必須アミノ酸と必須脂肪酸(栄養素の質と種差)

体内で十分に作れず、食事から摂る必要がある『必須栄養素』を学ぶ。必須アミノ酸はヒト9種・犬10種・猫11種で、猫はタウリンも必須。良質タンパク質と、タンパク質制限が必要な病気(慢性腎臓病・重度肝障害)。脂肪酸の飽和・不飽和の違いと、犬・猫で異なる必須脂肪酸(猫はアラキドン酸も必須)を、図ではなく文章で読んで学ぶ。

1五大・六大栄養素と必須栄養素

三大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)にビタミン・ミネラルを加えたものが五大栄養素、さらに水を加えると六大栄養素。体内で十分に作れず食事から摂る必要があるものを『必須栄養素』といい、必須アミノ酸・必須脂肪酸などがある。

必須栄養素は体内で十分に作れず食事から摂る必要がある栄養素で、代表は必須アミノ酸と必須脂肪酸。どの栄養素が必須かは種によって異なり、完全な肉食動物の猫は犬より多くの必須栄養素(タウリン・アラキドン酸)をもつ。

エネルギー源となる三大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)に、体の調子を整えるビタミンとミネラルを加えたものを五大栄養素という。

さらに、体の大部分を占め、さまざまな働きをする水を加えたものを六大栄養素という。

栄養素の中には、体内で十分に作ることができず、食事から摂らなければならないものがあり、これを『必須栄養素』という。

代表が、タンパク質を構成するアミノ酸のうちの必須アミノ酸と、脂質を構成する脂肪酸のうちの必須脂肪酸である。

どの栄養素が必須かは動物の種によって異なり、とくに完全な肉食動物である猫は、犬より多くの必須栄養素をもつ。

2必須アミノ酸(ヒト9・犬10・猫11)

必須アミノ酸の数は、ヒト9種・犬10種・猫11種。共通の9種(バリン・ロイシン・イソロイシン・トレオニン・メチオニン・リジン・フェニルアラニン・トリプトファン・ヒスチジン)に、犬はアルギニンが加わり10種、猫はさらにタウリンが加わり11種。

タンパク質をつくるアミノ酸のうち、体内で十分に合成できず食事から摂る必要があるものを必須アミノ酸という。

その数は動物で異なり、ヒトは9種、犬は10種、猫は11種である。

共通する9種は、バリン・ロイシン・イソロイシン・トレオニン(スレオニン)・メチオニン・リジン・フェニルアラニン・トリプトファン・ヒスチジンである。

犬は、これにアルギニンが加わって10種になる。

猫は、犬の10種にさらにタウリンが加わって11種になる。

タウリンは、犬はシステインなどから合成できるが、猫は合成できないため食事から摂る必要があり、不足すると拡張型心筋症や網膜変性(視力障害)を起こす。

猫にとって特に重要な必須栄養素である。

3タンパク質の質と、タンパク質制限が必要な病気

必須アミノ酸をバランスよく含むタンパク質を『良質なタンパク質』という。タンパク質を制限したいのは、慢性腎臓病や、重度の肝障害・肝性脳症(高アンモニア血症)のとき。慢性腎臓病では、量を抑えつつ良質なタンパク質を与える。

必須アミノ酸をバランスよく含み、消化・利用されやすいタンパク質を『良質なタンパク質』という。

一方、病気によっては、タンパク質を制限したほうがよい場合がある。

代表が慢性腎臓病(CKD)で、タンパク質の代謝で生じる老廃物が腎臓の負担になるため、タンパク質の量を制限する。

ただし減らしすぎると体が衰えるため、量を抑えつつ良質なタンパク質を与えるのがポイントである。

また、重度の肝障害や肝性脳症(高アンモニア血症)でも、タンパク質の分解で生じるアンモニアを処理しきれず症状が悪化するため、タンパク質を制限することがある。

『タンパク質を制限したい代表的な病気=慢性腎臓病・重度の肝障害(肝性脳症)』と覚えておく。

4脂肪酸の分類(飽和・不飽和)

脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられる。飽和脂肪酸は常温で固体になりやすく、動物性脂肪に多い。不飽和脂肪酸は常温で液体になりやすく、植物油や魚油に多い。不飽和脂肪酸には、オメガ3・オメガ6・オメガ9などの種類がある。

脂質を構成する脂肪酸は、構造の違いから飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられる。

飽和脂肪酸は、常温で固体になりやすく、肉の脂身やバターなどの動物性脂肪に多く含まれる。

不飽和脂肪酸は、常温で液体になりやすく、植物油や魚の油(魚油)に多く含まれる。

(『固体・動物性=飽和、液体・植物性=不飽和』と区別する。

)不飽和脂肪酸には、二重結合の位置によってオメガ3(n-3)・オメガ6(n-6)・オメガ9(n-9)などの種類があり、健康維持に関わる。

5必須脂肪酸(犬と猫の違い)

犬の必須脂肪酸はリノール酸(オメガ6)とα-リノレン酸(オメガ3)。猫はこれらに加えてアラキドン酸(オメガ6)も必須。猫はリノール酸からアラキドン酸を合成できないため、食事から摂る必要がある。

脂肪酸のうち、体内で十分に作れず食事から摂る必要があるものを必須脂肪酸という。

犬の必須脂肪酸は、リノール酸(オメガ6)とα-リノレン酸(オメガ3)である。

猫は、これらに加えてアラキドン酸(オメガ6)も必須脂肪酸である。

これは、犬はリノール酸からアラキドン酸を体内で合成できるのに対し、猫は合成できないため、食事から直接アラキドン酸を摂らなければならないからである。

アラキドン酸は動物性の脂肪に多く含まれるため、完全な肉食動物である猫の食性とも結びついている。

『猫はタウリンもアラキドン酸も必須=犬より多くの必須栄養素が必要』とまとめて理解しておくとよい。

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