泌尿器の病気(各論)

イヌ・ネコの泌尿器の病気を、症状の見方から代表的な病気、検査と看護までを学ぶ。泌尿器疾患のサイン、高齢ネコに多い慢性腎臓病、尿石症と下部尿路疾患、緊急の雄ネコの尿道閉塞、そして検査と看護のポイントを、図ではなく文章で読んで理解する。

1泌尿器疾患のサイン

多飲多尿、頻尿・血尿・排尿時の痛み、トイレに行くのに尿が出ない、尿の色や量・においの変化などがサイン。とくに『尿が全く出ない』は命に関わる緊急事態である。

腎臓・尿管・膀胱・尿道の各部位に、本文で扱う代表的な病気を対応づけた図。腎臓の慢性腎臓病(CKD)と、膀胱・尿道に生じる下部尿路疾患(FLUTD:尿石症・膀胱炎・特発性膀胱炎・尿道閉塞)を整理している。

泌尿器は、血液から老廃物をこして尿をつくり、ためて排出する器官系である。

その病気のサインには、水をたくさん飲み尿が多くなる多飲多尿、何度もトイレに行く頻尿、血の混じった尿(血尿)、排尿時に痛がる、不適切な場所での排尿、尿の色・量・においの変化などがある。

なかでも、トイレで何度もいきむのに尿が出ない・全く出ていないという状態は、尿道がつまっている可能性があり、短時間で命に関わる緊急事態である。

飲水量や尿の量・回数・色を観察することが、泌尿器の病気の早期発見につながる。

2慢性腎臓病(CKD)

高齢ネコに非常に多く、腎臓の働きが徐々に・不可逆的に低下する病気。多飲多尿・体重減少・食欲不振から、進行すると老廃物がたまる尿毒症に至る。治療はリンを制限した食事療法や輸液などで進行をやわらげる。

慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の働きが長い時間をかけて徐々に低下していく病気で、とくに高齢のネコに非常に多い。

腎臓の組織は一度壊れると元に戻らないため、CKDは基本的に不可逆的で、進行性である。

初期は多飲多尿や体重減少・食欲のむらなどがみられ、進行すると老廃物が体にたまって尿毒症となり、嘔吐・元気消失・貧血などが現れる。

治療では、腎臓の負担を減らすリンを制限した食事療法(療法食)が中心となり、脱水に対する輸液(皮下輸液など)も行われる。

完治は難しいが、早期からの管理で進行をやわらげ、生活の質を保つことを目指す。

3尿石症と下部尿路疾患(FLUTD)

尿中の成分が結晶・結石になる尿石症(ストルバイト、シュウ酸カルシウムなど)や、膀胱炎、原因のはっきりしない猫の特発性膀胱炎など、膀胱・尿道のトラブルをまとめて下部尿路疾患(FLUTD)と呼ぶ。食事・飲水管理が重要。

膀胱から尿道にかけての病気は、まとめて下部尿路疾患(FLUTD)と呼ばれる。

尿石症は、尿の中の成分が結晶や結石(石)になる病気で、ストルバイトやシュウ酸カルシウムなどの種類がある。

結石は膀胱や尿道を傷つけたり詰まらせたりする。

膀胱炎では、頻尿・血尿・排尿時の痛みがみられる。

ネコでは、検査をしても明らかな原因が見つからない特発性膀胱炎が多く、ストレスが関与すると考えられている。

これらの予防・管理には、結石ができにくい食事(療法食)や、十分な飲水で尿を薄めること、ストレスの軽減などが重要である。

4雄ネコの尿道閉塞(緊急)

雄ネコは尿道が細く、結石や栓子で詰まりやすい。尿道が閉塞すると尿が出せなくなり、急性腎不全・高カリウム血症をきたして短時間で致死的になる。何度もいきむのに尿が出ない様子は、ただちに受診すべき緊急事態。

雄ネコは尿道が細く長いため、結晶や栓子(細胞や粘液のかたまり)で尿道が詰まりやすい。

尿道が完全に閉塞すると、尿が出せなくなって膀胱や腎臓に圧がかかり、老廃物やカリウムが体にたまる。

その結果、急性腎不全や高カリウム血症を起こし、高カリウム血症は重い不整脈から心停止に至るため、短時間で命に関わる。

トイレで何度もいきむのに尿が出ない、苦しそうに鳴く、ぐったりするといった様子は、尿道閉塞を強く疑う緊急のサインで、ただちに受診が必要である。

治療では、尿道カテーテルなどで閉塞を解除し、輸液や電解質の補正を行う。

5検査と看護

尿検査(比重・pH・結晶・潜血など)、血液検査(BUN・クレアチニン・SDMA・カリウム)、画像で評価する。看護では、採尿の補助、飲水を増やす工夫、療法食の管理、排尿の様子の観察、慢性腎臓病での在宅輸液の指導などを行う。

泌尿器の病気では、尿検査が基本となり、尿の濃さ(比重)、pH、結晶や細菌の有無、血液の混入(潜血)などを調べる。

血液検査では、腎機能を反映するBUN・クレアチニン・SDMAや、危険な高値になりうるカリウムなどを確認する。

X線や超音波で、結石や腎臓・膀胱の状態を評価する。

採尿は、膀胱を直接針で刺す膀胱穿刺など目的に応じた方法があり、看護師が補助する。

看護では、飲水量を増やす工夫(水飲み場を増やす、ウェットフードの活用など)、結石や腎臓に配慮した療法食の管理、排尿の回数・量・色の観察が重要である。

慢性腎臓病では、在宅での皮下輸液の手技を飼い主に指導することもある。

理解できたら腕試し!
このテーマの確認テスト