歯科・口腔ケア

歯周病はイヌ・ネコでとても多く、3歳以上の多くがなんらかの歯のトラブルを抱えるといわれる。歯垢から歯石・歯周病へと進むしくみ、毎日の歯みがきを中心とした予防、麻酔下で行う歯石除去、そして口の中の病気と看護のポイントを、図ではなく文章で読んで理解する。

1歯と口の健康の重要性

歯周病はイヌ・ネコで非常に多く、3歳以上の多くにみられる。口臭・歯石・歯ぐきの炎症が進むと歯が抜け、口の中の細菌が血流に乗って全身に影響することもある。

歯周病は口臭・歯石・歯ぐきの軽い炎症といった軽い段階から進行し、歯を支える組織が壊れて歯が抜け、口の中の細菌が血流に乗って心臓や腎臓など全身に影響することもある。

口と歯の健康は、食べる楽しみや全身の健康に直結する。

歯周病はイヌ・ネコで最も多い病気のひとつで、3歳以上の動物の多くがなんらかの歯周病をもつといわれる。

初めは口臭や歯石、歯ぐきの軽い炎症から始まり、進行すると歯を支える組織が壊れて歯がぐらつき、抜けてしまう。

さらに、口の中で増えた細菌やその毒素が血流に乗って全身に回り、心臓や腎臓などに影響を及ぼすことも指摘されている。

そのため、歯のケアは『口の中だけの問題』ではなく、全身の健康を守るうえでも大切である。

2歯周病の進み方(歯垢→歯石→歯周炎)

歯の表面につく歯垢(プラーク=細菌のかたまり)は数日で石灰化して歯石になる。歯ぐきの炎症(歯肉炎)は元に戻せるが、歯を支える骨まで壊れる歯周炎に進むと元には戻らない。

歯周病は、段階を追って進んでいく。

まず、歯の表面に歯垢(プラーク)がつく。

歯垢は食べかすではなく、細菌が集まったかたまりである。

歯垢は数日のうちに、唾液中の成分と結びついて石灰化し、硬い歯石になる。

歯石はざらつきがあり、そこにさらに歯垢がつきやすくなる。

歯ぐきに炎症が起こった段階を歯肉炎といい、この段階なら適切なケアで元の健康な状態に戻すことができる。

しかし炎症が進み、歯を支える骨(歯槽骨)などが壊れる歯周炎になると、失われた組織は元には戻らない。

だからこそ、歯石になる前の歯垢のうちに取り除く、毎日のケアが重要になる。

3デンタルケア(予防)

予防の基本は毎日の歯みがき(歯ブラシやデンタルシートで歯垢を落とす)。いきなりではなく少しずつ口に触れることから慣らす。デンタルガムやフードはあくまで補助。

歯周病の予防で最も効果的なのは、毎日の歯みがきである。

歯垢は歯みがきで物理的に落とすのが基本で、歯ブラシや指に巻くデンタルシートなどを使って、歯と歯ぐきの境目を中心にケアする。

多くの動物は最初から口や歯を触らせてくれないため、いきなり磨こうとせず、口のまわりに触れる・口を少し開けるなど、段階を踏んで少しずつ慣らしていくことが大切である。

ほめながら短時間で行い、嫌な経験にしないようにする。

デンタルガムや歯みがき効果をうたうフード・おもちゃは補助にはなるが、毎日の歯みがきの代わりにはならない点を飼い主に伝える。

4スケーリング(歯石除去)

ついてしまった歯石の除去(スケーリング)は、全身麻酔下で行うのが原則。無麻酔の歯石取りは見える表面しか処置できず、肝心の歯周ポケット内を処置できないうえ、動物に苦痛やけがの危険がある。

歯石がついてしまうと、歯みがきでは取り除けないため、動物病院での歯石除去(スケーリング)が必要になる。

スケーリングは、全身麻酔をかけて行うのが原則である。

麻酔下で行うことで、超音波スケーラーなどを使って歯の表面だけでなく、歯周病で本当に重要な歯ぐきの中(歯周ポケット)まで処置でき、仕上げに歯の表面を滑らかに磨く(ポリッシング)こともできる。

一方、麻酔をかけずに見える部分の歯石だけを取る方法は、肝心の歯周ポケット内を処置できず根本的な治療にならないうえ、動物が動くことで歯ぐきや口を傷つけたり、強い苦痛やストレスを与えたりする危険がある。

看護師は、麻酔のモニタリングや器具の準備、術後のケアを通じてスケーリングを支える。

5口腔の病気と看護

ネコの歯肉口内炎(強い痛みで難治)や歯の吸収病巣、乳歯遺残、口腔の腫瘍などがある。食べづらそう・よだれ・口からの出血・強い口臭・口を気にするなどの観察が早期発見につながる。

歯周病のほかにも、口の中にはさまざまな病気がある。

ネコでは、口の粘膜に強い炎症が起こる歯肉口内炎がみられ、激しい痛みのために食べられなくなることもあり、治療が難しい場合がある。

また、ネコでは歯が内側から溶けるように壊れていく吸収病巣(破歯細胞性吸収病巣)も多い。

子犬・子猫では、抜けるべき乳歯が残ってしまう乳歯遺残がみられることがある。

高齢では口の中の腫瘍にも注意が必要である。

食べづらそうにする・よだれが増える・口から出血する・強い口臭がする・口を気にして前足でこするなどの様子は、口腔の病気のサインであり、看護師の観察が早期発見につながる。