ミネラルのはたらき(Ca・P・Na・K・鉄・亜鉛…)

ミネラル(無機質)は、骨や歯をつくり、体液のバランスを保ち、酵素やホルモンの材料になる栄養素である。多量ミネラルと微量ミネラルの違いから、カルシウム・リン・ナトリウム・カリウム・鉄・亜鉛などの働きと過不足の注意点までを、図ではなく文章で読んで理解する。

1ミネラルの基礎(多量ミネラルと微量ミネラル)

ミネラルは体の構成・体液の調節・酵素やホルモンの材料になる。比較的多く必要な多量ミネラル(Ca・P・Na・K など)と、ごく少量でよい微量ミネラル(鉄・亜鉛・銅・ヨウ素など)に分かれる。

ミネラルの3つのはたらき(体をつくる材料・体液や酸塩基の調節・酵素やホルモンの材料)と、必要量による多量ミネラル(Ca・P・Na・K・Mg)と微量ミネラル(Fe・Zn・Cu・I・Se)への分類をまとめた図。

ミネラル(無機質)は、ビタミンと同じくエネルギー源にはならないが、体の働きに欠かせない栄養素である。

その役割は大きく、骨や歯など体をつくる材料になること、体液の量や浸透圧・酸塩基のバランスを整えること、酵素やホルモンの材料・補助になることの3つにまとめられる。

ミネラルは必要量の多さから、比較的多く必要な多量ミネラル(カルシウム・リン・ナトリウム・カリウム・マグネシウムなど)と、ごく少量でよい微量ミネラル(鉄・亜鉛・銅・ヨウ素・セレンなど)に分けられる。

微量ミネラルは少しでよい反面、過剰になると害になることもあり、量のバランスが重要である。

2カルシウムとリン(Ca・P)

カルシウムとリンは骨・歯の主成分。CaはP とのバランス(比)が重要で、肉ばかりの食事(高リン低カルシウム)は骨を弱くする。出産前後のメスでは低カルシウムによる子癇(しかん)に注意。

カルシウム(Ca)とリン(P)は、骨や歯の主成分となる代表的なミネラルである。

カルシウムは骨・歯をつくるほか、筋肉の収縮、神経の伝達、血液の凝固にも関わる。

リンはエネルギー(ATP)や核酸(DNA)の材料としても重要である。

この2つは体内でのバランス(カルシウムとリンの比)が大切で、肉ばかりを与える食事はリンが多くカルシウムが不足しがちになる。

その状態が続くと、体は骨からカルシウムを取り出して補おうとし、骨がもろくなる栄養性の二次性上皮小体機能亢進症を招くことがある。

また、出産前後のメスでは血液中のカルシウムが急に不足し、けいれんなどを起こす子癇(産褥テタニー)がみられることがある。

3ナトリウムとカリウム(Na・K)

ナトリウムとカリウムは体液量・浸透圧・神経や筋肉の働きを保つ。Naは主に細胞外、Kは主に細胞内に多い。心臓病では塩分(Na)制限、嘔吐下痢・腎不全・尿道閉塞ではカリウム異常(高カリウムは不整脈・致死的)に注意。

ナトリウム(Na)とカリウム(K)は、体液の量や浸透圧を保ち、神経や筋肉が正しく働くために重要なミネラルである。

ナトリウムは主に細胞の外(血液など)に、カリウムは主に細胞の中に多く存在し、この差が神経の伝達や筋肉の収縮を支えている。

ナトリウム(塩分)のとりすぎは体液量を増やして心臓に負担をかけるため、心臓病では塩分を控えた療法食が用いられる。

カリウムは過不足のどちらも危険で、激しい嘔吐や下痢では失われて低下し、腎不全や雄ネコの尿道閉塞では排泄されずに高カリウム血症となる。

高カリウム血症は重い不整脈を起こし命に関わるため、これらの病態は緊急的な管理を要する。

4鉄(Fe)

鉄は赤血球のヘモグロビンの材料で、酸素運搬に不可欠。不足すると鉄欠乏性貧血になる。慢性的な出血やノミの大量寄生、急成長する子犬・子猫などで不足しやすい。

鉄(Fe)は、赤血球の中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料になる、微量ミネラルの代表である。

鉄が不足するとヘモグロビンを十分につくれず、酸素を運ぶ力が落ちて鉄欠乏性貧血となる。

原因としては、消化管などからの慢性的な出血、ノミの大量寄生による吸血、急速に成長して鉄の必要量が多い子犬・子猫などがある。

貧血では粘膜が白っぽくなり、元気がなくなる・疲れやすいといったサインがみられる。

鉄は不足が問題になりやすい一方、サプリメントなどで過剰に与えると害になることもあるため、適量が大切である。

5微量ミネラル(亜鉛・銅・ヨウ素・セレンなど)

亜鉛は皮膚・被毛・免疫(欠乏で皮膚炎)、銅は鉄の利用や被毛の色、ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料、セレンは抗酸化(ビタミンEと協調)に関わる。いずれもごく微量でよい。

微量ミネラルは必要量こそ少ないが、それぞれ重要な役割をもつ。

亜鉛(Zn)は皮膚や被毛の健康、免疫、多くの酵素の働きに関わり、不足すると皮膚炎や被毛の異常が現れる。

銅(Cu)は鉄の利用を助けて造血に関わり、被毛の色素にも関係する。

ヨウ素(I)は甲状腺ホルモンの材料であり、過不足は甲状腺の働きの異常につながる。

セレン(Se)は抗酸化作用をもち、ビタミンEと協力して細胞を酸化から守る。

これらはわずかな量でよいため、与えすぎはかえって中毒や過剰症の原因になる点に注意する。

6ミネラルの過不足と食事管理

ミネラルは不足だけでなく過剰も害になり、ミネラルどうしのバランスも重要。総合栄養食はこれらが調整されており、手作り食やサプリの自己流の追加はバランスを崩しやすい。

ミネラルは『多ければよい』というものではなく、不足も過剰も体に害を及ぼす。

さらに、カルシウムとリンのように、ミネラルどうしのバランスが崩れると一方の働きが妨げられることもある。

総合栄養食は、こうした各ミネラルの必要量とバランスが満たされるよう設計されているため、主食として適切に与えることが基本になる。

一方、手作り食では特定のミネラルが不足・過剰になりやすく、サプリメントを自己判断で足すとバランスを崩す危険がある。

ミネラルの管理は、適切なフード選びと、獣医師の指導のもとでの調整が大切である。

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