X線写真の濃度と放射線防護

X線写真は、X線がよく通る(透過する)ところほど黒く、通りにくいところほど白く写る。空気→脂肪→水(軟部組織)→骨→金属の順に白くなる。あわせて、被ばくを減らす放射線防護の三原則(距離・遮蔽・時間)、防護衣や個人線量計、しきい線量のある確定的影響としきい線量のない確率的影響、散乱線を除くグリッドを整理する。

1X線の透過とX線写真の濃度

X線写真では、X線がよく通る(透過度が高い)ところほど黒く、通りにくい(透過度が低い)ところほど白く写る。白さ(濃度)の順は、空気→脂肪→水(軟部組織)→骨→金属で、金属がもっとも白い。

X線写真の濃度(白さ)の順を示した図。X線がよく通る(透過度が高い)空気がもっとも黒く、通りにくい金属がもっとも白く、空気→脂肪→水(軟部組織)→骨→金属の順に白くなる。

X線(レントゲン)写真は、体を通り抜けたX線の量の違いを白黒で表したものである。

X線がよく通り抜ける(透過度が高い)ところは黒く写り、通りにくい(透過度が低い、よく吸収する)ところは白く写る。

体の組織を、X線の通りにくさ(白く写る度合い=濃度)の順に並べると、空気 → 脂肪 → 水(軟部組織) → 骨 → 金属となり、空気がもっとも黒く、金属がもっとも白い。

ここで、肝臓・心臓・膀胱・筋肉などの臓器・軟部組織は、ほぼ『水』と同じ濃度(軟部組織濃度)でひとまとまりになる。

そのため、隣り合う軟部組織どうしは濃度が似ていて区別しにくく、造影剤を使って差をつけることがある(造影検査)。

『空気・脂肪・水(軟部)・骨・金属』の5段階の濃度を、黒い順/白い順に言えるようにしておくことが、X線写真を読む基本になる。

2放射線防護の三原則(距離・遮蔽・時間)

外部被ばくを減らす放射線防護の三原則は、距離・遮蔽・時間。①距離=放射線源から離れる、②遮蔽=線源と人の間に遮蔽物(鉛など)を置く、③時間=放射線を受ける時間を短くする。この3つで被ばくを最小限にする。

X線撮影などで放射線を扱うとき、人(撮影者・介助者)の被ばくをできるだけ減らすための基本が『放射線防護の三原則』である。

三原則は、距離・遮蔽・時間の3つである。

1つ目は『距離』で、放射線源からできるだけ離れること。

距離が離れるほど受ける放射線(線量率)は小さくなる。

2つ目は『遮蔽(しゃへい)』で、放射線源と人の間に、放射線を吸収する遮蔽物(鉛など)を置くこと。

防護衣やついたて、防護壁がこれにあたる。

3つ目は『時間』で、放射線を受ける(被ばくする)時間を短くすること。

手早く正確に作業し、不要な再撮影を避ける。

(『時間・距離・遮蔽(または距離・遮蔽・時間)』と、3つをセットで覚える。

)これらを組み合わせて、被ばくを最小限に抑えるのが放射線防護の考え方である。

3防護衣と個人線量計

撮影の介助では、鉛が入った防護衣(プロテクター)・甲状腺カラー・防護手袋を着けて被ばくを遮蔽する。被ばく線量を測る個人線量計は、原則として体幹(胸〜腹部)に着ける。妊娠の可能性がある女性は腹部(下腹部)に着けて胎児への被ばくを管理する。

放射線を扱う作業では、遮蔽のために鉛が入った防護衣(プロテクター)を着用する。

あわせて、甲状腺を守る甲状腺カラーや、手を守る防護手袋を使うこともある。

これらは放射線を吸収し、体への被ばくを減らす。

自分がどれだけ被ばくしたかを測る器具が『個人線量計(フィルムバッジ・ガラスバッジなど)』である。

原則として、体幹部(胸部〜腹部)に着けて、全身の被ばくを代表する線量を測る。

とくに、妊娠の可能性がある女性では、胎児(おなかの中)への被ばくを管理することが重要なため、腹部(下腹部)に線量計を着けて測定する。

(一般に、男性や妊娠の可能性がない人は胸部、妊娠の可能性がある女性は腹部、というように装着部位を考える。

)線量計で被ばく量を記録・管理し、限度を超えないようにすることも、放射線を扱う者の大切な務めである。

4確定的影響と確率的影響・しきい線量

放射線の人体影響には2種類。確定的影響は、しきい線量(これ以上で影響が出る境目の線量)があり、超えると必ず影響が出て線量とともに重くなる(脱毛・白内障・皮膚障害・不妊など)。確率的影響は、しきい線量がなく、線量に応じて発生する確率が増える(がん・白血病・遺伝性影響)。

放射線が人体に与える影響は、大きく『確定的影響』と『確率的影響』の2つに分けられる。

確定的影響は、『しきい線量(しきい値)』がある影響である。

しきい線量とは、これ以下なら影響が生じず、これを超えると影響が生じる、という境目の線量のことである。

しきい線量を超えると、被ばくした組織で細胞死や変性が起こり、必ず影響が現れて、線量が大きいほど症状も重くなる。

脱毛・白内障・皮膚障害・不妊などが確定的影響である。

確率的影響は、しきい線量がない(どんなに少ない線量でも可能性がゼロにはならない)とされる影響で、線量が大きいほど『発生する確率』が高まる。

がん・白血病・遺伝性影響(子孫への影響)がこれにあたる。

ポイントは、『確定的影響=しきい線量あり・超えると必ず出て重くなる(脱毛・白内障など)』『確率的影響=しきい線量なし・線量で確率が増える(がんなど)』という区別である。

だからこそ、被ばくはできるだけ少なくすること(防護の三原則)が大切になる。

5散乱線とグリッド

X線が体に当たると、向きを変えた『散乱線』が生じ、これがフィルム(受像面)に当たると画像がぼやけてコントラスト(白黒の差)が低下する。グリッドは、受像面の前に置いて散乱線を取り除き、画像のコントラストを改善する装置。看護では画質と被ばく低減の両立を支える。

X線写真を撮るとき、体に当たったX線の一部は、向きを変えて飛び散る『散乱線(散乱X線)』になる。

この散乱線がフィルム(受像面・検出器)に当たると、本来の像にかぶって画像がぼやけ、白黒の差(コントラスト)が低下して、見えにくい写真になってしまう。

そこで、受像面の前(体と検出器の間)に置いて、散乱線を取り除く装置が『グリッド』である。

グリッドは、薄い鉛の箔と、X線を通しやすい中間物質(アルミなど)を交互に並べた構造で、まっすぐ来る目的のX線は通し、斜めから来る散乱線をさえぎることで、画像のコントラストを改善する。

つまり、グリッドは『散乱線によるフィルム(画像)への悪影響を減らす』ためのものである。

動物看護師は、適切な撮影条件・体位やグリッドの使用を通じて、画質を保ちながら不要な被ばく(再撮影)を減らすことに貢献する。

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