診療簿(カルテ)と放射線記録の保存

獣医師は、診療した動物について診療簿(カルテ)を作成し、一定期間保存する義務がある。保存期間は動物の種類で異なり、牛・水牛・鹿・めん羊・山羊は8年間、その他の動物は3年間。あわせて、エックス線量の記録は5年間保存することや、放射線を扱う従事者の被ばく限度など、診療記録・放射線管理に関わる決まりを整理する。

1診療簿(カルテ)とは

診療簿(カルテ)は、獣医師が診療した動物について、その内容を記録した書類。獣医師法により、獣医師には診療簿を作成し、必要事項を記載して、一定期間保存する義務がある。死んだ動物を検案した記録は『検案簿』という。

診療簿(カルテ)は、獣医師が動物を診療したときに、その経過や内容を記録しておく書類である。

獣医師法により、獣医師は診療をした場合、診療簿に必要な事項を記載し、これを一定期間保存しなければならないと定められている。

記載するおもな事項には、動物の種類・飼い主の住所氏名・診療の年月日・病名や主要症状・処置や処方などがある。

また、死んだ動物を診て死因などを調べること(検案)を行った場合の記録は『検案簿』と呼ばれ、診療簿と同様に保存の対象となる。

これらの記録は、その後の診療の参考になるだけでなく、感染症の発生時の調査や、診療をめぐるトラブルの際の証拠としても重要な意味をもつ。

近年は、一定の要件を満たせば、紙ではなく電子的に記録・保存する『電子カルテ』も認められている。

2診療簿の保存期間(8年と3年)

診療簿・検案簿の保存期間は動物の種類で異なる。牛・水牛・鹿・めん羊・山羊については8年間、その他の動物(犬・猫など)については3年間。牛などが8年と長いのは、牛海綿状脳症(BSE)の潜伏期間が長いことを考慮しているため。

記録の保存期間。診療簿・検案簿は動物の種類で分かれ、牛・水牛・鹿・めん羊・山羊=8年、その他(犬・猫など)=3年。エックス線量の測定記録と放射性医薬品の投与記録は5年。牛などが8年と長いのはBSEなど潜伏期間の長い病気に配慮したもの。起算日は一連の診療が終了した日。放射線診療従事者の被ばく限度は5年で100mSv・年間50mSv(年平均20mSv)。

診療簿・検案簿の保存期間は、対象となる動物の種類によって2つに分かれる。

牛・水牛・鹿・めん羊・山羊については、8年間の保存が必要である。

それ以外のその他の動物(犬・猫・小動物など)については、3年間の保存が必要である。

牛などの保存期間が8年間と長く定められているのは、牛海綿状脳症(BSE、いわゆる狂牛病)など潜伏期間の長い病気を考慮しているためである。

長く記録を残すことで、後から発生した病気の追跡(さかのぼっての調査)ができるようにしている。

保存期間を数える起算日(数え始める日)は、その動物に対する一連の診療が終了した日である。

『牛・水牛・鹿・めん羊・山羊=8年、その他(犬猫など)=3年』と、大動物(反芻獣など)が長いと整理して覚えるとよい。

3エックス線量の記録の保存(5年)

動物の診療施設でエックス線(レントゲン)装置を使うときは、放射線の管理が必要。エックス線量の測定記録は5年間保存することが求められる。診療動物への放射性医薬品の投与記録も5年間保存する。

動物病院などの診療施設でエックス線(レントゲン)装置を使う場合、人や動物への放射線の影響を管理するためのルールがある(獣医療法など)。

施設では、エックス線装置を設置したらエックス線量(実効線量など)を測定し、その記録を残す。

このエックス線量の記録は、5年間保存することが求められている。

同様に、核医学検査・治療などで診療動物に放射性医薬品を投与した場合、その投与記録も5年間保存することが定められている。

診療簿(カルテ)の保存期間(3年または8年)とは別に、放射線関係の記録は5年間という点を区別して覚えておく。

これらの記録は、放射線が適切に管理されていることを確認し、過剰な被ばくを防ぐために重要である。

4放射線従事者の被ばく管理

エックス線などの放射線を扱う従事者(放射線診療従事者)には、被ばく線量の限度が定められている。実効線量は『5年間で100mSv、かつ年間50mSvを超えない(年平均20mSv)』が基本。防護衣の着用や記録などで被ばくを最小限にする。

エックス線撮影などで放射線を扱う人(放射線診療従事者)は、自分自身が浴びる放射線(被ばく)を一定の限度内に抑えなければならない。

被ばく線量の限度は、実効線量で『5年間で100mSv(ミリシーベルト)、かつどの1年間も50mSvを超えない』が基本とされ、平均すると年20mSvにあたる。

被ばくを減らすための原則として、放射線源からの距離をとる・遮へい(防護衣・防護ついたて)を使う・照射時間を短くする、といった工夫がある。

撮影の介助では、防護衣(プロテクター)・甲状腺カラー・防護手袋を着用する。

また、従事者の被ばく線量を測定・記録して管理することも重要である。

動物看護師も撮影介助で放射線に関わるため、自分と周囲の被ばくを減らす意識と、不要な再撮影を避ける正確な介助が求められる。

5記録の保存と動物看護

診療簿(3年/牛等8年)・検案簿、エックス線量の記録(5年)など、記録ごとに保存期間が決まっている。看護では、正確な記録の作成・整理、保存期間に応じた管理、個人情報・診療情報の適切な取り扱い(守秘)を支えることが役割。

ここまでの保存期間を整理すると、診療簿・検案簿は『その他の動物3年/牛・水牛・鹿・めん羊・山羊8年』、エックス線量や放射性医薬品投与の記録は『5年』である。

動物看護師は、診療の内容を正確に記録に残すことや、検査画像・記録の整理を補助し、定められた期間きちんと保存・管理できるよう支える役割を担う。

また、診療記録には飼い主や動物の情報が含まれるため、外部に漏らさない(守秘・個人情報の保護)配慮も欠かせない。

正確で適切に保存された記録は、継続的な診療の質を高め、感染症調査やトラブル時の説明にも役立つ。

『どの記録を、どれだけの期間、どのように保存・管理するか』を理解しておくことが大切である。

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