目の病気(各論)

目のトラブルはイヌ・ネコで相談が多い。出題基準に挙げられている結膜炎・角膜潰瘍・乾性角結膜炎(KCS)・ぶどう膜炎・白内障・緑内障・核硬化症・流涙症・チェリーアイ・異所性睫毛の全10疾患を、観察のポイントと看護の要点とあわせて学ぶ。

1目のサインと観察

涙が多い・目やに・充血・まぶしそうにする(しょぼしょぼ)・目をこする・白く濁る・腫れなどが目の異常のサイン。痛みや視力低下を伴うこともあり、左右差にも注目する。

眼の部位(結膜・角膜・水晶体・眼圧・ぶどう膜・涙管・第三眼瞼・まつ毛)ごとに、本文で扱う代表的な病気を整理した。部位と疾患を結びつけると各論が覚えやすい。

目の病気では、さまざまなサインが現れる。

涙が多くなる(流涙)、目やにが増える、白目が赤くなる(充血)、まぶしそうに目を細める・しょぼしょぼさせる(羞明)、目を前足でこする・床にこすりつける、黒目が白く濁る、まぶたや目のまわりが腫れる、などである。

目を痛がっているときや、物にぶつかる・段差を踏み外すなど視力の低下がうかがえるときもある。

片方の目だけに症状があるのか、両方なのか(左右差)も、原因を考える手がかりになる。

目はデリケートで進行が早いこともあるため、早めの気づきと受診が大切である。

2結膜炎・角膜の病気

結膜炎は白目やまぶたの裏の炎症で充血・目やにが出る。角膜潰瘍は黒目の表面の傷で強い痛み・涙を伴い、フルオレセイン染色で診断する。涙が不足する乾性角結膜炎(ドライアイ)はねばる目やにが特徴。

目の表面の病気はとても多い。

結膜炎は、白目やまぶたの裏側をおおう結膜に炎症が起こるもので、充血や目やにがみられる。

角膜(黒目の表面の透明な膜)の傷は角膜潰瘍と呼ばれ、強い痛みや涙、目を開けにくいなどの症状を起こす。

角膜の傷は、フルオレセインという色素で染めて傷の部分を緑色に光らせることで確認する(フルオレセイン染色)。

また、涙の量が不足する乾性角結膜炎(ドライアイ)では、目の表面が乾いてねばった目やにが出たり、角膜が傷つきやすくなったりする。

原因に応じて、点眼薬などで治療する。

3白内障

白内障は水晶体(レンズ)が白く濁る病気で、高齢・糖尿病・遺伝などが原因。進むと視力が低下する。緑内障やぶどう膜炎を合併することもある。なお、高齢で水晶体が青白く見える核硬化症とは区別される。

白内障は、目の中でピントを合わせるレンズ(水晶体)が白く濁る病気である。

高齢、糖尿病、遺伝などが原因となり、特に糖尿病のイヌでは比較的急に進むことがある。

濁りが進むと光が網膜まで届きにくくなり、視力が低下していく。

白内障に伴って、緑内障や目の中の炎症(ぶどう膜炎)を合併することもある。

なお、高齢の動物では、水晶体が青白く見える核硬化症という加齢変化もあり、これは白内障とは異なり視力にはあまり影響しないため、区別して考える。

4緑内障

緑内障は眼圧(目の中の圧)が上がる病気で、強い痛み・充血・角膜の濁り・瞳孔の散大などを起こし、放置すると失明する。急性の緑内障は、早く眼圧を下げないと失明につながる緊急事態。

緑内障は、目の中の圧(眼圧)が高くなる病気である。

眼圧が上がると、強い痛み、白目の充血、角膜が青白く濁る(角膜浮腫)、瞳孔が開いたままになる(散大)、目が大きく見えるなどの症状が現れる。

高い眼圧が続くと視神経が障害され、視力を失ってしまう。

とくに急に発症する急性緑内障は、できるだけ早く眼圧を下げなければ短期間で失明につながる緊急事態である。

急に目を痛がる・充血する・見えていない様子があるときは、すぐに受診する必要がある。

5ぶどう膜炎・流涙症・チェリーアイ・異所性睫毛

ぶどう膜炎は目の中の炎症で充血・縮瞳・眼圧低下がサイン。流涙症は涙の排出障害。チェリーアイは第三眼瞼腺の脱出(赤い丸い腫れ)。異所性睫毛はまつ毛が角膜を刺激して痛みを起こす。いずれも外見の変化に気づくことが大切。

出題基準では眼疾患として以下もカバーされている。

ぶどう膜炎は、目の中の血管が多い組織(虹彩・毛様体・脈絡膜)に炎症が起きる病気で、充血・縮瞳(瞳孔が小さくなる)・眼圧低下・まぶしそうにするなどのサインがある。

感染症・免疫介在・白内障の合併などが原因になり、放置すると緑内障や失明につながることもある。

流涙症は、涙が過剰に出る、または涙の排出路(涙管)が詰まって涙があふれ続ける状態で、目の下の被毛が涙で濡れて赤茶色に汚れる(涙やけ)。

短頭種や小型犬に多い。

チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)は、目の内側にある第三のまぶた(第三眼瞼・瞬膜)の奥にある腺が飛び出し、眼の内角に赤い丸い膨らみとして見える状態である。

ブルドッグ・ビーグル・コッカースパニエルなどの犬種に多い。

手術で腺を元の位置に戻す治療が行われる(切除ではなく温存が原則)。

異所性睫毛は、通常とは異なる場所(まぶたの内側の粘膜など)からまつ毛が生えて、角膜を直接こすり続ける状態である。

痛み・流涙・角膜潰瘍の原因になり、レーザーや電気分解で毛を除去する。

6点眼と看護のポイント

点眼は目を上向きにして容器が目やまつ毛に触れないように行い、複数の目薬は数分あけてさす。目をこすらせない工夫(エリザベスカラー)と、悪化サインの観察が大切。急な痛み・充血・視力低下は受診。

目の治療では点眼薬が中心になることが多く、正しい点眼と管理が重要である。

点眼は、動物の顔を上向きにして、容器の先が目やまつ毛に触れないように、結膜のくぼみに1滴落とす。

複数の目薬を使うときは、続けてさすと先の薬が流れてしまうため、数分の間隔をあけてさす。

目をこすったり引っかいたりすると悪化するため、必要に応じてエリザベスカラーで保護する。

点眼後や治療中は、充血や目やにの増減、痛がる様子、濁りなどの変化を観察し、悪化していないか確認する。

急な強い痛み・充血・視力の低下は緊急のことがあるため、ためらわず受診するよう飼い主に伝える。

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