イヌ・ネコの行動

本能行動と学習行動という行動の基礎、群れで暮らすイヌと単独で縄張りを守るネコの行動特性、社会化期と学習(条件づけ・正の強化)、そして分離不安などの問題行動までを図解で理解する。

1動物の行動の基礎(本能行動と学習行動)

行動は生まれつきの本能行動(生得的)と、経験で身につく学習行動に大別される。しつけ(トレーニング)は学習行動を利用したもの。

本能行動(生まれつき)と学習行動(経験で身につく)。

動物の行動は、大きく本能行動と学習行動に分けて考えられる。

本能行動は生まれつき備わった生得的な行動で、教わらなくてもできる狩りや食事、繁殖、身を守る行動などが含まれる。

これらは同じ種であれば共通してみられるのが特徴である。

一方、学習行動は経験を通じて後から身につく行動で、しつけで覚える『おすわり』や芸などがあたる。

学習行動は個体ごとに異なり、しつけ(トレーニング)はこの学習のしくみを利用している。

2イヌの行動特性

イヌは群れで暮らす社会的な動物。尾・耳・姿勢・表情で気持ちを表す。あくび・舌なめずりなどのカーミングシグナルは緊張のサイン。

イヌは社会的。尾・耳・姿勢のサインから気持ちを読み取る。

イヌはもともと群れで暮らす社会的な動物で、仲間とのやりとりを重視する。

そのため気持ちが体によく表れ、尾・耳・姿勢・表情といったボディランゲージが豊かである。

尾を高く振るのは興奮や自信、下げて隠すのは不安や服従、耳を伏せるのは恐れや緊張のあらわれである。

あくびや舌なめずりは、緊張をやわらげようとするカーミングシグナルと呼ばれるサインである。

こうしたサインを読み取り尊重することが、安全な取り扱いと咬傷事故の予防につながる。

3ネコの行動特性

ネコは単独で縄張りを大切にする狩猟者。マーキング(尿スプレー・頬すり)、狩猟本能、爪とぎは正常な行動。環境変化に敏感。

ネコは単独・縄張り重視。マーキング・狩猟・爪とぎは正常な行動。

ネコはイヌと違い、基本的に単独で行動し、縄張りを大切にする動物である。

尿スプレーや頬をこすりつける行動はマーキングで、自分のにおいをつけて縄張りを主張している。

動くものを追う狩猟本能や、爪の手入れと主張をかねた爪とぎも、ネコにとって正常な行動である。

ネコは環境の変化に敏感で、安心できる隠れ場所や、高い場所への上下運動を好む。

爪とぎや上り下りはやめさせるのではなく、場所や道具を工夫して満たしてあげることがストレス予防になる。

4社会化期と学習

社会化期(イヌ約3〜12週、ネコ約2〜7週)に人や環境に慣れるとこわがりにくい。学習には古典的条件づけとオペラント条件づけがあり、しつけは正の強化が基本。

社会化期に慣らす。しつけは「できたら褒める」正の強化が基本。

幼いころには、人や他の動物・音・環境に慣れる『社会化期』という大切な時期がある。

社会化期はイヌでおよそ生後3〜12週、ネコでおよそ生後2〜7週とされ、この時期に良い経験を重ねると、こわがりにくい性格に育ちやすい。

学習のしくみには、音と食事のように刺激どうしが結びつく古典的条件づけと、できたら褒美を与えるオペラント条件づけがある。

オペラント条件づけで、望ましい行動の直後に褒美を与えてその行動を増やすことを『正の強化』という。

しつけは罰よりも、できたら褒める正の強化を基本にするのが効果的である。

5臨床ポイント(問題行動)

分離不安(イヌに多い)、攻撃行動、不適切な排泄、常同行動が代表的。背景に病気・痛み・ストレスがあることも。叱るより原因を減らし望ましい行動を褒める。

分離不安・攻撃行動・不適切な排泄・常同行動に注意。

問題行動は飼い主からの相談が多く、動物看護師も関わる領域である。

分離不安はイヌに多く、留守番中の過剰な吠え・破壊・粗相などとして現れ、ひとりでいることが苦手で不安になる状態である。

攻撃行動は、恐怖・痛み・縄張りなどさまざまな背景があり、原因の見極めと安全管理が重要になる。

トイレ以外での排泄(不適切な排泄)や、過度な毛づくろいなどの常同行動には、しばしばストレスが関わっている。

問題行動の背景に病気や痛みが隠れていることもあり、叱るより原因を減らして望ましい行動を褒めて伸ばすのが基本である。

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