自然毒・カビ毒による食中毒

食中毒のうち、生物がもともともつ毒(自然毒)やカビ毒によるものを、原因物質と原因食品の組み合わせで覚える。動物性自然毒では、フグ毒=テトロドトキシン(強力な神経毒)、シガテラ=シガトキシン(南方の魚)、テトラミン=ツブ貝(唾液腺)。カビ毒の代表はアフラトキシン(ナッツ・穀物に生えるカビ、強い肝発がん性)。植物性自然毒では、ソラニン=ジャガイモの芽・緑色の皮、スコポラミンなど=チョウセンアサガオ。化学物質ではヒ素などの無機毒がある。多くの自然毒は加熱では分解されないため、原因食品を口にしないことが予防の基本。

1自然毒・食中毒の分類

食中毒は、細菌・ウイルスによるもののほか、生物がもともともつ毒『自然毒』や、カビ毒・化学物質によっても起こる。自然毒は『動物性自然毒(フグ・シガテラ・有毒貝)』と『植物性自然毒(毒キノコ・ジャガイモの芽など)』に分けられる。多くの自然毒は加熱しても分解されないため、原因となる食品・部位を口にしないことが最大の予防になる。

食中毒と自然毒の分類。食中毒は細菌・ウイルスのほか、自然毒・カビ毒・化学物質でも起こる。自然毒は動物性(フグ=テトロドトキシン、シガテラ=シガトキシン、ツブ貝=テトラミン)と植物性(毒キノコ、ジャガイモの芽=ソラニン、チョウセンアサガオ)に分かれる。カビ毒の代表はアフラトキシン(アスペルギルスが産生、強い肝発がん性)。多くの自然毒は加熱しても分解されないため、有毒な食品・部位を口にしないことが最大の予防。

食中毒には、細菌(サルモネラ・腸管出血性大腸菌など)やウイルス(ノロウイルスなど)によるもののほか、生き物がもともと体内にもっている毒『自然毒』や、カビがつくる『カビ毒(マイコトキシン)』、ヒ素などの『化学物質』によるものがある。

自然毒は大きく2つに分けられる。

【動物性自然毒】フグ・シガテラ毒魚・有毒な貝など、動物がもつ毒。

【植物性自然毒】毒キノコ、ジャガイモの芽、有毒植物(チョウセンアサガオなど)の毒。

重要な共通点として、多くの自然毒は『加熱しても分解されない(こわれない)』。

そのため、加熱すれば安全になるわけではなく、原因となる食品や有毒な部位を『口にしない』ことが最大の予防になる。

2フグ毒(テトロドトキシン)

フグ毒の本体は『テトロドトキシン』という強力な神経毒。おもにフグの卵巣・肝臓などに含まれ、青酸カリの数百〜千倍ともいわれる。食後しばらくして口や手足のしびれ・麻痺が起こり、重症では呼吸麻痺で死亡する。加熱では分解されないため、専門の資格をもつ人が有毒部位を除去して調理する必要がある。

フグによる食中毒の原因物質は『テトロドトキシン』という神経毒である。

テトロドトキシンは神経の働き(ナトリウムチャネル)を妨げて、しびれや麻痺を起こす。

青酸カリ(シアン化カリウム)の数百〜千倍ともいわれるほど毒性が強い。

毒はおもにフグの卵巣・肝臓などの内臓に多く、種類や部位によって毒の強さが異なる。

症状は、食後20分〜数時間で口や舌・手足のしびれから始まり、進行すると運動麻痺・言語障害が起こり、重症では呼吸筋が麻痺して死亡する。

テトロドトキシンは加熱しても分解されないため、調理で無毒化することはできない。

フグの調理には有毒部位を正しく除去できる専門の知識・資格が必要で、素人調理による中毒が後を絶たない。

3その他の動物性自然毒(シガテラ・テトラミン)

