その他の寄生虫(アニサキス・糞線虫・東洋眼虫)

回虫・鉤虫・鞭虫・フィラリアなどの主要寄生虫に加えて知っておきたい、アニサキス(海の魚介から人にうつる)、糞線虫(皮膚から侵入し自家感染する小腸の線虫)、東洋眼虫(目に寄生しメマトイが媒介する)を取り上げる。それぞれの寄生部位・感染源・症状を、図ではなく文章で読んで学ぶ。

1寄生虫の感染経路のおさらい

寄生虫は感染の入り口がさまざま。口から入る経口感染、皮膚から入る経皮感染、蚊・ハエなどが運ぶ媒介感染などがある。なかには、宿主の体内で増えて自分自身に再感染する自家感染を起こすものもある。

アニサキス・糞線虫・東洋眼虫の寄生部位・感染経路・特徴を寄生虫ごとに整理した一覧表。寄生部位と感染源の組み合わせで区別する。

寄生虫がどのように体に入るか(感染経路)は、種類によってさまざまである。

口から虫卵や幼虫・あるいは中間宿主ごと取り込む経口感染、皮膚をやぶって入る経皮感染、蚊やハエなどの生物が運ぶ媒介感染などがある。

また、糞線虫のように、宿主の体内で幼虫が成長して同じ個体に再び感染する『自家感染』を起こすものもあり、短期間に大量の寄生虫に増えることがある。

ここでは、主要な寄生虫の早見では扱っていない、アニサキス・糞線虫・東洋眼虫を取り上げる。

2アニサキス

アニサキスは、クジラ・イルカなどの海産哺乳類を終宿主とする線虫。第1中間宿主はオキアミ、それを食べた魚(サバなど)やイカが第2中間宿主になる。ヒトが生の魚介を食べて幼虫を取り込むと、胃や腸の壁に刺入して激しい腹痛・悪心・嘔吐(アニサキス症)を起こす。

アニサキスは、本来クジラ・イルカ・アザラシなどの海産哺乳類を終宿主(成虫になる宿主)とする線虫である。

生活史では、海中でふ化した後、第1中間宿主であるオキアミに食べられ、そのオキアミを食べたサバなどの魚やイカが第2中間宿主となり、その体内に幼虫がとどまる。

ヒトは、この幼虫がいる生の魚介を食べることで感染するが、ヒトの体内では成虫になれない。

幼虫が胃や腸の壁に頭を突き刺すことで、食後数時間〜十数時間してから、激しいみぞおちの痛み(心窩部痛)・悪心・嘔吐などの急性症状(胃アニサキス症・腸アニサキス症)を起こす。

ヒトの食中毒(寄生虫性食中毒)として重要で、予防には十分な加熱や冷凍が有効である。

3糞線虫

糞線虫は小腸に寄生する線虫で、運動性の幼虫が無傷の皮膚をやぶって入る経皮感染が特徴。体内で自家感染を起こして短期間に大量に増え、とくに子犬や多頭飼育で重症化しやすい。経口・経乳でも感染する。

糞線虫(ふんせんちゅう)は、小腸に寄生する線虫である。

外界にいる運動性の幼虫が、傷のない皮膚や粘膜をやぶって侵入する経皮感染が特徴で、皮膚から入った幼虫は血流・リンパに乗り、肺を経て小腸にたどり着いて成虫になる。

成虫が腸の粘膜内で産卵し、その一部が体内で幼虫まで育って同じ個体にまた感染する『自家感染』を起こすため、短期間に大量の寄生虫に増えることがある。

感染経路には、経皮感染のほか、経口感染や、授乳による経乳感染もある。

とくに子犬や、多頭飼育で衛生環境が悪い場合に重症化しやすく、激しい下痢などを起こす。

4東洋眼虫

東洋眼虫は、犬や猫の目(結膜嚢・瞬膜の裏など)に寄生する細い糸状の線虫。『メマトイ』というハエが、感染動物の涙や目やにをなめて幼虫を運び、別の動物の目で媒介する。結膜炎や慢性の目やに・流涙を起こす。

東洋眼虫(とうようがんちゅう)は、犬や猫の目に寄生する、体長約1cmの細い糸状の線虫である。

寄生する場所は、結膜嚢(けつまくのう)やまぶたの裏、瞬膜(第三眼瞼)の裏などである。

媒介するのは『メマトイ』というハエで、感染した動物の涙や目やにをなめたメマトイが幼虫を運び、別の動物の目にとまって涙をなめるときに感染させる。

寄生されると、結膜炎、慢性的な目やに、流涙(涙が多い)、目をかゆがる・しょぼしょぼさせるなどの症状がみられる。

屋外で過ごす動物や、あまり動かずメマトイが寄りやすい高齢の犬・猫などで問題になりやすい。

53つの寄生虫のまとめ

アニサキス=海の魚介からヒトへ(胃・腸の壁に刺入し激しい腹痛)、糞線虫=皮膚から侵入し小腸に寄生(自家感染で大量に増える)、東洋眼虫=目に寄生しメマトイ(ハエ)が媒介。寄生部位と感染源で区別する。

3つの寄生虫を、寄生部位と感染源で整理しておく。

アニサキスは、海産哺乳類が終宿主の線虫で、ヒトは生の魚介から感染し、胃や腸の壁に刺さって激しい腹痛を起こす。

糞線虫は、小腸に寄生する線虫で、運動性の幼虫が皮膚から侵入し(経皮感染)、自家感染で大量に増える。

東洋眼虫は、目(結膜嚢など)に寄生する線虫で、メマトイというハエが涙・目やにを介して媒介する。

『アニサキス=魚介・胃腸、糞線虫=皮膚・小腸、東洋眼虫=メマトイ・目』とセットで覚えるとよい。

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