家畜伝染病の整理(牛・豚・鳥/病原体別)

家畜伝染病(法定伝染病)は、動物種と病原体の種類で整理すると覚えやすい。牛では、ウイルス=口蹄疫・牛疫、細菌=炭疽・結核・ブルセラ症・牛肺疫、原虫=ピロプラズマ病、プリオン=BSE(牛海綿状脳症)。豚では、ウイルス=豚熱(旧・豚コレラ)・アフリカ豚熱・日本脳炎・豚水疱病、細菌=豚丹毒・豚赤痢。鳥(家禽)では、ウイルス=高病原性鳥インフルエンザ・ニューカッスル病、細菌=家禽チフス・家禽コレラ。これらのうち、口蹄疫・牛疫・牛肺疫・BSE・高病原性鳥インフルエンザ・豚熱・アフリカ豚熱は、特に重大で緊急性が高い。

1家畜伝染病を病原体の種類で整理する

家畜伝染病(法定伝染病・28疾病)は、病原体の種類で整理できる。ウイルス(口蹄疫・牛疫・鳥インフルエンザ・豚熱など)、細菌(炭疽・結核・ブルセラ・牛肺疫・豚丹毒など)、原虫(ピロプラズマ病など)、プリオン(BSE)。さらに『どの動物種に起こるか』を組み合わせると覚えやすい。

家畜伝染病(法定伝染病28疾病)を病原体×動物種で整理。ウイルス=口蹄疫・牛疫(牛)/豚熱・アフリカ豚熱・日本脳炎・豚水疱病(豚)/高病原性鳥インフルエンザ・ニューカッスル病(鳥)。細菌=炭疽・結核・ブルセラ症・牛肺疫(牛)/豚丹毒・豚赤痢(豚)/家禽チフス・家禽コレラ(鳥)。原虫=ピロプラズマ病(牛)。プリオン=BSE(牛)。特に緊急性が高いものは殺処分・移動制限などの強い防疫措置がとられる。

家畜伝染病予防法が定める『家畜伝染病(法定伝染病、28疾病)』は数が多いので、『病原体の種類』と『どの動物の病気か』を組み合わせて整理すると覚えやすい。

病原体は大きく次のように分けられる。

・ウイルス:口蹄疫、牛疫、鳥インフルエンザ、ニューカッスル病、豚熱、アフリカ豚熱、日本脳炎、豚水疱病など。

・細菌:炭疽、(牛)結核、ブルセラ症、牛肺疫、豚丹毒、豚赤痢、家禽チフス、家禽コレラなど。

・原虫:ピロプラズマ病(バベシアなど)。

・プリオン:BSE(牛海綿状脳症)。

この章では、牛・豚・鳥(家禽)の順に、それぞれの主な家畜伝染病を病原体別に見ていく。

2牛の主な家畜伝染病

牛では、ウイルス性=口蹄疫・牛疫、細菌性=炭疽・(牛)結核・ブルセラ症・牛肺疫、原虫性=ピロプラズマ病、プリオン性=BSE(牛海綿状脳症)。口蹄疫は偶蹄類の重大なウイルス病、BSEはプリオンによる伝達性海綿状脳症。

牛の主な家畜伝染病を病原体別に整理する。

【ウイルス】口蹄疫(偶蹄類に感染する重大な病気)、牛疫(世界的に撲滅されたウイルス病)。

【細菌】炭疽(炭疽菌、人獣共通感染症)、牛結核、ブルセラ症(流産などを起こす人獣共通感染症)、牛肺疫(マイコプラズマによる肺の病気)。

【原虫】ピロプラズマ病(バベシアなどの原虫が赤血球に寄生し貧血を起こす。

マダニが媒介)。

【プリオン】BSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)。

核酸をもたない異常タンパク質(プリオン)が原因で、脳が海綿状になる伝達性海綿状脳症。

炭疽・結核・ブルセラ症は人にもうつる人獣共通感染症でもある点に注意する。

3豚の主な家畜伝染病

豚では、ウイルス性=豚熱(旧・豚コレラ)・アフリカ豚熱(旧・アフリカ豚コレラ)・日本脳炎・豚水疱病、細菌性=豚丹毒・豚赤痢。豚熱・アフリカ豚熱は感染力が強く重大。日本脳炎は蚊が媒介し、豚が増幅動物になる。

豚の主な家畜伝染病を病原体別に整理する。

【ウイルス】・豚熱(とんねつ)… かつての『豚コレラ』が改称されたもの。

豚の重大なウイルス病。

・アフリカ豚熱… かつての『アフリカ豚コレラ』が改称されたもの。

きわめて致死率が高く、ワクチンがなく、世界的に警戒される。

・日本脳炎… 蚊が媒介し、豚が体内でウイルスを増やす増幅動物になる。

・豚水疱病… 口・ひづめなどに水疱を作るウイルス病(口蹄疫と症状が似て紛らわしい)。

【細菌】・豚丹毒(ぶたたんどく)… 豚丹毒菌による病気で、皮膚の特徴的な病変などを起こす。

人にもうつる。

・豚赤痢… 細菌による下痢・血便を起こす腸の病気。

(※『豚コレラ→豚熱』『アフリカ豚コレラ→アフリカ豚熱』と名称が変更された点に注意。

4鳥(家禽)の主な家畜伝染病

鳥(家禽)では、ウイルス性=高病原性鳥インフルエンザ・ニューカッスル病、細菌性=家禽チフス・家禽コレラ。高病原性鳥インフルエンザは家きんに高い死亡を起こし、人にもうつりうる人獣共通感染症で、発生時は大規模な殺処分が行われる。

鳥(ニワトリなどの家禽)の主な家畜伝染病を病原体別に整理する。

【ウイルス】・高病原性鳥インフルエンザ… 家きんに高い死亡を起こすインフルエンザウイルスの病気。

人にもうつりうる人獣共通感染症で、発生時は大規模な殺処分・移動制限が行われる。

・ニューカッスル病… 神経症状や呼吸器症状を起こす重大なウイルス病。

【細菌】・家禽チフス… サルモネラの一種による家禽の細菌性疾患。

・家禽コレラ… パスツレラという細菌による家禽の病気。

鳥インフルエンザは、毒性の強さによって『高病原性』『低病原性』に分けられ、いずれも家畜伝染病に含まれる。

5特に重要・緊急性の高い家畜伝染病

家畜伝染病のうち、特に重大で緊急性が高いのは、口蹄疫・牛疫・牛肺疫・BSE(牛海綿状脳症)・高病原性鳥インフルエンザ・豚熱・アフリカ豚熱など。発生すると畜産に甚大な被害を与えるため、患畜の殺処分・移動制限・消毒などの強い防疫措置がとられる。

家畜伝染病(28疾病)のなかでも、発生すると畜産業に甚大な被害をもたらすため、特に重大で緊急性が高いとされるものがある。

代表的なのは次の疾病である。

・口蹄疫(偶蹄類のウイルス病)・牛疫(ウイルス病)・牛肺疫(細菌=マイコプラズマ)・BSE(牛海綿状脳症、プリオン病)・高病原性鳥インフルエンザ(ウイルス病)・豚熱(旧・豚コレラ、ウイルス病)・アフリカ豚熱(旧・アフリカ豚コレラ、ウイルス病)これらが発生した場合は、感染拡大を防ぐために、患畜・同居家畜の殺処分、広範囲の移動制限、消毒など、強い防疫措置がとられる。

これらの多くは、日本に存在しない(または撲滅した)『海外悪性伝染病』として、水際でも厳重に警戒されている。

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