シガテラは、南方のサンゴ礁の魚が毒化して起こる食中毒で、原因物質は『シガトキシン』(有毒な藻類が作り食物連鎖で魚に蓄積)。温度感覚の異常(冷たいものを熱く感じる『ドライアイスセンセーション』)が特徴。テトラミンは、ツブ貝(エゾボラなど)の『唾液腺』に含まれる毒で、めまい・頭痛・物が二重に見えるなどを起こす。

【シガテラ】熱帯・亜熱帯のサンゴ礁周辺にすむ魚を食べて起こる食中毒。

原因物質は『シガトキシン』で、有毒な渦鞭毛藻(プランクトン)が作った毒が、食物連鎖を通じて大型の魚に蓄積する。

シガテラの特徴的な症状は『温度感覚の異常(ドライアイスセンセーション)』で、冷たいものに触れると電気が走るように感じたり、熱く感じたりする。

下痢・嘔吐・関節痛・倦怠感なども起こり、回復に時間がかかることがある。

【テトラミン】『ツブ貝(エゾボラなどの巻貝)』の『唾液腺(だ液腺)』に含まれる毒。

唾液腺を取り除かずに食べると、食後まもなく、めまい・頭痛・船酔いのような感じ・物が二重に見える(複視)などの症状が出る。

比較的回復は早いが、唾液腺を除いて食べることが予防になる。

これらの毒も加熱では分解されにくい。

4カビ毒(アフラトキシン)

カビ毒(マイコトキシン)は、食品に生えたカビが作る毒。代表は『アフラトキシン』で、アスペルギルス(コウジカビの仲間)がナッツ類・穀物・トウモロコシなどに生えて作る。きわめて強い肝臓の発がん性をもつことで知られ、加熱にも強い。湿気を避けて保管し、カビた食品は食べないことが予防になる。

カビ毒(マイコトキシン)は、食品に生えたカビが産生する毒で、食中毒や慢性的な健康被害の原因になる。

もっとも有名なのが『アフラトキシン』である。

アフラトキシンは、アスペルギルス(コウジカビの仲間)の一部が、ピーナッツなどのナッツ類・穀物・トウモロコシ・香辛料などに生えて作る毒で、天然物のなかでもきわめて強力な『肝臓の発がん性』をもつことで知られる。

アフラトキシンは熱に強く、通常の加熱・調理では分解されにくい。

予防は、食品を湿気の多い場所に置かない・古くなった穀物やナッツを避ける・カビの生えた食品は食べないこと。

輸入食品ではアフラトキシンの基準値が定められ、検査が行われている。

5植物性自然毒(ソラニン・チョウセンアサガオ)と化学物質(ヒ素)

植物性自然毒では、ソラニン(チャコニン)=ジャガイモの芽・緑色になった皮の毒(吐き気・腹痛、家庭菜園の未熟なイモで子どもが中毒)、スコポラミン・アトロピンなど=チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)の毒で、ゴボウやオクラと間違えて食べる誤食が多い。化学物質ではヒ素などの無機毒(金属類)による食中毒もある。

【ソラニン】ジャガイモの『芽』や、日光で『緑色になった皮』に多く含まれる毒(ソラニン・チャコニン)。

吐き気・嘔吐・腹痛・頭痛などを起こす。

家庭菜園でとれた未熟な小さいイモや、芽・緑色の部分を十分に取り除かずに食べて、子どもが中毒を起こす例がある。

芽と緑色の部分をしっかり除くことが予防になる。

【チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)】スコポラミン・アトロピン・ヒヨスチアミンなどの毒成分(抗コリン作用)をもつ有毒植物。

根をゴボウと、葉をモロヘイヤやオクラと、つぼみをオクラと間違えるなど、ほかの野菜と誤認して食べる誤食による中毒が多い。

口の渇き・瞳孔散大・幻覚・頻脈などを起こす。

【ヒ素などの化学物質】自然毒ではないが、ヒ素などの『無機(金属)の毒物』が混入した食品による食中毒(化学性食中毒)もある。

過去には粉ミルクへのヒ素混入による大きな事件もあった。

植物性自然毒も加熱で分解されにくいものが多く、有毒植物を『食べない・間違えない』ことが基本の予防になる。

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