動物看護過程とSOAP記録

動物看護過程は、対象の問題を見つけて解決し、結果を確かめる一連の流れで、『アセスメント→看護診断→看護計画→看護実践→評価』の5段階からなる。アセスメントで情報を収集・整理・解釈・判断し、看護診断で看護上の問題を抽出、看護計画で目標と具体策(観察・援助・教育)を立て、看護実践で実施・記録し、評価で目標の達成度を確認する。評価の結果は次のアセスメントへ戻り、サイクルとして繰り返される。記録の形式として、問題志向型(POS)のSOAP(S=主観的情報、O=客観的情報、A=評価・判断、P=計画)を用いる。

1看護過程とは(5段階のサイクル)

看護過程は、対象(動物と飼い主)の問題を見つけて解決し、結果を確かめる一連の思考と行動の流れ。『①アセスメント→②看護診断→③看護計画→④看護実践→⑤評価』の5段階からなり、評価の結果は次のアセスメントへ戻ってサイクルとして繰り返される。根拠にもとづく(科学的な)看護を行うための枠組み。

動物看護過程は『①アセスメント→②看護診断→③看護計画→④看護実践→⑤評価』の5段階からなり、評価の結果は次のアセスメントへ戻ってサイクルとして繰り返される。

看護過程(看護プロセス)とは、対象となる動物と飼い主が抱える問題を見つけ出し、計画的に解決し、その結果を確かめるための、一連の思考と行動の流れである。

看護過程は次の5つの段階からなる。

①アセスメント(情報収集とその分析)②看護診断(看護上の問題の明確化)③看護計画(目標の設定と具体策の立案)④看護実践(計画にもとづく実施と記録)⑤評価(目標の達成度の確認)これらは一方向で終わるのではなく、評価の結果をふまえて再びアセスメントに戻り、計画を見直す『サイクル(らせん)』として繰り返される。

看護過程を用いることで、思いつきではなく、根拠にもとづいた一貫性のある看護を提供できる。

2①アセスメント(情報の収集・整理・解釈・判断)

アセスメントは看護過程の出発点。対象の情報を『収集』し、『整理』し、『解釈・分析』して、何が問題かを『判断』する段階。情報には、飼い主の訴えなどの主観的情報(S情報)と、バイタルサインや検査値などの客観的情報(O情報)がある。

アセスメントは、看護過程の最初の段階で、対象の状態を正しくとらえるために情報を集めて分析することをいう。

流れとしては、まず必要な情報を『収集』し、集めた情報を『整理』し、それらが何を意味するかを『解釈・分析』して、最終的に『何が問題か』を『判断』する。

看護で扱う情報は、大きく2種類に分けられる。

【主観的情報(S情報)】飼い主の訴えや観察した話など、対象側から語られる情報(例:『昨日から食欲がない』『元気がない気がする』)。

動物自身は言葉で訴えられないため、飼い主からの聞き取り(問診)が重要になる。

【客観的情報(O情報)】体温・脈拍・呼吸数などのバイタルサイン、体重、検査値、観察された所見など、測定・観察で得られる事実にもとづく情報。

これら主観的・客観的の両面から情報を集めて分析することが、適切なアセスメントの土台になる。

3②看護診断(看護上の問題の抽出)

看護診断は、アセスメントで分析した結果から、看護で解決すべき『看護上の問題』を抽出して明確にする段階。医師(獣医師)が病気そのものを診断する『医学診断』とは異なり、その病気や状態によって生じている生活上・ケア上の問題(例:脱水、栄養不足、痛みによる安静困難など)に着目する。

看護診断は、アセスメントで明らかになった情報をもとに、『看護として解決すべき問題は何か』を抽出して明確にする段階である。

ここで大切なのは、獣医師が行う『医学診断(病名の診断)』とは視点が違うという点である。

医学診断が『どんな病気か(例:慢性腎臓病)』を見極めるのに対し、看護診断は『その状態によってどんな問題が起きているか(例:脱水のリスク、食欲低下による栄養摂取の不足、痛みによる安静の困難)』という、看護でケアできる問題に着目する。

