循環障害―充血・うっ血・虚血・梗塞と心不全

血液の流れの異常を、動脈血が増える「充血」、静脈血が滞る「うっ血」、血液供給が途絶える「虚血・梗塞」に整理して理解する。さらに、うっ血の代表的な原因である右心不全(全身のうっ血)と左心不全(肺うっ血・肺水腫)を、図ではなく文章で読んで学ぶ。

1充血とうっ血のちがい

充血は細動脈や毛細血管が広がって動脈血の流入が増えた『能動的』な状態で、炎症・熱・運動などで起こる。うっ血は静脈血の流出が妨げられて静脈血が異常に溜まる『受動的』な状態で、心不全や静脈血栓で起こる。

循環障害の全体像。血液が「たまる」側=充血(能動的・動脈血流入↑)とうっ血(受動的・静脈血の滞留)、「足りない」側=虚血(供給途絶)→梗塞(組織の壊死)。うっ血の主因である心不全は、右心不全=全身のうっ血(手足のむくみ・肝腫大・腹水)、左心不全=肺うっ血・肺水腫(咳・呼吸困難)と部位が異なる。

血液量が局所で増える状態には、充血とうっ血の二つがあり、入ってくる血か出ていけない血かで区別する。

充血は、細動脈や毛細血管が広がって動脈血の流入が増えた状態で、能動的に血が集まる。

局所の炎症や熱(熱中症など)、運動した筋肉などでみられ、鮮やかな赤色で温かいのが特徴である。

一方うっ血は、体のある部分に静脈の血が異常に多く溜まった状態で、静脈血の流出が妨げられて受動的に起こる。

血液の流れがせき止められたり、心臓の動きが弱まったときに生じ、暗い赤色(チアノーゼ)で、むくみを伴いやすい。

2うっ血の原因と影響

うっ血は、血液の流れが妨げられたり心臓の動きが弱まったときに起こる。代表的な原因は心不全と静脈内血栓。静脈血が滞ると、その手前の組織がむくみ、長く続くと臓器の機能が落ちる。

うっ血は、静脈血がうまく心臓へ戻れずに溜まることで起こる。

原因としては、心臓のポンプ機能が弱る心不全や、静脈の中に血のかたまりができる静脈内血栓などが代表的である。

静脈血が滞ると、その手前の組織に水分がしみ出してむくみ(浮腫)が生じ、酸素や栄養の供給も悪くなる。

うっ血が長く続くと、その臓器の機能が低下していく。

たとえば肝臓に慢性的なうっ血が起こると、肝臓が腫れて働きが落ちる。

3虚血と梗塞

虚血は組織への血液供給が途絶えた状態で、動脈内血栓・塞栓などで起こる。供給が途絶えたままだとその組織は死んでしまい(壊死)、これを梗塞という。心筋梗塞・脳梗塞が代表例。

虚血は、組織への血液(とくに動脈血)の供給が途絶えた状態である。

動脈の中に血のかたまりが詰まる動脈内血栓や、流れてきた塞栓が血管をふさぐことで起こる。

酸素や栄養が届かなくなるため、その部分の組織は機能を失う。

血液供給が途絶えた状態が続くと、その組織は死んでしまい(壊死)、この状態を梗塞という。

心臓の筋肉が壊死する心筋梗塞、脳の組織が壊死する脳梗塞が代表例である。

うっ血が『出ていけない静脈血が溜まる』のに対し、虚血は『入ってくる動脈血が途絶える』点で対照的である。

4右心不全―全身のうっ血

右心は全身から戻ってきた静脈血を受け取り肺へ送り出す。右心不全ではこの働きが落ち、全身から心臓への静脈血の還流が滞る。その結果、手足のむくみ・肝腫大(肝うっ血)・腹水などがみられる。

心臓の右側(右心系)は、全身から戻ってきた静脈血を受け取り、肺へ送り出す役割を担っている。

右心不全では、肺へ送り出されなかった静脈血が右心系にたまり、全身から心臓への静脈血の還流(戻り)が滞る。

そのため、全身の静脈系にうっ血が起こり、手足のむくみ(浮腫)、肝臓のうっ血による肝腫大、おなかに水がたまる腹水などがみられる。

これらはいずれも、全身の静脈血が心臓へ戻れずに溜まった結果として現れる症状である。

5左心不全―肺うっ血・肺水腫

左心は肺から戻った動脈血を大動脈へ送り出す。左心不全ではこの働きが落ち、肺に血液がうっ滞して肺うっ血・肺水腫を起こす。咳や呼吸困難の原因になる。

心臓の左側(左心系)は、肺から戻ってきた酸素を含む血液を、大動脈を通して全身へ送り出す役割を担っている。

左心不全では、大動脈へ送り出されなかった血液が左心系にたまり、その手前にあたる肺に影響が出る。

肺の血管に血液がうっ滞して肺うっ血となり、さらに進むと肺に水分がしみ出す肺水腫を起こす。

肺水腫になると、咳や呼吸困難がみられ、緊急の対応が必要になることがある。

右心不全が全身のうっ血(むくみ・腹水)を、左心不全が肺のうっ血(肺水腫)を起こす、という対比で覚えるとよい。

理解できたら腕試し!
このテーマの確認テスト