尿管結石・尿管閉塞と外科処置

尿管に結石が詰まる尿管閉塞は、とくに猫で問題になり、その大半はシュウ酸カルシウム結石。閉塞した側の腎臓に尿がたまって腎機能が落ち、両側や残腎で起こると急性腎不全になる。内科治療の限界と、尿管切開術・尿管膀胱新吻合術、尿管ステントやSUBシステム、腎瘻チューブといった外科的処置、膀胱切開術、周術期看護を学ぶ。

1尿管結石・尿管閉塞とは

尿管は腎臓と膀胱をつなぐ細い管。ここに結石(猫ではほとんどがシュウ酸カルシウム)が詰まると尿管閉塞となり、閉塞側の腎臓に尿がたまって(水腎症)腎機能が低下する。両側性や残された腎臓で起こると急性腎不全となり、緊急性が高い。

尿は腎臓から尿管を通って膀胱へ運ばれる。尿管に結石が詰まる(尿管閉塞)と上流の腎臓に尿がたまって腫れ(水腎症)、腎機能が低下する。

尿管は、腎臓でつくられた尿を膀胱まで運ぶ、左右1本ずつの細い管である。

この尿管に結石が詰まると尿管閉塞となり、尿の流れがせき止められて、その上流である腎臓の腎盂に尿がたまって腫れる(水腎症)。

圧がかかった腎臓は、しだいに機能が低下する。

とくに猫で問題になりやすく、猫の尿管結石の大部分(98%以上ともいわれる)はシュウ酸カルシウムである。

シュウ酸カルシウムは食事では溶かせないため、対応が難しい。

片側だけの閉塞では、もう一方の腎臓が働くため症状が出にくいこともあるが、両側がつまったり、もともと片方の腎機能が落ちている動物で起こったりすると、尿が十分につくれず急性腎不全(尿毒症)に陥り、命に関わる緊急事態となる。

症状は、食欲不振・元気消失・嘔吐などの尿毒症症状で、はっきりした排尿異常が目立たないこともあるため、血液・画像検査での評価が重要になる。

2内科治療とその限界

まずは輸液で全身状態(脱水・尿毒症・高カリウム)を立て直しつつ、結石が自然に膀胱へ流れ落ちるのを促す内科治療を試みる。尿管をゆるめる薬(アミトリプチリンなど)が使われることもあるが、結石による閉塞には効果が限られ、改善しなければ外科・インターベンションへ移行する。

尿管閉塞の初期対応では、まず命を守るための全身管理が優先される。

点滴(輸液)で脱水を補い、尿毒症や高カリウム血症(不整脈の原因になる)を是正し、利尿をうながして結石が自然に膀胱側へ流れ落ちるのを期待する。

尿管の筋肉をゆるめて結石を通りやすくする目的で、アミトリプチリンなどの薬剤が使われることもある。

しかし、結石ががっちり詰まった尿管閉塞では、内科治療だけで結石が動くとは限らず、効果は限定的である。

内科治療を行っても閉塞が解除されず腎機能が悪化していく場合は、時間をかけすぎると腎臓がダメになってしまうため、外科手術やインターベンション(ステント・バイパス)による積極的な閉塞解除へ切りかえる判断が必要になる。

3尿管切開術と尿管膀胱新吻合術

尿管切開術は、尿管を切り開いて結石を取り出し、細い糸(ナイロンなど)で縫合する手術。膀胱に近い側(遠位)の結石や狭窄では、その部分の尿管を切り、腎臓側の太い尿管を膀胱へつなぎ直す尿管膀胱新吻合術が選ばれる。尿管は細いため顕微鏡下のマイクロサージェリーで行う。

結石による尿管閉塞に対する古典的な外科手術が、尿管そのものを操作する方法である。

尿管切開術(ureterotomy)は、結石が詰まっている部分の尿管を切り開いて結石を取り出し、極細の縫合糸(ナイロンなど)で尿管を縫い合わせる手術である。

尿管膀胱新吻合術(神経吻合ではなく『新吻合』。

neoureterocystostomy)は、膀胱に近い側(遠位)の尿管が詰まったり狭窄・慢性炎症を起こしたりしている場合に行う。

問題のある遠位尿管を切り離し、比較的太く健康な腎臓側の尿管を、膀胱に直接つなぎ直す方法である。

体内に異物(ステントなど)を残さずにすむ利点がある。

尿管はとても細い管のため、これらの手術は手術用顕微鏡や拡大鏡を使ったマイクロサージェリー(微小外科)で慎重に行われる。

術後は、縫合部からの尿漏れや再狭窄、再発などに注意して管理する。

4尿管ステント・SUBシステム・腎瘻チューブ

尿管ステントは、腎盂から尿管・膀胱へ細い管を留置して尿の通り道を確保する。SUBシステムは、尿管を介さず腎臓と膀胱を皮下のチューブとポートで直接つなぐバイパス。腎瘻チューブは、腎盂に直接チューブを入れて尿を体外へ出す方法で、急性期の一時的な減圧に使う。

近年は、尿管そのものを縫う手術に代わって、デバイス(医療器具)を使って尿の通り道を確保するインターベンションが広く行われている。

尿管ステントは、腎盂から尿管を通って膀胱まで、細い管(ステント)を留置して尿の通り道を内側から確保する方法である。

両端がくるりと丸まる(ピッグテール)形状で、腎臓内と膀胱内で丸まって抜けにくくなっている。

SUBシステム(皮下尿管バイパス)は、詰まりやすく細い尿管を介さず、腎臓(腎盂)と膀胱を、皮下に通したチューブと体表近くのポートで直接つなぐバイパス装置である。

尿管の閉塞を確実に迂回して尿を膀胱へ流せるのが利点で、猫の尿管閉塞でよく用いられる。

腎瘻チューブ(ネフロストミーチューブ)は、腎臓の腎盂に直接チューブを刺し入れて、尿路(尿管・膀胱)を介さずに尿を体外へ排出する方法である。

おもに急性期に、つまった腎臓の圧を一時的に下げて腎機能を守る目的で設置する。

これらは、結石を直接取り除くのではなく、尿の流れ道を確保して腎臓を守る発想の処置である。

5膀胱切開術と周術期の看護

膀胱内の結石は、膀胱切開術で取り出す。バブコック鉗子などで膀胱を持ち上げて切開し、結石を摘出して縫合する。周術期看護では、術前の全身状態(脱水・尿毒症・高K)の安定化、術後の排尿・尿量・尿色の観察、痛みの管理、尿漏れ・閉塞再発の早期発見が重要。

膀胱の中にある結石は、膀胱切開術(cystotomy)で取り出す。

膀胱を露出させ、バブコック鉗子などで膀胱壁をやさしく把持・挙上して切開し、中の結石を摘出してから縫合する。

摘出した結石は成分を分析し、種類に応じた再発予防につなげる。

尿管・膀胱の手術はいずれも泌尿器の手術であり、周術期(術前・術中・術後)の看護が予後を左右する。

術前には、脱水・尿毒症・高カリウム血症などを輸液で是正し、麻酔に耐えられる状態に整えることが大切である(とくに尿管閉塞では高カリウムによる不整脈に注意)。

術後は、尿が順調に出ているか(尿量・尿色・血尿の有無)、尿カテーテルやドレーン・SUBポートの管理、腹腔内への尿漏れ徴候(腹痛・腹部膨満・元気消失)がないか、痛みのサインがないかを継続的に観察し、異常を早期に獣医師へ報告する。

また、結石は再発しやすいため、退院後の飲水・療法食・定期検査の重要性を飼い主に伝えることも、動物看護師の大切な役割である。

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