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基礎動物学

三大栄養素の消化と働き(炭水化物・タンパク質・脂質)

エネルギー源となる三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)を、エネルギー量・消化酵素による分解の流れ・最終産物・働きから整理する。炭水化物はブドウ糖に、タンパク質はアミノ酸に、脂質は脂肪酸とグリセリンに分解される。犬・猫は唾液アミラーゼを持たず、デンプンの消化は膵アミラーゼから始まる点も学ぶ。

1三大栄養素とエネルギー量

要点エネルギー源となる三大栄養素は、炭水化物・タンパク質・脂質。1gあたりのエネルギー量は、炭水化物(糖質)と タンパク質が約4kcal、脂質が約9kcalで、脂質は糖質・タンパク質の約2倍のエネルギーをもつ。

炭水化物・タンパク質・脂質を、1gあたりのエネルギー量(約4・約4・約9kcal)と消化の最終産物・特徴で対比した図。脂質だけが約9kcalで糖質・タンパク質の約2倍のエネルギーをもつ。

体を動かすエネルギー源となる栄養素を三大栄養素といい、炭水化物・タンパク質・脂質の3つである。

それぞれ1gあたりのエネルギー量が決まっており、炭水化物(糖質)とタンパク質は約4kcal、脂質は約9kcalである。

つまり脂質は、同じ重さで糖質・タンパク質の約2倍のエネルギーをもつ、効率のよいエネルギー源である。

これらは消化酵素によって、それぞれ吸収できる最小単位まで分解されてから吸収される。

なお、これらにビタミン・ミネラルを加えたものが五大栄養素である(ミネラルの詳細は別に学ぶ)。

2炭水化物の消化(→ブドウ糖)

要点炭水化物は、エネルギーになる糖質と、消化されにくい食物繊維に分けられる。デンプンはアミラーゼで分解され、最終的にブドウ糖になって吸収される。重要:犬・猫は唾液アミラーゼを持たず、デンプンの消化は膵アミラーゼから始まる(ヒトは唾液アミラーゼをもつ)。

炭水化物は、エネルギー源になる糖質と、消化されにくい食物繊維に分けられる。

糖質の代表であるデンプンは、アミラーゼという酵素で分解され、二糖類を経て、最終的にブドウ糖(グルコース)になって小腸から吸収される。

ここで重要なのが種による違いで、ヒトは唾液にアミラーゼを含むが、犬・猫は唾液アミラーゼを持たない。

そのため犬・猫では、デンプンの消化は口の中では進まず、膵臓から出る膵アミラーゼ(膵液)によって小腸で始まる。

糖質の種類には、ブドウ糖・果糖などの単糖類、しょ糖(蔗糖)などの二糖類がある。

糖質を過剰に摂取するとエネルギーが余って肥満の原因になり、また、しょ糖などの糖は口腔内の細菌に利用されて有機酸(酸性)を作り、歯を溶かして虫歯(う蝕)の原因になる。

3タンパク質の消化(→アミノ酸)

要点タンパク質は、胃のペプシンでポリペプチドに分解され、膵液のトリプシン(キモトリプシン)やペプチダーゼでさらに小さなペプチドになり、小腸のジペプチダーゼなどで最終的にアミノ酸まで分解されて吸収される。

タンパク質は、多数のアミノ酸がつながってできており、消化酵素によって段階的にアミノ酸まで分解される。

まず胃では、胃液に含まれるペプシンによって、タンパク質が大きく切られてポリペプチドになる。

次に膵液に含まれるトリプシンやキモトリプシン、ペプチダーゼによって、より小さなペプチドに分解される。

最後に小腸の粘膜にあるジペプチダーゼなどによって、最終的にアミノ酸まで分解され、小腸から吸収される。

『ペプシン → トリプシンなど → ジペプチダーゼ → アミノ酸』という流れで覚えるとよい。

4脂質の消化と働き(→脂肪酸+グリセリン)

