栄養計算(RER・MER)の実際

1日に必要なエネルギー量を求め、フードの量に換算する栄養計算は、食事管理や入院動物の給餌に役立つ実務技術である。安静時エネルギー要求量(RER)と1日のエネルギー要求量(MER/DER)の考え方、計算式、給与量への換算、そして実際の調整までを、図ではなく文章で読んで理解する。

1必要エネルギーの考え方(RERとMER)

安静時に最低限必要なエネルギーがRER(安静時エネルギー要求量)。それに活動量やライフステージなどの係数を掛けたものが、1日に必要なMER(または DER、維持エネルギー要求量)である。

安静時に最低限必要なRERを求め、運動・成長・ライフステージなどに応じた係数を掛けて、1日に必要なMER(DER)を計算する流れを示す。

適切な食事の量を決めるには、その子が1日に必要とするエネルギー量(カロリー)を知る必要がある。

その基礎になるのが、安静時エネルギー要求量(RER)である。

RERは、安静にしている動物が、体温の維持や臓器の働きなど、生きていくのに最低限必要とするエネルギー量を表す。

実際の生活では、運動や成長、ライフステージなどでさらにエネルギーが必要になる。

そこで、RERに状況に応じた係数を掛けて、1日に必要なエネルギー量である維持エネルギー要求量(MER、またはDER)を求める。

『まずRERを出し、係数を掛けてMERにする』という流れが基本である。

2RERの計算

RERの一般式は『70 ×(体重kg)の0.75乗』。体重がおおよそ2〜45kgの範囲では、簡易式『30 ×体重kg + 70』でも近い値が得られる。まずこのRERを求める。

RER(安静時エネルギー要求量)は、体重をもとに計算する。

一般的な式は『RER = 70 ×(体重kg)の0.75乗』で、体格にかかわらず使える。

0.75乗の計算には電卓が必要だが、体重がおおよそ2〜45kgの範囲であれば、『RER = 30 ×体重kg + 70』という簡易式でも近い値が得られる。

たとえば体重5kgなら、簡易式で 30×5+70=220 kcal/日 ほどが安静時の目安になる。

ごく小さい動物や非常に大きい動物では簡易式の誤差が大きくなるため、一般式(0.75乗)を用いるのが望ましい。

まずはこのRERを正しく求めることが、栄養計算の出発点である。

3MER(DER)の計算

MERは『RER ×係数』で求める。係数はライフステージ・避妊去勢の有無・活動量・成長・妊娠授乳・肥満傾向などで変わる(例:去勢済み成犬は1.6前後、減量中は1.0前後、成長期は2〜3など)。係数はあくまで目安。

RERが求まったら、それに係数を掛けて1日に必要なMER(DER)を計算する。

係数は、その動物の状態によって変わる。

たとえば犬では、避妊・去勢をした成犬で1.6前後、していない成犬でやや高め、減量が必要な場合は1.0前後、活発な成長期の子犬では2〜3程度などとされる。

妊娠後期や授乳期はさらに多くのエネルギーが必要になる。

猫でも同様に、避妊去勢の有無や減量の必要性などで係数を選ぶ。

これらの係数はあくまで一般的な目安であり、実際にはその子の体重やBCSの変化を見ながら調整していく。

4給与量への換算

1日のエネルギー量(MER)を、フードのエネルギー密度(kcal/gなど)で割ると、与えるべきフードの量が求まる。おやつを与える分はそのカロリーを差し引いて考える。

必要なエネルギー量(MER)が分かったら、実際に与えるフードの量に換算する。

フードの袋には、エネルギー密度(100gあたり、または1gあたりの kcal)が記載されている。

『1日に必要なエネルギー量 ÷ フードのエネルギー密度』を計算すれば、1日に与えるフードの量が求まる。

たとえば1日に必要なエネルギーが220kcalで、フードが1gあたり3.5kcalなら、220÷3.5=約63gが目安になる。

おやつを与える場合は、その分のカロリーをあらかじめ差し引いて、主食の量を決める。

入院動物では、こうした計算に基づいて1日の給餌量を決め、数回に分けて与える。

5実際の調整と看護

計算値はあくまで出発点。体重とBCSを定期的に評価して食事量を調整する。食欲不振や術後の動物では強制給餌や経管栄養、水分管理も検討する。看護師が計算・給餌・記録を担う。

栄養計算で求めた量は、あくまで出発点(目安)である。

実際には、その子の体重やBCS(体型)が目標に近づいているかを定期的に評価し、増減を調整していく。

計算どおりに与えても太る・痩せる場合は、係数や量を見直す。

病気や術後で食欲がない動物では、必要なエネルギーを十分にとれないことが問題になり、状況によっては手で食べさせる・経管(チューブ)で栄養を入れるといった栄養管理や、水分の管理も検討される。

動物看護師は、必要エネルギーの計算、給餌の実施、摂取量や体重の記録を通じて、入院動物や食事管理が必要な動物の栄養を支える役割を担う。