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動物愛護管理法の実務(動物取扱業・虐待通報・多頭飼育)

動物愛護管理法の実務を扱う。動物を営利目的で扱う『第一種動物取扱業』(登録制・7業種・動物取扱責任者の選任義務)と、非営利で行う『第二種動物取扱業』(届出制・審査や責任者選任は不要)の違い。愛護動物をみだりに殺傷する行為(5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金)と、虐待・ネグレクト・遺棄(1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金)の区別、獣医師の虐待通報が努力義務から義務へ強化された経緯、多頭飼育崩壊と自治体の届出制度、地域でボランティア活動を行う動物愛護推進員の役割までを、図ではなく文章で読んで理解する。

1動物取扱業とは ― 第一種と第二種の違い

要点動物取扱業は、営利目的で行う『第一種動物取扱業』(登録制。事前に自治体の審査を受けて登録しなければ営業できない)と、非営利で行う『第二種動物取扱業』(届出制。特段の審査はなく、施設や取扱数を届け出れば足りる)に分かれる。対象は哺乳類・鳥類・爬虫類(実験動物・産業動物を除く)。

動物愛護管理法は、動物を取り扱う事業者を『動物取扱業』として規制している。

営利目的で動物を取り扱う場合は『第一種動物取扱業』にあたり、都道府県知事等の登録を受けなければ営業できない(登録制)。

ペットショップ、ブリーダー、ペットホテル、トリミングサロン、動物園などが該当する。

一方、非営利で動物を取り扱う場合は『第二種動物取扱業』にあたる。

こちらは第一種のような事前の審査はなく、現在行っている施設や取扱数を自治体に届け出れば足りる(届出制)。

動物の保護譲渡活動を行うボランティア団体・NPOなどで、一定数以上の動物を扱う場合が該当する。

対象となる動物は、哺乳類・鳥類・爬虫類で、実験動物や産業動物(畜産に利用される動物)は対象に含まれない。

第一種は業種別・事業所別に登録し、第二種は飼養施設を設置する場所ごとに届け出る、という申請単位の違いもある。

2第一種動物取扱業の7業種と規制

要点第一種動物取扱業には、販売・保管・貸出し・訓練・展示・競りあっせん・譲受飼養の7つの業種がある。登録業者には、動物取扱責任者の選任、標識(登録票)の掲示、自治体の研修受講、定期報告などが義務づけられる。

第一種動物取扱業として登録が必要な業種は、次の7つである。

①販売(ペットショップ、ブリーダーなど)、②保管(ペットホテル、トリミングサロンなど)、③貸出し(ペットレンタルなど)、④訓練(しつけ教室など)、⑤展示(動物園、水族館、ふれあい動物園など)、⑥競りあっせん(オークション市場)、⑦譲受飼養(老犬・老猫ホームなど、有償で動物を譲り受けて飼養する業)。

これら7業種のいずれかを営利目的で行う場合、事前に登録を受ける必要がある。

登録を受けた第一種動物取扱業者には、さまざまな義務が課される。

動物取扱責任者を各事業所に1名以上選任すること、事業所に標識(登録票)や名札(従業者証)を掲示すること、自治体が行う研修を定期的に受講すること、そして毎年の取扱状況等を自治体に報告することなどである。

販売業者にはさらに、購入者への事前説明(対面での現物確認・書面交付)や、適正な飼養・保管の実施なども義務づけられている。

3第二種動物取扱業 ― 非営利の届出制

要点第二種動物取扱業は、譲渡し・保管・貸出し・訓練・展示を非営利で行う場合に該当する。第一種と異なり事前の審査は無く、動物取扱責任者の選任義務や登録の更新も不要という、比較的緩やかな規制になっている。

第二種動物取扱業は、動物の譲渡し・保管・貸出し・訓練・展示を、非営利で(利益を目的とせずに)業として行う者が対象である。

動物の保護活動を行うボランティア・NPO法人などがこれにあたる。

第一種動物取扱業との大きな違いは規制の重さである。

第二種動物取扱業者には、第一種のような事前の審査は行われず、飼養施設ごとに現状を自治体へ届け出れば足りる(届出制)。

また、動物取扱責任者を選任する必要が無いこと、登録の更新(第一種は5年ごとの更新が必要)が無いことなど、第一種に比べて緩やかな規制となっている。

ただし、非営利であっても不適切な多頭飼育・飼養崩壊が起こりうるため、飼養状況の届出は適正飼養を確認するうえで重要な仕組みとなっている。

4愛護動物の殺傷・虐待・遺棄の罰則

要点動物愛護管理法は、愛護動物をみだりに殺し又は傷つけた場合を最も重く罰し、5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金とする。虐待(給餌・給水をやめる、酷使する、適切な保護を行わない等)や遺棄については、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金とする。

