅうかん)という管状の空間を形成し、中を通る脊髄を保護する。

棘突起(きょくとっき):椎弓の正中後方(背中側)に突き出た突起で、皮膚の上から触れる「背骨の出っ張り」の正体。

筋肉や靭帯の付着点となる。

横突起(おうとっき):椎弓の左右に突き出た突起で、筋肉・靭帯の付着点となる。

胸椎では肋骨と関節(肋椎関節)を形成する。

椎間孔(ついかんこう):隣り合う椎骨の椎弓の間にある穴で、脊髄神経(脊髄から出る神経根)が通る。

椎間板ヘルニアや骨増殖(骨棘)で狭窄すると神経が圧迫され痛み・麻痺が起こる。

椎間板(ついかんばん):隣り合う椎体の間にある軟骨性のクッション。

ゼラチン状の髄核(ずいかく)を線維輪(せんいりん)が取り囲む構造。

変性・逸脱すると椎間板ヘルニアとなり脊髄を圧迫する。

3骨盤の構成:仙骨・寛骨(腸骨・恥骨・坐骨)・尾骨

骨盤は仙骨(ざいこつ)+左右の寛骨(かんこつ)+尾骨で構成。寛骨は腸骨・恥骨・坐骨の3骨が融合したもの。仙骨と腸骨は仙腸関節(せんちょうかんせつ)で強固に結合する。左右の恥骨は恥骨結合で正中線上に結合する。

骨盤(こつばん)は脊柱下端と後肢をつなぐ骨格で、内臓(膀胱・直腸・生殖器)を保護し体重を後肢に伝える役割をもつ。

骨盤を構成する骨は以下のとおり。

仙骨(せんこつ):仙椎(S1〜S3)が融合した骨で、骨盤の後部中央を占める。

寛骨(かんこつ):左右それぞれ1つずつある大きな骨で、腸骨・恥骨・坐骨の3つが成長に伴い融合したもの。

腸骨(ちょうこつ):寛骨の上後部を占める翼状の骨で、仙骨と仙腸関節を形成する。

触診で骨盤の外形として触れる「腰の出っ張り」は腸骨翼(ちょうこつよく)。

恥骨(ちこつ):寛骨の前下部。

左右の恥骨は正中線上で恥骨結合(軟骨性の関節)により結合される。

坐骨(ざこつ):寛骨の後下部。

動物が座るときに地面に触れる部位(ヒトのお尻のゴツゴツした部分)。

尾骨(びこつ):尾椎の最後尾(ヒトでは痕跡的)。

3骨(腸骨・恥骨・坐骨)が合わさる部分(アセタブラム)が寛骨臼(かんこつきゅう)を形成し、大腿骨頭がはまって股関節を構成する。

仙腸関節(せんちょうかんせつ)は仙骨と腸骨の間の関節で、強固な靭帯で補強されほとんど動きがない。

体重を脊柱から後肢に伝える重要な結合部。

4脊柱靭帯(前縦靭帯・後縦靭帯・黄色靭帯・棘間靭帯)

前縦靭帯は椎体の前面を上下に走る靭帯で、脊椎の過度な後屈を防ぎ前方への安定性を担う。後縦靭帯は椎体の後面(脊柱管内)を走る靭帯で、椎間板の後方突出を一部制限するが前縦靭帯より幅が狭く薄い。黄色靭帯は椎弓間を結ぶ弾性に富む靭帯。棘間靭帯は棘突起間を結ぶ。

脊柱を安定させる靭帯には主に以下のものがある。

前縦靭帯(ぜんじゅうじんたい):椎体の前面(腹側)を頭から尾まで上下に走る長い靭帯。

椎体が前方(腹側)に過度にずれる(前方への変位)を防ぎ、脊椎を安定させる。

前縦靭帯は幅が広く強力な靭帯である。

後縦靭帯(こうじゅうじんたい):椎体の後面(背側・脊柱管内)を上下に走る靭帯。

前縦靭帯より幅が狭く薄い。

椎間板の後方への突出を一部制限するが、制動力は前縦靭帯より弱い。

黄色靭帯(きいろじんたい・フラバム靭帯):上下の椎弓板(椎弓の板状の部分)の間を結ぶ靭帯で、弾性線維を多く含む弾力性に富む靭帯である。

脊柱管の後壁を形成し、脊髄を保護する。

肥厚すると脊柱管が狭くなり脊髄圧迫が起こる(脊柱管狭窄症)。

棘間靭帯(きょくかんじんたい):上下の棘突起の間を結ぶ靭帯。

脊椎の過度な屈曲(前屈)を制限する。

棘上靭帯(きょくじょうじんたい):棘突起の先端を上下につなぐ靭帯。

頸部では特に発達して項靭帯(うなじ靭帯)と呼ばれ、大型草食動物では頭を支えるのに重要。

椎間板ヘルニアでは、変性した椎間板の髄核が後縦靭帯を突き破るか押し広げて脊柱管内に突出し、脊髄や神経根を圧迫する。

5全身骨格の概要と主要な骨

頭骨(頭蓋骨:脳を保護・顔面骨)、胸郭(胸骨+肋骨+胸椎:心肺を保護)、前肢(肩甲骨・上腕骨・橈骨・尺骨・手根骨・中手骨・趾骨)、後肢(大腿骨・脛骨・腓骨・足根骨・中足骨・趾骨)が主要な骨格。

全身骨格は大きく体軸骨格(頭骨・脊椎・胸郭)と付属骨格(四肢・骨盤帯・肩帯)に分けられる。

頭骨(頭蓋骨):脳を収める脳頭蓋と顔面を形成する顔面頭蓋からなる。

頭蓋底の大後頭孔から脊髄が延髄につながる。

胸郭(きょうかく):胸骨(正中前胸部)+肋骨(左右13対)+胸椎(T1〜T13)で構成されるカゴ状の構造で、心臓と肺を保護する。

前肢:肩甲骨(肩)→上腕骨→橈骨(内側)+尺骨(外側)→手根骨(手首)→中手骨→趾骨(指)の順に構成される。

後肢:大腿骨(もも)→脛骨(すね内側)+腓骨(すね外側)→足根骨(かかと・タルサル)→中足骨→趾骨(指)の順。

犬の後肢の脛骨と腓骨は並走し、足根骨(踵骨・距骨など)の上に位置する。

肩甲骨は前肢と体幹をつなぐ骨で、犬は鎖骨がないため肩甲骨は筋肉のみで体幹に固定されており(筋肉性固定)、前肢の衝撃吸収に有利。

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