イヌ・ネコの感覚器

五感を受け取る感覚器の全体像、眼が光を網膜に結ぶしくみ、耳の聴覚と平衡、優れた嗅覚を支える鼻、そしてイヌ・ネコで多い感覚器疾患までを図解で理解する。

1感覚器の全体像(五感)

感覚器は外界の情報を受け取る窓口。視覚(眼)・聴覚(耳)・嗅覚(鼻)・味覚(舌)・触覚(皮膚)があり、イヌ・ネコは特に嗅覚・聴覚が発達。

視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚。イヌ・ネコは嗅覚・聴覚が発達。

感覚器は、光・音・におい・味・触れた刺激といった外界の情報を受け取り、神経を介して脳へ伝える器官である。

おもな感覚器には、視覚をつかさどる眼、聴覚と平衡をつかさどる耳、嗅覚の鼻、味覚の舌、触覚の皮膚がある。

受け取った刺激は感覚神経を通じて脳へ送られ、そこで『見える・聞こえる』などとして認識される。

イヌ・ネコはヒトに比べて嗅覚と聴覚が非常に優れており、生活や行動の多くをこれらの感覚に頼っている。

2眼の構造と見るしくみ

光は角膜→瞳孔→水晶体→網膜の順に進む。網膜が光を受容し、視神経で脳へ伝える。水晶体はピント調節のレンズ。

角膜→瞳孔→水晶体→網膜。網膜の像を視神経が脳へ運ぶ。

眼はカメラのように光を集めて像を結ぶ器官である。

光はまず角膜を通り、虹彩で囲まれた瞳孔から眼球内に入る。

瞳孔は明るさに応じて大きさを変え、入る光の量を調節する。

続いて水晶体(レンズ)でピントが合わされ、硝子体を通って眼球の奥の網膜に像を結ぶ。

網膜には光を受け取る細胞があり、その情報が視神経を通って脳へ送られて『見える』ことになる。

3耳の構造(聴覚と平衡)

耳は外耳・中耳・内耳に分かれる。音は外耳→鼓膜→耳小骨→蝸牛と伝わる。内耳の前庭・半規管が平衡感覚を担う。

音は外耳→鼓膜→耳小骨→蝸牛。前庭・半規管が平衡を担う。

耳は『聴く』はたらきと『平衡(バランスを保つ)』はたらきをもつ器官で、外耳・中耳・内耳に分けられる。

音は耳介で集められ、外耳道を通って鼓膜を振動させる。

その振動は中耳の耳小骨で増幅され、内耳の蝸牛(かたつむり状の器官)に伝わって音として感じ取られる。

内耳にはもう一つ、前庭と半規管という器官があり、体の傾きや回転を感じて平衡感覚をつかさどる。

イヌ・ネコの外耳道はL字に曲がっており、汚れや湿気がこもりやすい点も押さえておく。

4鼻(嗅覚)と優れた感覚

においは鼻腔の嗅上皮にある嗅細胞が受容し、嗅神経で脳へ伝える。イヌの嗅覚はヒトの数千〜数万倍ともいわれる。

嗅上皮の嗅細胞がにおいを受容し、嗅神経で脳へ伝える。

嗅覚は、空気中のにおいの分子を鼻腔の奥の嗅上皮にある嗅細胞が受け取ることで生じる。

受け取った刺激は嗅神経を通って脳(嗅球)へ送られ、においとして認識される。

イヌの嗅細胞はヒトよりはるかに多く、嗅覚はヒトの数千〜数万倍ともいわれ、警察犬や災害救助犬などに活かされている。

また、口の奥にはヤコブソン器官(鋤鼻器)があり、フェロモンなどを感じ取り、フレーメン反応を示すことがある。

嗅覚はイヌ・ネコの食欲や行動にも強く関わっている。

5イヌ・ネコの臨床ポイント

外耳炎(垂れ耳犬種・L字耳道で多い)、白内障(高齢・糖尿病で水晶体が濁る)、緑内障(眼圧上昇・緊急)に注意。

外耳炎・白内障・緑内障に注意。耳掃除や点眼補助も看護の役割。

感覚器はイヌ・ネコの診療でも相談が多い領域である。

外耳炎は、外耳道がL字に曲がり汚れや湿気がこもりやすいことから多く、特に垂れ耳の犬種で起こりやすい。

白内障は水晶体が白く濁る病気で、高齢や糖尿病のイヌに多く、進むと視力が低下する。

緑内障は眼圧が上がって強い痛みや失明の原因になり、急な眼の充血・痛みは緊急の対応が必要となる。

耳の汚れ・におい、目の濁り・充血、目や耳をこする行動は受診のサインで、耳掃除や点眼の補助は動物看護師の大切な役割である。

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