イヌ・ネコの神経系

中枢神経と末梢神経の区分、脳の3区分(大脳・小脳・脳幹)とはたらき、ニューロンによる興奮の伝達、自律神経(交感・副交感)の拮抗作用、そしてイヌ・ネコで多い神経疾患までを図解で理解する。

1神経系の全体像(中枢神経と末梢神経)

神経系は中枢神経(脳・脊髄)と末梢神経に大別。末梢は体性神経と自律神経(交感・副交感)に分かれる。

中枢神経(脳・脊髄)と末梢神経(体性・自律)の区分。

神経系は体の情報を集めて判断し、指令を出すしくみで、大きく中枢神経と末梢神経に分けられる。

中枢神経は脳と脊髄からなり、情報を処理して判断する司令塔である。

末梢神経は脳神経・脊髄神経として全身に張りめぐらされ、情報を中枢へ運び(感覚)、指令を体へ伝える(運動)。

末梢神経はさらに、自分の意思で動かす体性神経と、意思とは無関係に内臓を調節する自律神経に分けられる。

自律神経は交感神経と副交感神経の2系統からなる。

2脳の区分とはたらき

脳は大脳・小脳・脳幹に大別。大脳=高次機能、小脳=運動の協調と平衡、脳幹=呼吸・循環の生命維持中枢。

大脳=高次機能、小脳=協調と平衡、脳幹=生命維持。

脳は大きく大脳・小脳・脳幹に分けられ、それぞれ役割が異なる。

大脳は思考や本能、運動の指令、感覚の認識など高次のはたらきを担う。

小脳は運動の協調とバランス(平衡感覚)をつかさどり、ここが障害されるとふらつきや運動失調が起こる。

脳幹(中脳・橋・延髄など)には呼吸や心臓・血圧を調節する中枢があり、生命維持の要となる。

とくに延髄の呼吸中枢・循環中枢は、止まれば命に直結する。

3ニューロンと興奮の伝わり方

神経の機能単位はニューロン。樹状突起→細胞体→軸索の一方向に伝わり、シナプスで神経伝達物質を介して次へ渡す。

樹状突起→細胞体→軸索の一方向。シナプスで次へ橋渡し。

神経系の機能単位はニューロン(神経細胞)で、樹状突起・細胞体・軸索からなる。

情報は樹状突起で受け取られ、細胞体を経て軸索を通り、一方向に伝わっていく。

軸索を包む髄鞘(ミエリン)は電気的な絶縁体としてはたらき、興奮の伝導を速くする。

ニューロンどうしのつなぎ目はシナプスと呼ばれ、ここでは神経伝達物質(化学物質)を介して次のニューロンへ情報が渡される。

『樹状突起で受け取り、軸索で送り出す』という向きを押さえる。

4自律神経(交感神経と副交感神経)

自律神経は内臓を不随意に調節。交感=闘争逃走(心拍↑・瞳孔散大・消化↓)、副交感=休息消化(心拍↓・瞳孔縮小・消化↑)で拮抗。

交感=アクセル、副交感=ブレーキ。同じ臓器に拮抗的に作用。

自律神経は意思とは無関係に内臓や血管、分泌腺を調節し、交感神経と副交感神経の2系統がある。

交感神経は緊張・興奮(闘争・逃走)の場面ではたらき、心拍を速め、瞳孔を散大させ、消化を抑える。

副交感神経は休息・消化の場面ではたらき、心拍を遅くし、瞳孔を縮小させ、消化を促進する。

両者は同じ臓器に正反対に作用し(拮抗)、状況に応じてバランスをとっている。

交感=アクセル、副交感=ブレーキとイメージするとよい。

5イヌ・ネコの臨床ポイント

椎間板ヘルニア(ダックス等)、てんかん発作、前庭疾患(斜頸・眼振・ふらつき)に注意。発作や麻痺は経過の観察・記録が重要。

椎間板ヘルニア・てんかん発作・前庭疾患に注意。

神経はイヌ・ネコの診療でも問題が多い領域である。

椎間板ヘルニアはダックスフンドなどで多く、背骨の神経が圧迫されて後肢のふらつき・麻痺・痛みを起こす。

てんかん発作では全身のけいれんや意識消失がみられ、発作の時間や回数を記録することが治療方針に役立つ。

前庭疾患では平衡感覚が乱れ、斜頸(首が傾く)・眼振・運動失調(ふらつき)が現れる。

発作・麻痺・ふらつきは『いつ・どこが・どのくらい』を観察し、可能なら動画に残すと診察で役立つ。

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