皮膚に寄生するダニ(ニキビダニ・疥癬・ミミヒゼンダニ)

犬猫の皮膚に寄生する3種類のダニを学ぶ。毛包(毛穴の奥)にすむニキビダニ(毛包虫・アカラス)は目では見えず、皮膚を出血するまで擦る掻爬検査や、毛を抜いて根もとを調べる抜毛検査で見つける。治療はイベルメクチンなどの内服やイソキサゾリン系、過酸化ベンゾイル・クロルヘキシジン・硫黄サリチル酸のシャンプー。ヒゼンダニによる疥癬は激しいかゆみを起こし、人にもうつる(人獣共通)。ミミヒゼンダニ(耳ヒゼンダニ)は足が長く、犬・猫・フェレットなど肉食獣の外耳道に寄生して黒い耳垢の外耳炎を起こす。これらを文章と確認問題で理解する。

1ニキビダニ症(毛包虫・アカラス)とは

ニキビダニ(毛包虫・アカラス)は、毛包(毛穴の奥)にすむダニで、目では見えない。じつは健康な犬の皮膚にも少数が常在しており、ふつうは無害。若齢や、病気・免疫の低下などで数が異常に増えると、脱毛などの皮膚病(ニキビダニ症)を起こす。かゆみは比較的軽いが、細菌の二次感染(膿皮症)が加わると悪化する。

本文で学ぶ3種のダニを、寄生部位と特徴・症状で対比した表。ニキビダニは毛包にすむ常在ダニでうつりにくく、疥癬のヒゼンダニは皮膚の角質に寄生して激しいかゆみで人にもうつり、ミミヒゼンダニは外耳道に寄生して黒い耳垢の外耳炎を起こす。

ニキビダニ(毛包虫、アカラス、デモデックス)は、毛包(毛穴の奥)の中にすむ細長いダニで、とても小さく目では見えない。

じつは、健康な犬の皮膚にも、ごく少数のニキビダニが常在しており、ふだんは悪さをしない。

ところが、子犬など免疫がまだ未熟なときや、病気・ステロイド・免疫の低下などで体の抵抗力が落ちると、ニキビダニが毛包の中で異常に増えてしまう。

増えすぎると、目のまわりや口のまわり、足先などに脱毛や赤み、フケなどの皮膚病(ニキビダニ症・毛包虫症)を起こす。

ニキビダニ症は、疥癬とちがってかゆみは比較的軽いことが多いが、毛包がダメージを受けて細菌の二次感染(膿皮症)が加わると、かゆみ・うみ・かさぶたが出て悪化する。

ニキビダニは常在のダニで、基本的に動物どうしでうつる病気ではない(母犬から授乳中の子犬に移る程度)点も、人や動物に広くうつる疥癬とのちがいである。

2ニキビダニの検査と治療

目に見えないので、検査で見つける。皮膚を(出血する程度まで)しっかり擦って毛包の中の虫を集める皮膚掻爬検査や、毛を抜いて根もとに付いた虫を見る抜毛検査で診断する。治療は、イベルメクチンなどの駆虫薬の内服やイソキサゾリン系の薬、そして過酸化ベンゾイル・クロルヘキシジン・硫黄サリチル酸などのシャンプー。

ニキビダニは目で見えないため、検査で虫を見つけて診断する。

皮膚掻爬検査(そうはけんさ)は、メスの刃などで皮膚の表面を、毛包の奥の虫が出てくるように、少し出血する程度までしっかり擦り取り、集めたものを顕微鏡で観察する検査である。

抜毛検査(ばつもうけんさ)は、掻爬がしにくい部位(目のまわりや指の間など)で、毛を抜いて、その毛の根もとに付いているニキビダニを顕微鏡で観察する検査である。

治療には、ダニを駆除する薬を用いる。

従来から、イベルメクチン、ドラメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシンオキシムといった駆虫薬の内服が使われてきた。

近年は、ノミ・マダニ用としても使われるイソキサゾリン系の薬(アフォキソラネルなど)が、犬のニキビダニ症にもよく効くことがわかり用いられている。

あわせて、毛包を洗浄する過酸化ベンゾイルや、殺菌作用のあるクロルヘキシジン、硫黄(イオウ)サリチル酸などを含む薬用シャンプーで、皮膚を清潔に保ち二次感染を抑える。

