動物に関わる法規(毒薬・劇薬/と畜場法/外来生物・輸入規制)

動物医療や動物の取り扱いに関わる法律を学ぶ。毒性の強い医薬品の表示ルール(毒薬は黒地に白枠・白字で『毒』、劇薬は白地に赤枠・赤字で『劇』。毒薬は施錠保管)。食肉のために解体できる動物を定めると畜場法の獣畜(牛・馬・豚・めん羊・山羊)。生態系などに害を及ぼすため飼育・輸入が規制される特定外来生物(アライグマ・ヌートリア・タイワンザル・ジャワマングース・キョンなど)。そして人に感染症をうつすおそれが高く輸入が禁止される動物(イタチアナグマ・コウモリ・サル・タヌキ・ハクビシン・プレーリードッグ・ヤワゲネズミ)を、文章と確認問題で理解する。

1毒薬と劇薬の表示・管理(薬機法)

毒薬・劇薬は、体内に入ると害を起こしやすい毒性・劇性の強い医薬品。表示は法律(薬機法)で決まっている。毒薬は『黒地に白枠・白字』で品名と『毒』、劇薬は『白地に赤枠・赤字』で品名と『劇』と表示する。毒薬のほうが毒性が強く、専用の施錠できる保管庫に保管する。

毒薬と劇薬の表示(薬機法)。毒薬=黒地に白枠・白字で品名と『毒』の字を表示し、毒性がより強い(劇薬の約10倍)ため専用の施錠できる保管庫に保管する。劇薬=白地に赤枠・赤字で品名と『劇』の字を表示。覚え方は『毒は黒(地が黒・白文字)/劇は赤(地が白・赤文字)』。

毒薬・劇薬は、内服や注射などで体内に入ったときに、副作用などの害を起こしやすい、毒性・劇性の強い医薬品で、薬機法(医薬品医療機器等法)にもとづいて厚生労働大臣が指定する。

毒薬は劇薬よりも毒性が強く、その強さにはおよそ10倍の差があるとされる。

毒性が強いため、容器や包装の表示が法律で決められている。

毒薬は、黒地(黒い背景)に白い枠をつけ、白い文字で、その品名と『毒』の字を表示する。

劇薬は、白地(白い背景)に赤い枠をつけ、赤い文字で、その品名と『劇』の字を表示する。

『毒は黒、劇は赤』『毒は地が黒で白文字、劇は地が白で赤文字』と覚えるとよい。

保管も区別が必要で、毒薬・劇薬はほかの医薬品と区別して貯蔵し、とくに毒薬は専用の鍵のかかる保管庫に保管しなければならない。

2と畜場法と対象の獣畜

と畜場法は、食肉のために動物を解体する『と畜場』について定めた法律。対象となる獣畜(と畜検査を受けて食用にできる動物)は、牛・馬・豚・めん羊・山羊の5種。これらは、と畜場で検査を受けてから食肉にされる。

と畜場法は、食肉にするために家畜を解体する施設である『と畜場』の衛生管理などについて定めた法律である。

この法律で対象となる動物を『獣畜(じゅうちく)』といい、牛・馬・豚・めん羊・山羊の5種類が定められている。

これらの動物は、と畜場で、と畜検査員(獣医師)による検査(と畜検査)を受け、病気などがないかを確認してから食肉として処理される。

検査によって、人の健康を害するおそれのある肉が市場に出回らないようにし、食品の安全を守っている。

(ニワトリなどの食鳥は、と畜場法ではなく『食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(食鳥検査法)』という別の法律で扱われる。

)牛・馬・豚・めん羊・山羊の5種を、と畜場法の獣畜として覚えておくとよい。

3特定外来生物(外来生物法)

特定外来生物は、もともと日本にいなかった外来の生物のうち、生態系・人・農林水産業に害を及ぼす(おそれがある)として外来生物法で指定されたもの。飼育・栽培・運搬・輸入・放出などが原則禁止される。哺乳類ではアライグマ・ヌートリア・タイワンザル・ジャワマングース・キョン・クリハラリス(タイワンリス)などがある。

外来生物(外来種)とは、もともとその地域にいなかったのに、人の活動によって持ち込まれた生物のことである。

そのうち、日本の生態系や、人の生命・身体、農林水産業に害を及ぼす、または及ぼすおそれがあるとして、外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)で指定されたものを『特定外来生物』という。

特定外来生物は、飼育・栽培・保管・運搬・輸入・野外への放出などが原則として禁止される。

哺乳類の特定外来生物には、アライグマ、ヌートリア、タイワンザル、ジャワマングース、キョン、クリハラリス(タイワンリス)などがある。

これらは、農作物を荒らしたり、在来の生き物を食べたり、生息地を奪ったりして、日本の自然や農業に大きな被害をあたえている。

すでに飼っている場合の扱いにも決まりがあり、勝手に逃がしたり捨てたりすることは禁止されている。

4感染症法による輸入禁止動物

感染症法では、人に重い感染症をうつすおそれが高い動物の輸入を禁止している。対象は、イタチアナグマ・コウモリ・サル・タヌキ・ハクビシン・プレーリードッグ・ヤワゲネズミ。それぞれSARS・狂犬病・エボラ出血熱・ペスト・ラッサ熱など、人にうつると危険な病気を媒介するおそれがあるため。

感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)では、人に重い感染症をうつすおそれが高い動物について、輸入を禁止している。

輸入が禁止されている動物は、イタチアナグマ・コウモリ・サル・タヌキ・ハクビシン・プレーリードッグ・ヤワゲネズミの7種類である。

これらが禁止されているのは、人にうつると危険な感染症を運ぶおそれがあるためである。

たとえば、イタチアナグマ・タヌキ・ハクビシンはSARS、コウモリは狂犬病やニパウイルス感染症、サルはエボラ出血熱やマールブルグ病、プレーリードッグはペスト、ヤワゲネズミはラッサ熱を媒介するおそれがある。

これらの動物を、ペットとして輸入することはできない。

(なお、サルなどは試験研究や展示などの目的で、決められた手続きを経て限られた地域から輸入できる場合がある。

)このほか、輸入できる動物でも、決められた届出や検疫の手続きが必要なものがある。

5法規の整理と動物看護師の関わり

毒薬・劇薬は表示と保管(とくに毒薬は施錠)のルールを守る。と畜場法は食の安全、外来生物法は生態系の保全、感染症法の輸入規制は人の健康(人獣共通感染症の予防)を守るための法律。動物看護師は、薬の適正な管理や、外来生物・人獣共通感染症についての正しい知識をもち、飼い主への助言や院内の管理に役立てる。

これらの法律は、それぞれ守ろうとしているものが異なる。

毒薬・劇薬のルール(薬機法)は、毒性の強い薬を誤用・事故・盗難から防ぎ、安全に使うためのものである。

と畜場法は、食肉の安全(食の安全)を守るための法律である。

外来生物法は、日本の生態系や農林水産業を、害を及ぼす外来生物から守るための法律である。

感染症法による輸入規制は、人獣共通感染症などから人の健康を守るための法律である。

動物看護師は、院内で毒薬・劇薬を表示・施錠のルールどおりに管理し、在庫を確認する役割をもつ。

また、特定外来生物や輸入が規制される動物、人獣共通感染症についての正しい知識をもつことで、飼い主からの相談に適切に応じ、不適切な飼育や持ち込みを防ぐことに役立てる。

理解できたら腕試し!
このテーマの確認テスト