高齢動物のケア(シニア)

イヌ・ネコは年をとるとともに体のさまざまな働きが衰え、かかりやすい病気も変わってくる。シニア期に入る目安と加齢の変化、多い病気、食事や生活環境の工夫、そして定期健診を中心とした健康管理までを、図ではなく文章で読んで理解する。

1加齢に伴う変化とシニア期の目安

シニア期の目安はおおむね7歳前後(大型犬はより早く、小型犬・猫はやや遅い傾向)。加齢とともに代謝や活動性が低下し、視覚・聴覚などの感覚や被毛・歯にも変化が現れる。

シニア期の目安(おおむね7歳前後で、大型犬は早め・小型犬やネコはやや遅め)と、加齢に伴う代謝・活動性、感覚、被毛、歯の主な変化を示す。

イヌ・ネコも年をとると、体のさまざまな働きが少しずつ衰えていく。

シニア(高齢)期に入る目安は、おおむね7歳前後とされることが多いが、体格によって差があり、大型犬は比較的早く、小型犬やネコはやや遅めにシニアを迎える傾向がある。

加齢に伴い、基礎代謝や活動性が低下し、寝ている時間が増える。

目が白っぽくなる・見えにくくなる、耳が聞こえにくくなるといった感覚の衰え、被毛のつやの低下や白髪、歯の問題なども現れやすくなる。

こうした変化は自然なものだが、病気のサインと見分けるためにも、ふだんの様子をよく知っておくことが大切である。

2シニアに多い病気

慢性腎臓病(特にネコ)、心臓病、関節炎(変形性関節症)、腫瘍、内分泌の病気(甲状腺・クッシング・糖尿病)、歯周病、認知機能不全(認知症)など、加齢とともに増える病気が多い。

高齢になると、かかりやすい病気が変わってくる。

ネコでは慢性腎臓病が非常に多く、多飲多尿や体重減少がサインになる。

イヌ・ネコともに、心臓病や、関節がすり減って痛む関節炎(変形性関節症)、各種の腫瘍が増える。

甲状腺の病気(ネコの機能亢進、イヌの機能低下)やクッシング症候群、糖尿病といった内分泌の病気も高齢で多い。

歯周病も年齢とともに進みやすい。

また、夜鳴き・徘徊・昼夜の逆転・トイレの失敗などがみられる認知機能不全(いわゆる認知症)も、高齢動物でみられるようになる。

3食事・栄養管理

消化や腎臓に配慮したシニア向けの食事に切り替え、体重管理(肥満も痩せすぎも避け、筋肉量の維持を意識)を行う。水分摂取を促し、病気があれば療法食を用いる。

シニア期は、食事・栄養の管理がより重要になる。

消化のしやすさや腎臓への負担に配慮した、年齢に合った食事(シニア用フード)への切り替えを検討する。

体重は、肥満も痩せすぎも問題で、肥満は関節や心臓の負担になり、逆に病気で痩せて筋肉が落ちることもあるため、体重と体型をこまめに確認する。

脱水を防ぐため、新鮮な水をいつでも飲めるようにし、水分の摂取を促す工夫も役立つ。

慢性腎臓病や心臓病などがある場合は、それぞれに合わせた療法食を、獣医師の指示のもとで用いる。

4生活環境の工夫

関節への配慮(段差を減らす・床の滑り止め)、暖かく快適な寝床(寝たきりでは床ずれ予防)、トイレへの行きやすさ、認知症への対応(安全確保・生活リズム)など、QOLを保つ環境づくりが大切。

高齢動物が快適に過ごせるよう、生活環境を見直すことも看護の一部である。

関節が弱った動物のために、段差にスロープをつける・滑りやすい床に滑り止めを敷くなど、足腰への負担やけがを減らす工夫をする。

暖かく柔らかい寝床を用意し、自分で動きにくい子では、床ずれ(褥瘡)を防ぐために体の向きを変えるなどの配慮をする。

トイレは行きやすい場所に置き、入りやすい高さにするなど、排泄の失敗を減らす工夫をする。

認知機能の低下がある場合は、ぶつかってけがをしないよう環境を整え、生活リズムを保つようにする。

こうした工夫は、高齢動物の生活の質(QOL)を保つうえで大切である。

5健康管理と看護

シニアは病気の進行が早いこともあり、定期健診(半年ごとなど)で早期発見を図る。体重・飲水量・食欲・排泄・元気の変化を日々観察し、投薬を管理する。終末期・看取りへの心構えも大切。

高齢期は、病気が静かに進んでいることもあるため、定期的な健康診断が特に重要である。

若いころより間隔を詰めて(半年ごとなど)健診を受けることで、病気の早期発見・早期対応につながる。

家庭では、体重・飲水量・食欲・排泄(量や回数、色)・元気や歩き方の変化など、日々の様子を観察して記録することが手がかりになる。

複数の病気をもち薬が増えることも多いため、投薬の管理や飼い主への説明も看護師の役割である。

また、加齢が進めば、いずれ終末期のケアや看取りに向き合うことになる。

苦痛をやわらげQOLを保つケアや、飼い主の気持ちに寄り添う姿勢も大切である。