なお、イベルメクチンはコリー系などの一部の犬で中毒を起こしやすいため、量や使い方に注意する。

3疥癬(ヒゼンダニ)

疥癬は、ヒゼンダニ(センコウヒゼンダニ)が皮膚の角質層にトンネルを掘って寄生する病気。非常に激しいかゆみを起こすのが特徴で、接触によって動物どうしや人にもうつる人獣共通感染症。治療は、セラメクチンなどのスポット薬、イソキサゾリン系、イベルメクチンなどの駆虫薬を用いる。

疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニ(センコウヒゼンダニ、サルコプテス)が皮膚に寄生して起こる皮膚病である。

ヒゼンダニは、皮膚のいちばん外側(角質層)にトンネルを掘って入り込み、そこで卵を産む。

このため、非常に激しいかゆみを起こすのが大きな特徴で、動物は体をかきむしり、かさぶた・フケ・脱毛が広がる。

耳のふち、ひじ、おなかなどから症状が出やすい。

ニキビダニ症がほとんどうつらないのに対し、疥癬は接触によって動物どうしにうつり、人にも一時的にうつる人獣共通感染症である。

そのため、感染動物の隔離や、寝具・環境の清掃も大切になる。

治療には、セラメクチンやモキシデクチンなどのスポット(背中に垂らす)薬、イソキサゾリン系の薬、イベルメクチンなどの駆虫薬を用いる。

4ミミヒゼンダニ(耳ヒゼンダニ)

ミミヒゼンダニ(耳ヒゼンダニ、耳ダニ)は、足が長く比較的大きめのダニで、犬・猫・フェレットなどの肉食獣の外耳道に寄生する。激しいかゆみと、黒褐色でカサカサした耳垢を伴う外耳炎を起こす。感染力が強く、同居動物にうつりやすい。

ミミヒゼンダニ(耳ヒゼンダニ、耳ダニ、オトデクテス)は、足が長く、ヒゼンダニより比較的大きめのダニである。

犬・猫・フェレットなどの肉食獣の外耳道(耳の穴の中)に寄生する。

耳の中で動き回り、強いかゆみを起こすため、動物はしきりに耳をかいたり、頭をふったりする。

そして、黒褐色でカサカサ・ボロボロした特徴的な耳垢がたまる外耳炎を起こす。

ミミヒゼンダニは感染力が強く、接触によって同居の動物(とくに子犬・子猫)にうつりやすい。

診断は、耳垢を採って顕微鏡で動くダニや卵を確認する。

治療には、セラメクチンなどの駆虫薬や、耳の洗浄・点耳薬を用い、同居動物もあわせて治療することが大切である。

53つのダニのまとめと看護

ニキビダニは毛包にすむ常在ダニで、ほとんどうつらず、かゆみは軽め(免疫低下で増える)。疥癬(ヒゼンダニ)は激しいかゆみで人獣共通、接触でうつる。ミミヒゼンダニは外耳道に寄生し黒い耳垢の外耳炎を起こす。看護では、検査の補助、薬用シャンプーや点耳・投薬の管理、同居動物の管理、人獣共通の疥癬での感染防止が役割。

3つのダニは、すむ場所・うつりやすさ・かゆみの強さで整理すると区別しやすい。

ニキビダニ(毛包虫)は毛包にすむ常在のダニで、基本的にうつらず、かゆみは比較的軽い(免疫が落ちると増える)。

疥癬のヒゼンダニは皮膚の角質に寄生し、激しいかゆみを起こして、接触で動物どうしや人にもうつる(人獣共通)。

ミミヒゼンダニは外耳道に寄生し、黒い耳垢を伴う外耳炎を起こして、同居動物にうつりやすい。

動物看護師は、掻爬検査・抜毛検査・耳垢検査の準備や補助を行い、薬用シャンプーや点耳薬・内服薬の使い方を飼い主に指導する。

また、疥癬やミミヒゼンダニはうつるため、同居動物もあわせて治療・管理し、疥癬では人への感染にも注意して手洗い・防護を行う。

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