細菌の構造と原核・真核生物

細胞をもつ生物は、核膜に包まれた核をもたない原核生物(細菌)と、核をもつ真核生物(動物・植物・真菌)に分けられる。細菌(原核生物)の構造——細胞壁・細胞膜・核様体(DNA)・リボソーム・鞭毛・線毛・メソソーム——を、図ではなく文章で読んで整理する。

1原核生物と真核生物

細胞をもつ生物は、核膜に包まれた核をもたない原核生物と、核をもつ真核生物に分けられる。原核生物の代表が細菌で、DNAは核膜に包まれず核様体として細胞質にある。真核生物は動物・植物・真菌(カビ・キノコ)などで、核膜に包まれた核をもつ。

左は細菌(原核生物)の模式図で、細胞壁・細胞膜・核様体・リボソーム・鞭毛・線毛・メソソームを示す。右の真核生物は核膜に包まれた核やミトコンドリアをもつ点が異なる。

細胞をもつ生物は、核のつくりによって原核生物と真核生物に大きく分けられる。

原核生物は、核膜に包まれた『核』をもたない生物で、その代表が細菌である。

原核生物のDNA(遺伝情報)は、核膜に包まれず、核様体として細胞質の中に存在する。

また、原核生物はミトコンドリアなどの膜に包まれた細胞小器官をもたない、比較的単純なつくりをしている。

一方、真核生物は核膜に包まれた『核』をもつ生物で、動物・植物・真菌(カビ・キノコなどの菌類)などが含まれる。

『核がない=原核(細菌)、核がある=真核(動物・植物・真菌)』と整理しておく。

2細菌の細胞壁と細胞膜

細菌の細胞膜は、脂質でできた疎水性の二重膜(脂質二重膜)。その外側を、おもにペプチドグリカンという親水性の糖からなる細胞壁が囲んで、形を保ち菌を守る。細胞壁の構造の違いがグラム染色での染め分けにつながる。

細菌の最も外側に近い部分には、細胞膜と細胞壁がある。

細胞膜は、脂質でできた二重の膜(脂質二重膜)で、脂になじむ疎水性の性質をもち、物質の出入りを調節する。

その外側を細胞壁が囲んでいる。

細菌の細胞壁は、おもにペプチドグリカンという糖を含む成分からなり、水になじむ親水性で、菌の形を保ち、外からの力や浸透圧から菌を守る。

この細胞壁(ペプチドグリカン層)の厚さや構造の違いが、グラム染色での染め分け(グラム陽性・陰性)につながる(詳しくは別レッスン)。

なお、細胞壁をもたない細菌(マイコプラズマ)は、グラム染色では染まらない。

3核様体とリボソーム

核様体は、原核細胞(細菌)の中で、核膜に包まれずに存在するDNAの領域。細菌(原核生物)も遺伝情報としてDNAをもつ。リボソームはタンパク質をつくる装置で、細菌ももっている。

細菌の遺伝情報であるDNAは、真核生物のように核膜に包まれて『核』をつくるのではなく、核様体として細胞質の中に存在する。

核様体は、原核細胞の中で観察される、DNAが集まった領域である。

細菌(原核生物)も、生物として遺伝情報であるDNAをもっている点はおさえておく。

また、タンパク質を合成する装置であるリボソームは、原核生物(細菌)も真核生物ももっており、細菌が生きていくのに欠かせない。

(細菌のリボソームはヒトのものと構造が少し異なるため、これを標的にする抗菌薬がある。

4鞭毛・線毛・メソソーム

鞭毛は細菌が動くための運動器官。線毛(せんもう)は菌の表面の細い毛で、ほかの細胞や物に付着するための器官。メソソームは細胞膜が内側に折りたたまれた構造。

細菌には、その表面や膜に、いくつかの特徴的な構造がある。

鞭毛(べんもう)は、細菌が泳いで移動するための運動器官である。

線毛(せんもう)は、菌の表面にある細い毛のような構造で、ほかの細胞や物の表面に付着(接着)するための器官である(菌どうしの接合に関わるものもある)。

メソソームは、細菌の細胞膜が内側に向かって折りたたまれた(陥入した)構造である。

これらの構造は、細菌が動いたり、定着したり、生きていくのに役立っている。

5細菌の構造のまとめ

細菌は核をもたない原核生物で、DNA(核様体)・リボソーム・細胞膜(脂質二重膜)・細胞壁(ペプチドグリカン)をもち、鞭毛(運動)・線毛(付着)・メソソームなどの構造をもつ。真核生物(動物・植物・真菌)は核をもつ点で区別される。

細菌の構造を整理しておく。

細菌は核をもたない原核生物で、遺伝情報のDNAは核様体として細胞質にある。

タンパク質をつくるリボソームをもち、外側は脂質二重膜の細胞膜と、ペプチドグリカンを主とする細胞壁でおおわれている。

さらに、運動のための鞭毛、付着のための線毛、細胞膜が折りたたまれたメソソームなどの構造をもつ。

これに対し、動物・植物・真菌などの真核生物は、核膜に包まれた核をもつ点で原核生物(細菌)と区別される。

理解できたら腕試し!
このテーマの確認テスト