ビタミンのはたらきと欠乏症

ビタミンは、エネルギーにはならないが体の調子を整えるのに欠かせない栄養素である。脂溶性(A・D・E・K)と水溶性(B群・C)の違いから、それぞれの働き・欠乏症、そしてイヌ・ネコならではの注意点までを、図ではなく文章で読んで理解する。

1ビタミンの基礎(脂溶性と水溶性)

ビタミンは微量で体の調子を整える栄養素。脂溶性(A・D・E・K)は体に蓄積し過剰症に注意、水溶性(B群・C)は尿に排泄され不足しやすい。

ビタミンを脂溶性(A・D・E・K)と水溶性(B群・C)に分け、代表的な欠乏症を対比した一覧表。脂溶性は蓄積するため過剰症に、水溶性は尿へ排泄されるため不足に注意する。

ビタミンは、三大栄養素(糖質・タンパク質・脂質)のようにエネルギー源にはならないが、ごく微量で体の代謝や機能を支える、なくてはならない栄養素である。

ビタミンは水への溶けやすさから、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに大きく分けられる。

脂溶性ビタミンはA・D・E・Kの4つで、脂肪や肝臓に蓄えられるため、不足しにくい一方で与えすぎると過剰症を起こすことがある。

水溶性ビタミンはビタミンB群とビタミンCで、余分は尿に排泄されるため体内にためておけず、不足しやすい反面、過剰症は起こりにくい。

『脂溶性=ためられる・過剰症に注意、水溶性=ためられない・不足に注意』という対比をまず押さえる。

2ビタミンA(脂溶性)

ビタミンAは視覚(網膜の光受容)・皮膚や粘膜・成長に関与。欠乏で夜盲症や皮膚・粘膜の異常。ネコはβ-カロテンをビタミンAに変換できず、食事からの摂取が必須。

ビタミンA(レチノール)は、目の網膜で光を受け取る色素の材料になり、暗い所での視覚に関わる。

また皮膚や粘膜を健康に保ち、成長や免疫にも関与する。

不足すると、暗い場所で物が見えにくくなる夜盲症や、皮膚・粘膜の乾燥や異常が起こる。

脂溶性のため過剰にも注意が必要で、レバーなどの与えすぎは骨の異常などの過剰症につながることがある。

イヌは植物に含まれるβ-カロテンを体内でビタミンAに変換できるが、ネコはこの変換ができないため、ビタミンA(レチノール)そのものを動物性の食事から摂る必要がある点が重要である。

3ビタミンD(脂溶性)

ビタミンDはカルシウムとリンの吸収・骨代謝を助ける。欠乏で幼齢ではくる病、成獣では骨軟化症。イヌ・ネコは皮膚での合成が乏しく、食事から摂る必要がある。

ビタミンDは、腸でのカルシウムとリンの吸収を助け、骨を丈夫に保つはたらきをもつ。

不足すると骨の形成がうまくいかず、成長期の動物では骨が変形するくる病、成獣では骨がもろくなる骨軟化症を起こす。

ヒトは日光(紫外線)を浴びることで皮膚でビタミンDをある程度つくれるが、イヌ・ネコは皮膚での合成能力が低い。

そのため、イヌ・ネコは食事からビタミンDを摂ることが欠かせない。

一方で脂溶性のため過剰症もあり、ビタミンDを含む殺鼠剤の誤食などでは高カルシウム血症を起こす中毒となることがある。

4ビタミンE・K(脂溶性)

ビタミンEは抗酸化作用で細胞を守る(欠乏で黄色脂肪症など)。ビタミンKは血液凝固因子の合成に必要で、不足や殺鼠剤(ワルファリン)中毒で出血傾向を起こす。

ビタミンEは強い抗酸化作用をもち、細胞膜を酸化から守る。

不足すると、とくに不飽和脂肪酸を多く含む食事に偏った場合などに、脂肪が酸化して炎症を起こす黄色脂肪症(イエローファット)や筋肉の障害がみられることがある。

ビタミンKは、血液を固める凝固因子をつくるために必要なビタミンである。

そのため不足すると血が止まりにくくなり、出血傾向が現れる。

ワルファリンなどの殺鼠剤はビタミンKのはたらきを妨げるため、誤食すると重い出血を起こす中毒となり、治療にはビタミンKの投与が行われる。

5ビタミンB群(水溶性)

ビタミンB群は代謝を助ける補酵素として働く水溶性ビタミン。B1(チアミン)は糖代謝・神経に重要で、ネコの生魚多給はチアミナーゼによりB1欠乏(神経症状)を起こす。

ビタミンB群は、B1・B2・B6・B12・ナイアシン・葉酸などをまとめた呼び名で、いずれも水溶性ビタミンである。

これらは体内のさまざまな代謝を進める補酵素としてはたらき、エネルギーづくりや神経の機能、造血などを支える。

なかでもビタミンB1(チアミン)は、糖(炭水化物)の代謝と神経のはたらきに重要で、不足すると神経症状(ふらつき・けいれんなど)を起こす。

ネコでは、生の魚を多く与え続けると、魚に含まれるチアミナーゼという酵素がビタミンB1を分解し、B1欠乏症を招くことが知られている。

また、ビタミンB12(コバラミン)は造血や神経に関わるなど、B群はそれぞれ重要な役割を担っている。

6ビタミンC(水溶性)

ビタミンCは抗酸化作用やコラーゲン合成に関わる水溶性ビタミン。イヌ・ネコは体内で合成できるため、ヒトやモルモットと違い必ずしも食事から摂る必要はない。

ビタミンCは抗酸化作用をもち、コラーゲンの合成などにも関わる水溶性ビタミンである。

ヒトやモルモットはビタミンCを体内でつくることができないため、食事から必ず摂取する必要がある。

しかしイヌ・ネコは体内(肝臓)でビタミンCを合成できるため、健康な状態であれば、必ずしも食事から補う必要はない。

このように、同じビタミンでも『食事から摂る必要があるかどうか』は動物の種類によって異なる点が、栄養を学ぶうえで大切なポイントになる。

総合栄養食はこうした種ごとの必要量を満たすようつくられているため、主食として適切に与えることが基本である。

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