雄の生殖器のしくみ(精巣・副生殖腺・陰茎)

雄の生殖器を、精子をつくる・ホルモンを出すという精巣の2つのはたらきから理解する。テストステロンを出すライディッヒ細胞と、精子形成を支えるセルトリ細胞、精子の通り道、犬と猫で異なる副生殖腺(犬は前立腺のみ)、陰茎の構造の種差(犬の陰茎骨・亀頭球、猫の陰茎棘)を、図ではなく文章で読んで学ぶ。

1精巣の2つのはたらき

精巣(睾丸)には、精子をつくる『精子形成』と、雄性ホルモン(テストステロン)などを出す『内分泌』の2つのはたらきがある。精巣は陰嚢の中にあり、体温より少し低い温度が精子形成に適している。

精巣でつくられた精子は、精巣上体(貯蔵・成熟)・精管・尿道を通って陰茎から送り出される。途中で副生殖腺(前立腺)の分泌液が加わり、精子と混ざって精液となる。

雄の生殖器の中心となる臓器が精巣(睾丸)である。

精巣には大きく2つのはたらきがある。

1つは精子をつくる『精子形成』で、もう1つは雄性ホルモン(テストステロン)などを分泌する『内分泌』のはたらきである。

精巣は体の外側にぶら下がった陰嚢の中におさまっており、これは体温よりやや低い温度のほうが精子形成に適しているためである。

そのため、精巣が陰嚢まで降りずに腹腔内などに留まる潜在精巣(停留精巣)では、温度が高すぎて精子形成が障害される。

2ライディッヒ細胞とセルトリ細胞

精巣の中で、ライディッヒ細胞(間質細胞)は雄性ホルモンのテストステロンを分泌する。セルトリ細胞は精子形成を支え、インヒビンなどを産生する。セルトリ細胞の腫瘍(セルトリ細胞腫)ではエストロゲンが過剰になり、雄が雌性化(エストロゲン中毒)を起こすことがある。

精巣の中には、役割の異なる2種類の細胞がある。

1つはライディッヒ細胞(間質細胞)で、雄性ホルモンであるテストステロンを分泌する。

テストステロンは雄らしさ(雄性化)や精子形成の維持、性行動などにかかわる。

もう1つはセルトリ細胞で、精子をつくる過程(精子形成)を支える支持細胞であり、インヒビンなどのホルモンも産生する。

なお、セルトリ細胞が腫瘍化したセルトリ細胞腫では、雌性ホルモンであるエストロゲンが過剰に産生され、乳腺がはる・左右対称性の脱毛・反対側の精巣の萎縮などの雄の雌性化(エストロゲン中毒)を起こすことがある。

潜在精巣(腹腔内など)はこのセルトリ細胞腫などの精巣腫瘍のリスクが高い。

3精子の通り道

精子は、精巣でつくられたあと、精巣上体(精子の貯蔵・成熟)→精管→尿道を通り、陰茎から送り出される。途中で副生殖腺の分泌液が加わって精液になる。

精巣でつくられた精子は、決まった通り道を通って体の外へ送り出される。

まず、精巣に隣接する精巣上体(副睾丸)で精子が貯蔵され、成熟する。

次に、精子は精管(輸精管)を通って運ばれ、尿道へと合流する。

尿道は陰茎の中を通っており、最終的に精子は陰茎の先から射出される。

この経路の途中で、副生殖腺(前立腺など)から分泌される液が加わり、精子と混ざって精液となる。

副生殖腺の分泌液は、精子に栄養を与えたり、精子を保護したり、運動しやすい環境をつくる役割をもつ。

4副生殖腺の種差(犬と猫のちがい)

副生殖腺には前立腺・精嚢腺・尿道球腺があるが、種によって持つものが違う。犬の副生殖腺は前立腺のみ。猫は前立腺と尿道球腺をもつ。犬・猫ともに精嚢腺はもたない。前立腺は膀胱の出口で尿道を囲むように位置する。

副生殖腺は、精液の液体成分を分泌する腺で、動物の種類によって持っている腺が異なる。

犬の副生殖腺は前立腺のみで、精嚢腺も尿道球腺ももたない。

猫は前立腺に加えて尿道球腺をもつが、精嚢腺はもたない。

つまり、犬・猫ともに精嚢腺はもたない、という点が共通する。

前立腺は、膀胱の出口あたりで尿道を取り囲むように位置している。

そのため、未去勢の雄犬で前立腺が肥大すると、尿道や直腸を圧迫して排尿困難・排便困難などを起こす(前立腺肥大)。

なお、犬で『尿道球腺』と呼ばれることがある構造は、実際には交尾にかかわる亀頭球であるとの指摘もある。

5陰茎の構造の種差(陰茎骨・亀頭球・陰茎棘)

犬の陰茎には骨(陰茎骨)があり、さらに根元に亀頭球というふくらみがあって、交尾のときに膨らんで雌と結合した状態(交尾結合)になる。猫の陰茎には小さなとげ(陰茎棘)があり、テストステロン依存性で、交尾の刺激が雌の排卵を促す。

陰茎の構造にも、犬と猫で特徴的な違いがある。

犬の陰茎には陰茎骨という骨があり、勃起を助けている。

さらに、陰茎の根元には亀頭球というふくらみがあり、交尾のときにこれが膨らんで雌の腟と結合した状態(交尾結合・タイ)になり、しばらく離れなくなる。

一方、猫の陰茎には小さなとげ(陰茎棘)が多数あり、これはテストステロンに依存して発達する。

交尾のときに陰茎棘が雌を刺激することが、猫の排卵を促す引き金になる(猫は交尾の刺激で排卵する交尾排卵動物である)。

なお、去勢してテストステロンがなくなると、猫の陰茎棘は退縮する。

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