輸液と脱水の管理

輸液は、脱水を補正し循環や電解質を整える、動物医療の基本的な治療である。脱水の評価のしかた、輸液の目的と種類、投与経路、投与中のモニタリング、そして看護のポイントまでを、図ではなく文章で読んで理解する。

1脱水の評価

脱水は嘔吐・下痢・出血・飲水不足・発熱などで起こる。皮膚をつまんだ戻りの遅さ(皮膚の張り=ツルゴール)、歯ぐきの乾き、毛細血管再充満時間(CRT)、眼のくぼみ、体重減少などで程度を評価する。

脱水は皮膚の張り(ツルゴール)・歯ぐきの乾き・CRT・眼のくぼみ・体重減少などの所見を組み合わせて評価する。ごく軽い脱水は外からは分かりにくく、重度になるとぐったりしてショックに近づく。

脱水とは、体から水分(と電解質)が失われた状態である。

嘔吐や下痢、出血、十分に水が飲めていないこと、発熱などが原因になる。

脱水の程度は、いくつかの所見を組み合わせて評価する。

皮膚をつまんで離したときの戻りの速さ(皮膚の張り=ツルゴール)は代表的で、脱水が進むほど戻りが遅くなる。

そのほか、歯ぐきが乾いてねばつく、毛細血管再充満時間(CRT、歯ぐきを押して色が戻る時間)が延びる、眼がくぼむ、体重が減るなども手がかりになる。

ごく軽い脱水は外からは分かりにくく、重度になるとぐったりしてショックに近づくため、早めの評価が大切である。

2輸液の目的と種類

輸液の目的は、脱水の補正・循環(血圧)の維持・電解質や酸塩基の補正・薬剤の投与経路の確保など。乳酸リンゲル液などの晶質液が広く使われ、状況に応じて維持輸液と不足分を補う補充輸液を行う。

輸液は、体に必要な水分・電解質を補給する治療で、いくつかの目的がある。

失われた水分を補う脱水の補正、血圧を保つ循環の維持、ナトリウム・カリウムなど電解質や酸塩基バランスの補正、そして点滴ラインを薬の投与経路として使うことなどである。

輸液剤には、水と電解質が主成分で広く使われる晶質液(乳酸リンゲル液などの等張液)と、血管内に水分をとどめる働きをもつ膠質液などがある。

輸液の量は、生きていくために最低限必要な分(維持量)に、脱水で失われた不足分や、嘔吐下痢で進行中に失われる分を足して計算する。

病態に合わせて、輸液剤の種類と量・速度を選ぶ。

3輸液の投与経路

静脈内(IV)は確実で速く、入院での本格的な輸液に用いる。皮下(SC)は手技が容易で在宅や軽度脱水・慢性腎臓病の維持に向く。緊急で血管が確保できない幼若・虚脱例では骨髄内が用いられることもある。

輸液の投与経路は、状況に応じて使い分ける。

静脈内投与(IV)は、輸液が直接血管に入るため確実で速く、中等度以上の脱水や重症例、入院での本格的な輸液に用いる。

多くは前肢などに留置カテーテルを置いて行う。

皮下投与(SC)は、皮下に輸液を入れてゆっくり吸収させる方法で、手技が比較的容易なため、軽度の脱水や、慢性腎臓病のネコの在宅での水分補給などに用いられる。

重度の脱水やショックで血管が確保できない幼若動物などでは、骨の中に針を入れる骨髄内投与が行われることもある。

経口での水分補給が可能な場合は、それも併用される。

4輸液管理とモニタリング

投与速度を守り(滴下数や輸液ポンプで管理)、入れすぎ(過剰輸液)に注意する。とくに心臓病や腎不全(乏尿)では過剰輸液で肺水腫を起こしうる。体重・尿量・元気・呼吸などを観察し、効果と副作用を確認する。

輸液は『入れればよい』のではなく、適切な速度と量の管理が重要である。

投与速度は、点滴の滴下数を数えたり輸液ポンプを使ったりして管理する。

輸液を入れすぎると、体に水分があふれて過剰輸液となり、呼吸が速くなる・むくむ・肺に水がたまる(肺水腫)といった危険がある。

とくに心臓病や、尿の出が悪い腎不全(乏尿・無尿)の動物では、過剰輸液になりやすいため慎重に行う。

輸液の効果と安全性を見るために、体重の変化、尿の量、元気・食欲、呼吸の様子、脱水所見の改善などを継続して観察する。

5看護のポイント

留置カテーテルの挿入補助・固定・清潔管理、輸液ラインの管理(空気・閉塞・流量)、投与量や反応の記録が看護の中心。刺入部の腫れ・漏れ・発赤や、過剰輸液のサインを早期に見つけて報告する。

輸液は、動物看護師が深く関わる処置である。

静脈に留置するカテーテルの挿入では、保定や血管の確保を補助し、しっかり固定して、刺入部を清潔に保つ。

輸液中は、ラインに空気が入っていないか、折れ曲がりや詰まり(閉塞)がないか、決められた速度で滴下しているかを確認する。

投与した量や速度、動物の反応を記録することも大切である。

カテーテルの刺入部が腫れる・輸液が漏れる・赤くなるといった異常や、呼吸が速くなるなどの過剰輸液のサインに早く気づき、獣医師に報告する。

在宅で皮下輸液を行う場合は、飼い主への手技の指導も看護の役割になる。