抽出した看護上の問題を整理して優先順位をつけることで、次の看護計画につなげていく。

4③看護計画(目標設定と具体策:観察・援助・教育)

看護計画は、看護診断で挙げた問題ごとに『目標(達成したい状態)』を設定し、それを実現する具体策を立てる段階。具体策は、観察計画(O-P:何を観察するか)、援助・ケア計画(T-P:どんなケアを行うか)、教育計画(E-P:飼い主に何を説明・指導するか)に整理される。

看護計画は、抽出した問題を解決するために、『目標』と『具体的な方法』を決める段階である。

まず、問題ごとに『目標(いつまでに、どんな状態になることを目指すか)』を設定する。

目標は、達成できたかどうかを後で評価できるよう、具体的に立てるのが望ましい。

次に、その目標を実現するための具体策を考える。

具体策は次の3つに整理されることが多い。

【観察計画(O-P)】何を観察・モニタリングするか(例:食欲・飲水量・尿量・元気・体重の変化を観察する)。

【援助計画・ケア計画(T-P)】どんな看護・援助を行うか(例:輸液管理、保温、強制給餌、口腔ケアなど)。

【教育計画(E-P)】飼い主に何を説明・指導するか(例:自宅での投薬方法、食事管理、再診の目安の説明)。

このように、観察・援助・支援(指導)を具体的に計画する。

5④看護実践(実施と記録)と⑤評価(達成度の確認)

看護実践は、立てた計画にもとづいて実際にケアを行い、行ったことと対象の反応を『記録』する段階。評価は、設定した目標がどの程度達成できたかを確認する段階で、達成できていなければ計画を修正して再び実践する。評価の結果は次のアセスメントへ戻り、看護過程はサイクルとして続く。

【④看護実践】看護計画にもとづいて、実際に観察・ケア・飼い主への説明などを行う段階である。

実践した内容と、それに対する動物の反応・変化は、必ず『記録』に残す。

記録は、ケアの継続やチーム内での情報共有、そして次の評価の根拠として欠かせない。

【⑤評価】設定した目標が『どの程度達成できたか』を確認する段階である。

目標が達成できていれば、その問題への看護は終了または継続を判断し、達成できていなければ、原因を考えて計画を修正し、再び実践する。

評価の結果は次のアセスメントへとフィードバックされ、看護過程は『アセスメント→診断→計画→実践→評価→(再)アセスメント…』というサイクルとして繰り返されていく。

6SOAP(問題志向型の記録)

SOAPは、問題志向型診療記録(POS/POMR)で用いられる記録の形式。S=主観的情報(Subjective:飼い主の訴えなど)、O=客観的情報(Objective:バイタル・検査値など)、A=評価・判断(Assessment:SとOから考えられること)、P=計画(Plan:今後の方針・検査・処置・指導)。問題ごとに整理して記録する。

看護や診療の記録を、問題ごとに整理してわかりやすく残すための考え方を『問題志向型システム(POS)』といい、その記録(問題志向型診療記録:POMR)でよく使われる形式が『SOAP』である。

SOAPは、次の4つの頭文字をとったものである。

【S:主観的情報(Subjective)】飼い主の訴えや観察した話など、対象側から語られる情報(例:『昨日から食欲がなく、元気もない』)。

【O:客観的情報(Objective)】体温・脈拍・呼吸・体重・検査値・観察所見など、測定・観察で得られる事実(例:体温39.8℃、脱水所見あり)。

【A:評価・判断(Assessment)】SとOの情報をもとに、何が起きていると考えられるかを評価・判断する部分(例:発熱と脱水があり、全身状態の低下が疑われる)。

【P:計画(Plan)】今後の方針——必要な検査・処置・看護・飼い主への指導などの計画(例:輸液を実施、食欲と尿量を観察、再診の目安を説明)。

問題ごとにS→O→A→Pの順で整理して記録することで、考えの流れが明確になり、チームでの共有や継続的なケアに役立つ。

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