動物愛護管理法は、愛護動物(人が飼育している哺乳類・鳥類・爬虫類など)への加害行為を段階に分けて罰則を定めている。

最も重いのは、愛護動物をみだりに殺し、又は傷つける行為で、5年以下の拘禁刑又は500万円以下の罰金に処せられる。

これは令和元年(2019年)改正で罰則が引き上げられた経緯がある。

虐待は、積極的な暴行だけでなく、みだりに給餌・給水をやめる、酷使する、健康・安全の保持が困難な場所に拘束する、著しく不適正な飼養密度で衰弱させる、病気やケガをした動物の適切な保護を行わない、排せつ物や死体が放置された不衛生な環境で飼養・保管する、といったネグレクト(世話の放棄)も含まれる。

虐待や遺棄は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処せられる。

『殺傷』のほうが『虐待・遺棄』よりも重い罰則となっている点を押さえておく。

5動物虐待の通報 ― 獣医師の義務化

要点動物虐待とは、殺傷のような積極的な加害行為だけでなく、必要な世話を怠る・治療せず放置する・十分な餌や水を与えないといったネグレクトも含む。改正動物愛護管理法により、獣医師が虐待を受けたと思われる動物を診察した場合の通報は、努力義務から『遅滞なく通報しなければならない』という義務に強化された。

動物虐待は、動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠る、ケガや病気を治療せず放置する、十分な餌や水を与えないといった、いわゆるネグレクト(世話の放棄)も含む広い概念である。

動物虐待の早期発見・対応のために重要な役割を果たすのが、動物を診察する機会の多い獣医師である。

改正前の動物愛護管理法では、虐待の疑いがある動物を診察した獣医師が関係機関へ通報することは、努力義務(できるだけそうするよう努める、という位置づけ)にとどまっていた。

しかし法改正により、獣医師の通報は『遅滞なく通報しなければならない』という義務に強化された。

これにより、獣医師が虐待を疑った場合には、確実に関係機関(都道府県等の動物愛護管理部局や警察など)へ情報が伝わる仕組みになっている。

6多頭飼育崩壊と自治体の届出制度

要点多頭飼育崩壊とは、多数の動物を飼育した結果、飼い主の経済力や飼養能力を超えて適切な飼養管理ができなくなり、汚物の堆積など著しく不衛生な生活環境の悪化を引き起こしている状態をいう。早期把握のため、一定数以上の犬・猫の飼育者に自治体への届出を求める条例(多頭飼養届出制度)を設ける自治体が増えている。

多頭飼育崩壊とは、多数の動物(多くは犬・猫)を飼育した結果、飼い主の経済力や世話をする能力を超えてしまい、不妊去勢をしないまま繁殖が繰り返されるなどして頭数が増え続け、適切な飼養管理ができなくなった状態をいう。

汚物の堆積などにより、著しく不衛生な生活環境の悪化を引き起こしていることが多い。

これは飼育されている動物自身の虐待(ネグレクト)につながるだけでなく、周辺の生活環境や住民の健康にも悪影響を及ぼす社会問題となっている。

多頭飼育崩壊を未然に防ぎ、早期に状況を把握するため、多くの自治体では、一定数以上の犬・猫を飼育する場合に、自治体へ届け出ることを求める条例(多頭飼養届出制度)を設けている。

届出の対象となる頭数の基準は自治体ごとの条例で定められており、全国一律ではない。

届出を受けた自治体は、飼養状況を早期に把握し、適正な飼い方について助言するなど、崩壊に至る前の対応につなげている。

7動物愛護管理センターと動物愛護推進員

要点動物愛護管理センター(動物愛護センター)は、都道府県等が設置する、動物の愛護と適正な管理に関する業務(収容・譲渡、相談対応、動物取扱業の指導監督など)を担う行政機関。動物愛護推進員は、法に基づき自治体から委嘱される地域のボランティアで、住民への助言や普及啓発、災害時の動物保護への協力などを行う(任期2年)。

動物愛護管理センター(自治体によっては『動物愛護センター』等の名称)は、都道府県・政令指定都市などが設置する行政機関で、動物の愛護と適正な管理に関する業務を担う。

負傷動物や引取りを求められた動物の収容・譲渡、住民からの相談対応、動物取扱業者の指導監督、動物由来感染症対策などを行う。

一方、動物愛護推進員は、動物愛護管理法に基づき、都道府県知事等から委嘱される地域住民のボランティアである。

動物の愛護と適正な飼養についての理解を広めるため、身近な相談相手として住民に助言をしたり、行政が行う普及啓発活動に協力したりする。

動物愛護推進員の具体的な活動には、犬・猫などの愛護と適正な飼養の重要性について住民の理解を深めること、住民への飼養に関する助言、国や都道府県等が行う施策への協力、そして災害時における動物の避難・保護等の施策への協力などがある。

動物愛護推進員の委嘱の任期は、委嘱の日から2年間である。

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