繁殖の実際(妊娠・分娩・新生子ケア)

妊娠から出産、生まれた子の世話までの実際を学ぶ。妊娠の確認と妊娠中の管理、分娩の経過、難産の見分け方、新生子のケア、そして母体と子の健康管理までを、図ではなく文章で読んで理解する。図解レッスン「イヌ・ネコの繁殖」と対をなす実践編である。

1交配から妊娠の確認

妊娠期間はイヌ・ネコとも約63日(約2か月)。妊娠診断は超音波(早期)、腹部触診、後期のX線(胎子数の確認)などで行う。妊娠後期は栄養の必要量が増えるため、食事を調整する。

交配から約63日の妊娠期間を経て分娩へ至る流れと、早期の超音波検査・腹部触診・後期のX線検査(頭数確認)という妊娠診断の時期を示す。妊娠後期には栄養を段階的に調整する。

繁殖は、発情期の交配から始まる。

イヌ・ネコの妊娠期間はおよそ63日(約2か月)である。

妊娠しているかどうかは、超音波検査(比較的早い時期に胎子の心拍などを確認できる)、おなかを触る触診、妊娠後期のX線検査(胎子の骨が写るようになり、頭数の確認に役立つ)などで調べる。

妊娠の後半になると胎子が大きく育ち、必要なエネルギーや栄養が増えるため、食事の量や内容を段階的に調整する。

妊娠中は、過度な運動やストレス、薬の使用に注意し、母体の体調を整えることが大切である。

2分娩の経過

分娩が近づくと体温が下がり(直腸温の低下)、巣作り行動や落ち着かない様子がみられる。分娩は、陣痛と産道の準備が進む第1期、子を産み出す第2期、胎盤が出る第3期に分かれ、複数頭を順に出産する。

分娩(出産)が近づくと、いくつかの兆候が現れる。

分娩の少し前に直腸温(体温)が一時的に下がること、巣作りのような行動、落ち着かずそわそわする、食欲が落ちるといった様子がみられる。

分娩は大きく3つの段階に分けられる。

第1期は、陣痛が始まり産道(子宮頸管)が開いていく準備の時期で、外からは落ち着かない様子として見える。

第2期は、いきみとともに子を産み出す時期である。

第3期は、子に続いて胎盤が排出される時期である。

イヌ・ネコは複数頭を産むため、第2期と第3期を繰り返しながら、子を1頭ずつ順に出産していく。

3難産の見分け方

強い陣痛が続くのに子が出てこない、緑色や血の混じった分泌物が出て子が続かない、出産の間隔が長すぎる、ひどく苦しむなどは難産のサイン。短頭種・小型犬・高齢・胎子が大きいなどはリスクが高く、緊急受診や帝王切開が必要なことがある。

出産は無事に進むことが多いが、難産になることもあり、見分けることが重要である。

次のような場合は難産が疑われ、早急な受診が必要である。

強い陣痛やいきみが続いているのに子が出てこない、緑色や血の混じった分泌物が出たのに子が生まれてこない、1頭目は産まれたのに次までの間隔が長すぎる、母親がひどく苦しんでぐったりしている、などである。

難産は母子ともに危険で、状況によっては帝王切開などの処置が必要になる。

短頭種や小型犬、高齢の初産、胎子が大きすぎる・頭数が少なく一頭が大きい場合などはリスクが高いため、あらかじめ注意し、出産予定日を把握しておくことが助言につながる。

4新生子のケア

生まれた子は、呼吸の開始、へその緒の処理、保温が重要。新生子は体温調節が未熟で低体温・低血糖・脱水に弱い。生後すぐの初乳には移行抗体が含まれ、しっかり飲ませることが感染防御に役立つ。

生まれたばかりの子(新生子)のケアでは、いくつかの点が重要になる。

まず、生まれた子が自分で呼吸を始めることが大切で、母親が羊膜を破り体をなめて刺激することで呼吸や血行が促される。

うまくいかないときは人が手助けする。

へその緒の処理や、体を乾かして保温することも必要である。

新生子は体温を自分で保つ力が未熟で、低体温・低血糖・脱水に非常に弱いため、暖かい環境を保つことが欠かせない。

また、生後すぐの母乳(初乳)には、感染から子を守る移行抗体が多く含まれており、早い時期にしっかり飲ませることが、その後の感染防御にとって重要である。

5母体と子の健康管理・看護

産後の母体では授乳期の低カルシウムによる子癇(産褥テタニー、小型犬に多い)や乳腺炎に注意。子では体重が増えず衰弱する新生子の不調に注意する。母乳が不十分なら人工哺乳(排泄の刺激も必要)を行い、社会化期の関わりも大切。

出産後は、母体と子の両方の健康管理が必要である。

母体では、授乳によって多くのカルシウムが使われるため、血中カルシウムが急に不足してけいれんを起こす子癇(産褥テタニー)に注意する(とくに小型犬で多い)。

また、乳腺が炎症を起こす乳腺炎などにも気をつける。

子では、体重が順調に増えているかを確認し、体重が増えず元気や哺乳力が落ちて衰弱していく不調(新生子の衰弱)に早く気づくことが大切である。

母乳が足りない・母親が育児をしない場合は、適切なミルクでの人工哺乳を行う。

新生子は自力で排泄できないことがあり、母親が会陰部をなめて促すように、人工哺乳では排泄を刺激してやる必要がある。

生後数週間は社会化期にあたり、やさしく触れるなどの関わりがその後の性格にも影響する。