水溶性ビタミンの詳細(B群とC)

水溶性ビタミンはビタミンB群とビタミンCで、尿に排泄されるため体にためておけず不足しやすい。B群は代謝を助ける補酵素で、B1(チアミン)=糖質の代謝、B3(ナイアシン)=糖質・脂質・タンパク質(三大栄養素)の代謝、B6=アミノ酸代謝と皮膚・粘膜の維持、B7(ビオチン)=皮膚・被毛、B9(葉酸)とB12(コバラミン)=造血に関わり、葉酸・B12が欠乏すると貧血になる。ビタミンCはコラーゲン合成・抗酸化に関わり、欠乏すると血管がもろくなり出血する壊血病になる。ヒト・サル・モルモットはビタミンCを合成できないが、イヌ・ネコはブドウ糖から体内で合成できる。

1水溶性ビタミンの基礎

水溶性ビタミンはビタミンB群(B1・B2・B3・B5・B6・B7・B9・B12)とビタミンCの仲間。水に溶け、余分は尿に排泄されるため体にためておけず、不足しやすい一方で過剰症は起こりにくい。B群の多くは代謝を進める『補酵素』としてはたらく。

水溶性ビタミンであるビタミンB群とビタミンCについて、おもなはたらき(多くは代謝を助ける補酵素)と欠乏症をまとめた一覧。葉酸(B9)とB12は造血に関わり欠乏すると貧血、ビタミンCは欠乏すると壊血病になる(「—」は本文に欠乏症の記載がないもの)。

ビタミンは、水への溶けやすさで『脂溶性』と『水溶性』に分けられる。

水溶性ビタミンは、ビタミンB群とビタミンCの仲間である。

水溶性ビタミンは、余分にとっても尿に排泄されて体にためておけないため、こまめに摂取する必要があり、不足しやすい。

その反面、過剰症は起こりにくい。

ビタミンB群は、体内のさまざまな化学反応(代謝)を進める『補酵素(酵素のはたらきを助ける物質)』として作用し、エネルギーづくり・皮膚や粘膜の維持・造血などを支える。

ビタミンB群には、B1・B2・B3(ナイアシン)・B5(パントテン酸)・B6・B7(ビオチン)・B9(葉酸)・B12があり、それぞれ役割が異なる。

2エネルギー代謝に関わるB群(B1・B2・B3・B5)

B1(チアミン)は糖質(炭水化物)をエネルギーに変える代謝に重要で、神経のはたらきにも関わる(ネコの生魚多給はチアミナーゼでB1欠乏)。B3(ナイアシン)は糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素すべての代謝に関わる。B2はエネルギー代謝と皮膚・粘膜の維持、B5(パントテン酸)はコエンザイムAの成分として代謝に関わる。

【ビタミンB1(チアミン)】糖質(炭水化物)をエネルギーに変える代謝の補酵素で、神経の機能にも重要。

欠乏すると神経症状(ふらつき・けいれんなど)が出る。

ネコでは、生の魚を多く与え続けると、魚に含まれるチアミナーゼという酵素がB1を分解して欠乏を招く。

【ビタミンB2(リボフラビン)】エネルギー代謝(酸化還元反応)の補酵素として働き、皮膚・粘膜の健康や発育を支える。

体内の酸化還元(抗酸化)のしくみにも関わる。

【ビタミンB3(ナイアシン)】糖質・脂質・タンパク質という三大栄養素すべてのエネルギー代謝に関わる重要なビタミン。

ネコはトリプトファン(アミノ酸)からのナイアシン合成が不十分で、食事からの摂取がより重要になる。

【ビタミンB5(パントテン酸)】補酵素A(コエンザイムA)の成分として、糖質・脂質などの代謝に幅広く関わる。

3アミノ酸・皮膚・被毛に関わるB群(B6・B7)

B6(ピリドキシン)はアミノ酸(タンパク質)の代謝の補酵素で、皮膚・粘膜の維持やヘモグロビン合成にも関わる。B7(ビオチン)は糖新生や脂肪酸合成のカルボキシラーゼの補酵素で、皮膚・被毛を正常に保つのに重要(生卵白のアビジンが結合して欠乏を起こすことがある)。

【ビタミンB6(ピリドキシン)】おもにアミノ酸(タンパク質)の代謝を進める補酵素としてはたらく。

皮膚・粘膜の維持や、赤血球のヘモグロビン合成にも関わる。

【ビタミンB7(ビオチン)】糖新生(糖をつくる)や脂肪酸合成などに関わるカルボキシラーゼという酵素の補酵素で、糖・脂質・アミノ酸の代謝を支える。

皮膚や被毛(毛づや)を正常に保つのに重要なビタミンとして知られる。

生の卵白に含まれる『アビジン』というタンパク質はビオチンと強く結合して吸収を妨げるため、生卵白を多く与え続けるとビオチン欠乏(皮膚炎・脱毛など)を起こすことがある。

4造血に関わるB群(B9葉酸・B12コバラミン)

ビタミンB9(葉酸)とビタミンB12(コバラミン)は、細胞の核酸合成と造血(赤血球づくり)に関わる。どちらも欠乏すると、赤血球がうまく作れず『貧血(巨赤芽球性貧血)』になる。B12は吸収に内因子が必要で、神経の機能にも関わる。

【ビタミンB9(葉酸)】細胞分裂に必要な核酸(DNA)の合成や、赤血球をつくる造血に関わる。

欠乏すると赤血球が正常に作れず貧血になる。

【ビタミンB12(コバラミン)】葉酸とともに核酸合成・造血に関わり、神経の機能にも重要。

欠乏すると貧血や神経症状が出る。

葉酸とビタミンB12は、どちらも『造血』に深く関わるため、不足すると赤血球が大きく未熟なまま作られる『巨赤芽球性貧血』を起こす点が共通する。

『B9(葉酸)とB12は造血に関わり、欠乏すると貧血になる』とセットで覚えるとよい。

5ビタミンC(壊血病と動物による合成能の違い)

ビタミンCはコラーゲンの合成や抗酸化に関わる。欠乏すると、血管や組織がもろくなって出血する『壊血病』になる。ヒト・サル・モルモットは体内でビタミンCを合成できず食事から摂る必要があるが、イヌ・ネコはブドウ糖から体内でビタミンCを合成できる。

ビタミンC(アスコルビン酸)は、コラーゲン(体を支える線維状のタンパク質)の合成に必要で、抗酸化作用ももつ水溶性ビタミンである。

ビタミンCが欠乏すると、コラーゲンがうまく作れず血管や組織がもろくなり、歯ぐきや皮下などから出血する『壊血病(かいけつびょう)』になる。

ビタミンCを体内で合成できるかどうかは動物の種類によって異なる。

ヒト・サル(霊長類)・モルモットは、合成に必要な酵素を欠くため体内で作れず、食事から必ず摂取しなければならない。

一方、イヌ・ネコは、体内でブドウ糖(グルコース)を材料にビタミンCを合成できるため、健康であれば必ずしも食事から補う必要はない。

『ヒト・サル・モルモットは作れない/イヌ・ネコはブドウ糖から作れる』という違いは、栄養学の重要ポイントである。

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