狂犬病予防法と自然保護の国際条約

狂犬病予防法は、犬の登録と年1回の予防注射などを定めて狂犬病の侵入・まん延を防ぐ法律。対象は犬・猫・アライグマ・キツネ・スカンク。あわせて、自然や野生生物を守る国際条約——湿地と水鳥のラムサール条約(日本第1号は釧路湿原)、絶滅危惧種の国際取引を規制するワシントン条約、生物多様性条約とカルタヘナ議定書、オゾン層を守るウィーン条約——を整理する。

1狂犬病予防法の対象動物

狂犬病予防法は、狂犬病の発生・侵入・まん延を防ぐための法律。対象となる動物は、犬のほか、猫・アライグマ・キツネ・スカンク。とくに犬については、登録や予防注射などの具体的な義務が飼い主に課されている。

狂犬病予防法の対象動物は、犬・猫・アライグマ・キツネ・スカンクの5種。とくに犬の飼い主には具体的な義務がある。①登録(取得から30日以内、子犬は生後90日経過後30日以内)→鑑札を着ける、②狂犬病予防注射を毎年1回→注射済票を着ける、③死亡したら30日以内に届出。犬・猫の輸入には事前の届出と検疫(係留検査)が必要。

狂犬病予防法は、致死率のきわめて高い人獣共通感染症である狂犬病が、国内で発生したり海外から侵入したりするのを防ぐための法律である。

この法律で対象(予防の対象動物)とされているのは、犬のほか、猫・アライグマ・キツネ・スカンクである。

これらは狂犬病を広めるおそれがある動物として位置づけられている。

なかでも、人ともっとも身近に暮らす犬については、飼い主に対して登録・予防注射・鑑札や注射済票の装着といった具体的な義務が課されている。

輸入についても規制があり、犬・猫を輸入する際には事前の届出と検疫が必要で、地域によっては長い係留(けいりゅう)検査の期間が定められている。

これらは、現在は国内発生のない狂犬病を『入れない・広げない』ための備えである。

2犬の登録・予防注射・各種届出

犬を飼い始めたら、取得から30日以内(子犬は生後90日経過後30日以内)に市区町村へ登録し、交付された『鑑札』を犬に着ける。狂犬病予防注射は毎年1回受けさせ、『注射済票』を着ける。犬が死亡したときも30日以内に届け出る。

犬の飼い主に課される、狂犬病予防法上のおもな義務を整理する。

1つ目は登録である。

犬を取得したら、原則として取得の日から30日以内(生後90日以下の子犬を取得した場合は、生後90日を経過した日から30日以内)に、市区町村へ犬の登録を行う。

登録すると『鑑札(かんさつ)』が交付されるので、これを犬に着けておく。

2つ目は予防注射である。

飼い犬には、毎年1回、狂犬病の予防注射を受けさせなければならない。

注射を受けると『注射済票(ちゅうしゃずみひょう)』が交付されるので、これも犬に着けておく。

つまり、犬には『鑑札』と『注射済票』の2つを着けておくのが原則である。

これらは、万一犬が狂犬病を疑われたり迷子になったりしたときに、登録や接種の状況を確認するのに役立つ。

3つ目は届出である。

登録した犬が死亡したときや、飼い主・所在地が変わったときなどは、原則として30日以内に市区町村へ届け出る。

(『取得したら30日以内に登録、死亡しても30日以内に届出、注射は毎年1回』と整理して覚えるとよい。

3ラムサール条約(湿地と水鳥)

ラムサール条約は、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地と、そこに生息・生育する動植物を守るための条約(1971年、イランのラムサールで採択)。日本国内の登録第1号は釧路湿原で、タンチョウの生息地として知られる。

ここからは、自然や野生生物を守る国際条約を見ていく。

ラムサール条約は、正式には『特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約』という。

1971年にイランのラムサールという町で採択された。

渡りをする水鳥は、繁殖地・越冬地・渡りの途中の休息地として、国をまたいで多くの湿地を利用する。

これらの湿地と、そこに生息・生育する動植物を守るために、国境を越えた共通のルールとして結ばれたのがこの条約である。

湿地をただ守るだけでなく、『賢明な利用(ワイズユース)』を進めることも目的としている。

日本国内での登録湿地の第1号は、北海道の釧路湿原である。

日本最大の湿原で、特別天然記念物タンチョウ(ツル)の生息地としても知られる。

(『ラムサール=湿地・水鳥、日本第1号=釧路湿原』とセットで覚えるとよい。

4ワシントン条約(絶滅危惧種の国際取引)

ワシントン条約(CITES)は、絶滅のおそれのある野生動植物の種を守るため、その国際的な取引(輸出入)を規制する条約。絶滅の危険度に応じて種を区分し、取引を禁止・制限する。希少動物のペット・製品の売買を国際的にコントロールする。

ワシントン条約は、正式には『絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約』といい、英語の略称からCITES(サイテス)とも呼ばれる。

野生動植物の中には、過度な捕獲・採取や、ペット・毛皮・象牙・漢方原料などとしての国際的な取引によって、絶滅の危機にさらされているものがある。

この条約は、そうした種を守るために、国と国との間の取引(輸出入)を規制するものである。

絶滅のおそれの程度に応じて種を区分し、取引を原則禁止するものから、許可制で制限するものまで、段階的に規制している。

ポイントは、ワシントン条約が規制するのは『国際的な取引(輸出入)』であるという点である(湿地そのものを守るラムサール条約とは目的が異なる)。

希少な野生動物を安易に輸入・売買しないこと、その背景にこの条約があることを理解しておく。

5生物多様性条約・カルタヘナ議定書・ウィーン条約

生物多様性条約は、生物の多様性を『生態系・種・遺伝子』の3つのレベルでとらえて守る条約。その関連で、遺伝子組換え生物の国境を越える移動を規制するのがカルタヘナ議定書。一方、ウィーン条約はオゾン層を保護する別系統の条約(フロン規制はモントリオール議定書)。

生物多様性条約は、地球上の多様な生命を守るための条約で、生物多様性を3つのレベルでとらえるのが特徴である。

すなわち、さまざまな環境(森・川・干潟など)がある『生態系の多様性』、いろいろな種がいる『種の多様性』、同じ種の中の遺伝的な違いである『遺伝子の多様性』の3つである。

この条約に関連して、遺伝子組換え生物(LMO)が国境を越えて移動することによる生物多様性への悪影響を防ぐために定められたのが『カルタヘナ議定書』である(日本ではカルタヘナ法として国内法が整備されている)。

一方、ウィーン条約は、これらとは系統の異なる、地球の『オゾン層』を保護するための条約である。

オゾン層は太陽からの有害な紫外線をさえぎる役割をもつ。

ウィーン条約のもとで、オゾン層を破壊するフロンなどの物質を具体的に規制するのが『モントリオール議定書』である。

(混同しやすいので、『生物多様性条約=生態系・種・遺伝子+カルタヘナ議定書(遺伝子組換え)』『ウィーン条約=オゾン層+モントリオール議定書(フロン)』と整理しておく。

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