比較生殖解剖(子宮の型・卵巣・胎盤)

動物の生殖器は種によって形がちがう。子宮には単一子宮(ヒト)・双角/両分子宮(ウシ・ブタ・イヌ・ネコ・ウマ)・重複子宮(ウサギ・げっ歯類)がある。卵巣は皮質が外・髄質が内が基本だが、ウマだけは逆で排卵窩をもつ。胎盤も帯状(イヌ・ネコ)・盤状(ヒト・ウサギ)・散在性(ウマ・ブタ)・叢毛性(反芻類)に分かれる——この比較を整理する。

1子宮の型(単一・双角/両分・重複)

子宮は左右の管が癒合する程度によって型が決まる。単一子宮(癒合が進む)=ヒトなど霊長類、双角子宮・両分子宮(部分的に分かれる)=ウシ・ブタ・イヌ・ネコ・ウマ、重複子宮(左右が完全に分かれる)=ウサギ・多くのげっ歯類。

子宮の型は左右の管(ミュラー管)の癒合の程度で決まり、単一子宮(ヒトなど霊長類)・双角/両分子宮(ブタ・イヌ・ネコ・ウマ、ウシは両分)・重複子宮(ウサギ・げっ歯類)に分かれる。重複子宮では左右が癒合せず独立し、子宮頸が2つになる。

子宮の形は、発生のときに左右一対の管(ミュラー管)がどれだけ癒合(合体)するかによって決まり、動物種ごとに型がちがう。

単一子宮は、左右が大きく癒合して1つの子宮腔になった型で、ヒトなどの霊長類にみられる。

双角子宮は、1つの子宮体から左右一対の子宮角が伸びる型で、ブタ・イヌ・ネコ・ウマなどにみられる。

ウシは子宮体の中に隔壁が残る『両分子宮』に分類されるが、左右に角をもつ点で双角子宮のなかまとして扱われることが多い。

多くの胎子を育てたり、角の中で胎子を並べたりするのに適している。

重複子宮は、左右の子宮が癒合せずにそれぞれ独立し、子宮頸(けい)が2つある型で、ウサギや多くのげっ歯類(ネズミなど)にみられる。

『ヒトは単一、イヌ・ネコ・ウシ・ブタ・ウマは双角(両分)、ウサギ・げっ歯類は重複』とおおまかに整理して覚えるとよい。

2卵巣の構造(皮質・髄質)とウマの特殊性

卵巣は、外側の『皮質』と内側の『髄質』からなる。ふつう卵胞は外側の皮質にあり、ここから卵巣の表面を破って排卵する。ところがウマだけは例外で、皮質と髄質の位置が逆(髄質が中心・皮質が外周)になっており、『排卵窩(はいらんか)』という決まった場所から排卵する。

卵巣の実質は、外側の『皮質』と内側の『髄質』に分けられる。

多くの動物では、卵胞(卵子を含む袋)は外側の皮質の中で発育し、成熟すると卵巣の表面を破って卵子を放出する(排卵)。

髄質は内側にあり、血管や神経が通る。

つまり通常は『皮質=外側(卵胞がある)/髄質=内側』という配置である。

ところが、ウマ(馬)だけはこの配置が逆になっている。

ウマの卵巣では髄質が中心にあり、皮質がその外側を取り囲む構造をしている。

そのためウマでは、卵巣の表面のどこからでも排卵できるわけではなく、『排卵窩(ovulation fossa)』という決まったくぼみの部分からのみ排卵する。

この『ウマは卵巣の皮質と髄質が逆で、排卵窩から排卵する』という点は、ほかの動物との大きな違いとして試験でも問われやすい。

3卵胞とブタの多排卵

卵胞は卵子を包む袋で、成熟卵胞が排卵する。一度に排卵する数は動物で異なり、ヒトやウシは通常1個(単排卵)、イヌ・ネコやブタは一度に多数を排卵する(多排卵)。とくにブタは卵巣に卵胞がたくさん並び、ブドウの房のように見える。

卵胞は、卵子(卵母細胞)を取り囲む袋状の構造で、発育して大きくなり、成熟した卵胞(成熟卵胞)が破れて排卵する。

排卵後の卵胞は黄体に変わり、妊娠の維持に関わるホルモン(プロゲステロン)を出す。

一度の発情で排卵する卵子の数は動物によってちがう。

ヒトやウシは通常1個ずつ排卵する(単排卵)。

一方、一度にたくさんの子を産む動物(多胎動物)であるイヌ・ネコ・ブタなどは、一度に多数の卵子を排卵する(多排卵)。

とくにブタは、左右の卵巣に発育した卵胞や黄体がたくさん並び、その見た目がちょうど『ブドウの房』のように見えるのが特徴である。

多排卵する動物では、一度の妊娠で複数〜多数の胎子が子宮の中(とくに左右の子宮角)に並んで育つことになる。

4胎盤の形態(帯状・盤状)

胎盤は、絨毛がどのように分布するかで形が分類される。帯状胎盤は絨毛が帯のように胎子を1周する型でイヌ・ネコにみられる。盤状胎盤は絨毛が円盤状にまとまる型で、ヒト・サル・げっ歯類・ウサギにみられる。

胎盤は、胎子側の絨毛(じゅうもう)が母体側の子宮内膜とどのように接するか(絨毛の分布の形)によって、いくつかの型に分類される。

帯状胎盤(おびじょうたいばん)は、絨毛が胎子を包む膜の赤道のあたりを、帯(ベルト)のようにぐるりと1周する形に分布する型で、イヌ・ネコ(食肉類)にみられる。

盤状胎盤(ばんじょうたいばん)は、絨毛が限られた部分にまとまって、円盤(ディスク)状に母体側と接する型で、ヒト・サルなどの霊長類、マウスなどのげっ歯類、ウサギにみられる。

胎盤の型は、母体と胎子のあいだで栄養や酸素、抗体などをやりとりする効率や、出産時の出血のしかたにも関わる。

『帯状=イヌ・ネコ、盤状=ヒト・ウサギ・げっ歯類』とセットで覚えるとよい。

5胎盤の形態(散在性・叢毛性)

散在性(びまん性)胎盤は絨毛が膜全体に散らばる型で、ウマ・ブタにみられる。叢毛性(多胎盤・宮阜性)胎盤は絨毛が小さな塊(子宮小丘)として点在する型で、ウシ・ヒツジ・ヤギなどの反芻類にみられる。

残りの2つの型も押さえておく。

散在性胎盤(びまん性胎盤)は、絨毛が胎膜のほぼ全体に広く散らばって分布する型で、ウマ・ブタにみられる。

ウマは絨毛が全面にあるため『完全散在性』、ブタは胎嚢の両端に絨毛のない部分があるため『不完全散在性』と呼ばれる。

叢毛性胎盤(そうもうせいたいばん。

多胎盤・宮阜性胎盤ともいう)は、絨毛がいくつもの小さな塊(ボタン状の集まり)に分かれて点在する型で、ウシ・ヒツジ・ヤギなどの反芻類にみられる。

この絨毛の塊が母体側の盛り上がり(子宮小丘=カルンクル)と組み合わさって、胎盤葉(プラセントーム)をつくる。

まとめると、胎盤の型は『散在性=ウマ・ブタ』『叢毛性(多胎盤)=反芻類(ウシ・ヒツジ・ヤギ)』『帯状=イヌ・ネコ』『盤状=ヒト・ウサギ・げっ歯類』の4つを、代表動物とセットで覚えるのが効率的である。

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