運動器(整形外科)の病気(各論)

骨・関節・靭帯など運動器の病気を学ぶ。整形外科疾患のサイン、膝や関節の病気、股関節や骨の病気、治療とリハビリ、そして検査と看護のポイントを、図ではなく文章で読んで理解する。跛行(足を引きずる)や歩きにくさが主なサインである。

1整形外科疾患のサイン

足を引きずる・かばう(跛行)、立ち上がりや歩行が困難、痛がる、関節の腫れ、後肢を一瞬上げて歩くスキップ様歩様などがサイン。どの脚が・いつ・どんなときに痛むかの観察が手がかりになる。

運動器の主な疾患を部位別に整理した表。膝・関節(膝蓋骨脱臼・前十字靭帯断裂・変形性関節症)、股関節(股関節形成不全・レッグ・カルベ・ペルテス病)、骨・脊椎(骨折・変形性脊椎症)に分けている。いずれも跛行など運動器のサインを起こす。

運動器(骨・関節・靭帯・筋肉)の病気は、動きや歩き方の異常として現れる。

代表的なサインは、足を引きずる・かばって歩く跛行(はこう)、立ち上がりにくい・歩きたがらない、触ると痛がる、関節が腫れる、といったものである。

小型犬では、歩いていて後肢を一瞬持ち上げてまたつくスキップのような歩き方がみられることもある。

どの脚に症状があるか、いつから・どんなとき(運動後・起き上がるときなど)に悪くなるか、左右差はあるかなどを観察することが、診断の手がかりになる。

痛みで動かなくなると筋肉が落ち、さらに動きにくくなる悪循環にもつながる。

2膝・関節の病気

膝蓋骨脱臼(膝のお皿がずれる、小型犬に多い)、前十字靭帯断裂(膝の靭帯が切れ急に足をつけなくなる)、高齢で多い変形性関節症(関節軟骨がすり減り痛みと動きにくさ)などがある。

膝や関節の病気は、整形外科でよく扱われる。

膝蓋骨脱臼(パテラ)は、膝のお皿(膝蓋骨)が本来の位置からずれる病気で、チワワやトイプードルなどの小型犬に多い。

スキップ様の歩き方がみられる。

前十字靭帯断裂は、膝関節を安定させる靭帯が切れる障害で、急に後肢を着けなくなる。

肥満や加齢も関わる。

変形性関節症は、関節の軟骨がすり減って炎症と痛みを起こす病気で、高齢の動物に多く、慢性的にじわじわと進む。

これらは、痛みや関節の不安定さから跛行を起こす。

3股関節・骨の病気

股関節形成不全(股関節の形成が不十分で痛み・関節炎、大型犬に多い遺伝的素因)、レッグ・カルベ・ペルテス病(小型犬の若齢でみられる大腿骨頭の壊死)、けがによる骨折などがある。

股関節や骨そのものの病気もある。

股関節形成不全は、股関節の骨の形成が不十分で関節がゆるく、痛みや関節炎を起こす病気で、ラブラドールなどの大型犬に多い遺伝的素因のある病気である。

レッグ・カルベ・ペルテス病は、若齢の小型犬でみられ、大腿骨の先端(大腿骨頭)への血流が悪くなって骨が壊れる病気である。

骨折は、交通事故や落下、高所からの飛び降りなどのけがで起こり、強い痛みと患部の腫れ・変形を伴う。

骨折が疑われるときは、患部を無理に動かさず、できるだけ安静に保って受診する。

4変形性脊椎症(スポンディローシス)

変形性脊椎症は、加齢などにより背骨(椎体)のふちに骨のとげ(骨棘)ができ、隣りあう椎骨どうしが骨の橋でつながっていく病気。痛みを伴わず、ゆっくり進行することが多く、高齢の犬に多い。胴長短足のダックスフンドで起こりやすい。

変形性脊椎症(スポンディローシス)は、加齢などに伴って背骨(椎体)のふちに骨のとげ(骨棘)ができ、隣りあう椎骨どうしが骨の橋でつながっていく、骨・脊椎の病気である。

多くは痛みを伴わず、ゆっくりと進行し、ほかの目的で撮ったレントゲンで偶然見つかることも多い。

高齢の犬に多くみられ、とくに胴長短足で腰の負担が大きいダックスフンドで起こりやすい。

原因ははっきりとは分かっていない部分も多く、加齢や椎間板の変性、体格や負担などが関係すると考えられている。

痛みや神経症状が出にくいため、多くは経過観察となるが、骨棘が神経を刺激して症状が出る場合には、鎮痛や運動の調整などの対応を行う。

椎間板ヘルニア(急に強い痛みや麻痺が出る)とは異なり、ゆっくり進む無症状のことが多い点で区別される。

5治療とリハビリ

治療は、鎮痛薬・体重管理・関節サプリメントなどの内科的管理と、手術がある。多くの整形外科疾患では、術後の安静(ケージレスト)と段階的なリハビリテーション、体重管理が回復の鍵になる。

運動器の病気の治療は、病気や重症度によって、内科的な管理と外科手術が選ばれる。

内科的には、痛みを抑える鎮痛薬、関節への負担を減らす体重管理、関節をサポートするサプリメントなどが用いられる。

膝蓋骨脱臼や前十字靭帯断裂、重度の股関節形成不全や骨折などでは、手術が行われることが多い。

手術後は、患部を安静に保つこと(ケージレスト=ケージ内での安静)が重要で、急に動かすと再発や治癒の遅れにつながる。

回復に合わせて、関節を動かす・歩く練習をするなど、段階的なリハビリテーションを行う。

肥満は関節への負担を増やすため、体重管理はどの段階でも重要である。

6検査と看護

歩様の観察や触診、X線で評価する。看護では、安静(ケージレスト)の管理、滑らない床など環境の工夫、体重管理、術後ケアとリハビリの補助、痛みの観察が中心。動かしすぎないよう飼い主に指導することも大切。

整形外科の病気では、歩き方(歩様)の観察や、関節・骨を触って痛みや不安定さを調べる触診、そしてX線検査で評価する。

看護では、治療の効果を出すために安静を保つことが重要で、ケージレストの管理や、滑って関節を痛めないよう床に滑り止めを敷くなどの環境の工夫を行う。

肥満の動物では体重管理を支援する。

手術を受けた動物では、術後の創部のケアや、回復に合わせたリハビリテーションの補助を行う。

痛みのサインを観察し、鎮痛がうまくいっているかを確認する。

飼い主には、良くなってきても急に運動させすぎないこと、指示された安静や運動制限を守ることを分かりやすく伝える。

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