要点脂質は、膵液のリパーゼによって脂肪酸とグリセリンに分解されて吸収される。脂質は効率のよいエネルギー源であるほか、脂溶性ビタミン(D・A・K・E)の吸収を助け、体温の保持・内臓の保護、ステロイドホルモンやプロスタグランジンの材料、細胞膜や神経の構成などに関わる。

脂質(脂肪)は、脂肪酸とグリセリンが結合したもので、消化では膵液に含まれるリパーゼによって、脂肪酸とグリセリンに分解されて吸収される。

脂質の働きは多彩である。

効率のよいエネルギー源になるほか、脂溶性ビタミン(D・A・K・E=『ダケ』)の吸収を助ける。

また、皮下脂肪として体温を保ち、内臓を支え・保護し、ステロイドホルモン(アルドステロンなどの副腎皮質ホルモンや性ホルモン)やプロスタグランジンの材料になり、細胞膜や脳・神経の構成成分にもなる。

なお、糖質が不足したときなどに脂肪酸が分解されてできるのがケトン体で、エネルギー源として使われるが、増えすぎると体が酸性に傾く(ケトアシドーシス)。

5脂肪酸の種類と必須脂肪酸・脂肪を制限する病気

要点脂肪を分解してできる脂肪酸は、飽和脂肪酸(常温で固体・動物性脂肪に多い)と不飽和脂肪酸(常温で液体・植物油や魚油に多い)に分かれ、不飽和脂肪酸はさらに一価と多価に分かれる。必須脂肪酸の多くは多価不飽和脂肪酸で、犬はリノール酸、猫はリノール酸に加えてアラキドン酸も食事から必要。膵炎・高脂血症・胆嚢粘液嚢腫などでは脂肪を制限する。

脂肪(中性脂肪)は、グリセリンに脂肪酸が結合したもので、消化されると脂肪酸とグリセリンに分かれる。

脂肪酸は、構造の中に二重結合をもたない『飽和脂肪酸』と、二重結合をもつ『不飽和脂肪酸』に分けられる。

飽和脂肪酸は常温で固体のものが多く、牛脂やラードなど動物性の脂肪に多い。

不飽和脂肪酸は常温で液体のものが多く、植物油や魚油に多い。

不飽和脂肪酸は、二重結合が1つの『一価不飽和脂肪酸』(オレイン酸など)と、2つ以上の『多価不飽和脂肪酸』(リノール酸・α-リノレン酸・アラキドン酸・EPA・DHAなど)に分かれる。

体内で合成できず食事からとる必要がある脂肪酸を必須脂肪酸といい、その多くは多価不飽和脂肪酸である。

犬はリノール酸とα-リノレン酸が必須で、アラキドン酸はリノール酸から体内でつくれる。

猫はリノール酸からアラキドン酸をつくる力が弱いため、リノール酸・α-リノレン酸に加えてアラキドン酸も食事から必要になる。

アラキドン酸は動物性の脂肪に含まれるため、猫が肉食動物であることとも関係している。

一方、脂肪は消化に膵液のリパーゼや胆汁が必要で、血液中の脂質を増やすため、膵炎・高脂血症・胆嚢粘液嚢腫などの犬では食事の脂肪を積極的に制限する。

6消化酵素と最終産物のまとめ

要点炭水化物(デンプン)はアミラーゼなどで『ブドウ糖』に、タンパク質はペプシン・トリプシンなどで『アミノ酸』に、脂質はリパーゼで『脂肪酸とグリセリン』に分解されて吸収される。栄養素ごとに担当の酵素と最終産物が決まっている。

三大栄養素の消化を、酵素と最終産物の対応で整理しておく。

炭水化物(デンプン)は、アミラーゼ→二糖類分解酵素(マルターゼなど)を経て、最終的にブドウ糖になる。

タンパク質は、ペプシン→トリプシン・ペプチダーゼ→ジペプチダーゼを経て、最終的にアミノ酸になる。

脂質は、リパーゼによって、脂肪酸とグリセリンになる。

『炭水化物→ブドウ糖』『タンパク質→アミノ酸』『脂質→脂肪酸+グリセリン』という最終産物の対応は、確実に覚えておきたい基本である。

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