黄疸(ビリルビンの異常)と急性膵炎

血液中のビリルビンが増えて粘膜や皮膚が黄色くなる黄疸を、原因の場所で肝前性(溶血性)・肝性・肝後性(閉塞性)の3つに分けて理解する。非抱合型(間接)と抱合型(直接)ビリルビンの違いも押さえる。あわせて、嘔吐・腹痛を起こす急性膵炎の症状・治療と、重症化したときのDIC・血栓症・敗血症、低分子ヘパリン(フラグミン)による血栓予防を、図ではなく文章で読んで学ぶ。

1黄疸とビリルビン

黄疸は、血液中のビリルビン(胆汁色素)が増えて、白目・歯ぐき・皮膚などの粘膜が黄色くなった状態。血中の総ビリルビンがおおむね2〜3mg/dL以上になると、肉眼で黄疸とわかるようになる。

ビリルビンは赤血球の分解でできる非抱合型(間接型)から、肝臓で取り込み・抱合されて抱合型(直接型)となり胆汁として排泄される。この流れのどこかが障害されると血中にたまり、総ビリルビン2〜3mg/dL以上で黄疸として現れる。

ビリルビンは、寿命を終えた赤血球が壊れてヘモグロビンが分解されるときにできる黄色い色素(胆汁色素)である。

できたばかりのビリルビンは水に溶けにくい『非抱合型(間接型)ビリルビン』で、血液中をアルブミンにくっついて肝臓へ運ばれる。

肝細胞はこれを取り込み、水に溶けやすい『抱合型(直接型)ビリルビン』に変えて(抱合し)、胆汁として胆管から腸へ排泄する。

この『つくられる→肝臓で取り込み・抱合→胆汁として排泄』という流れのどこかが障害されると、ビリルビンが血液中にたまる。

血中のビリルビンが増えて、白目・歯ぐき・被毛の薄い皮膚などが黄色くなった状態を黄疸(おうだん)という。

黄疸は、血中の総ビリルビン値がおおむね2〜3mg/dL以上になると、肉眼で粘膜の黄染として認められるようになる。

2黄疸の3分類(どこで障害されたか)

黄疸は障害の場所で3つに分ける。肝前性(溶血性)=赤血球が壊れすぎてビリルビンが作られすぎる、肝性=肝細胞の取り込み・抱合・排泄の障害、肝後性(閉塞性)=胆管が詰まって胆汁が流れない。どこの問題かで原因疾患も上がるビリルビンの種類も変わる。

黄疸は、ビリルビンの流れのどこで問題が起きたかによって、肝前性・肝性・肝後性の3つに分けて整理する。

肝前性(肝臓より手前)の黄疸は、赤血球が壊れすぎる(溶血する)ことで起こる溶血性の黄疸である。

肝性(肝臓そのもの)の黄疸は、肝細胞が障害されて、非抱合型ビリルビンの肝細胞への取り込みの障害や、肝細胞での抱合の異常、胆汁への排泄の障害などが起こるものである。

肝後性(肝臓より先)の黄疸は、胆管(胆汁の通り道)が詰まって胆汁が腸へ流れなくなり、行き場を失った胆汁色素が血液中にあふれて起こる閉塞性の黄疸である。

膵臓は胆管の出口の近くにあるため、急性膵炎で膵臓が腫れると胆管が圧迫され、肝後性(閉塞性)の黄疸を併発することもある。

3肝前性(溶血性)黄疸と、上がるビリルビンの種類

肝前性(溶血性)黄疸では、赤血球が大量に壊れて非抱合型(間接)ビリルビンが作られすぎ、肝臓の処理が追いつかず非抱合型ビリルビンが上昇する。一方、肝性・肝後性では抱合型(直接)ビリルビンが上がる。溶血性疾患(免疫介在性溶血性貧血など)が代表。

肝前性黄疸は溶血性疾患によって起こる。

何らかの原因で赤血球が大量に壊される(溶血する)と、赤血球の中から非抱合型(間接型)ビリルビンが大量に血液中へ放出される。

肝臓での処理(取り込みと抱合)が追いつかなくなるため、血液中の非抱合型(間接型)ビリルビンが増えるのが特徴である。

代表的な原因には、免疫のしくみが自分の赤血球を壊してしまう免疫介在性溶血性貧血(IMHA)や、タマネギ中毒、重度のバベシア症などがある。

これに対し、肝性黄疸や肝後性(閉塞性)黄疸では、いったん肝細胞で抱合された抱合型(直接型)ビリルビンが血液中に増える傾向がある。

『どちらのビリルビンが上がっているか』も、黄疸の原因をしぼり込む手がかりになる。

4急性膵炎の症状と治療

急性膵炎は膵臓に急な炎症が起こる病気で、嘔吐・下痢・腹痛・元気食欲低下がみられる。高脂肪食などが誘因。特効薬はなく、治療は対症療法が中心——点滴(輸液)で脱水を補い、痛み止め(鎮痛)・制吐薬を使う。

急性膵炎は、膵臓に急激な炎症が起こる病気である。

膵臓が出す消化酵素が膵臓自身を傷つけてしまうことで炎症が広がり、嘔吐・下痢・腹痛・元気や食欲の低下といった症状がみられる。

高脂肪の食事の摂取などが誘因になることがある。

急性膵炎には特効薬がなく、治療は対症療法が中心となる。

もっとも重要なのが点滴(輸液)で、嘔吐や下痢で失われた水分を補い、脱水を改善して膵臓への血流を保つ。

あわせて、強い痛みをやわらげる痛み止め(鎮痛薬)や、嘔吐を抑える制吐薬を用い、状態をみながら早めに栄養を与えていく。

5急性膵炎の重症化と血栓予防

炎症が強いほど全身に波及し、全身性炎症反応(SIRS)から播種性血管内凝固(DIC)・血栓症・敗血症など命に関わる合併症を引き起こす。血液が固まりやすくなり血栓ができやすいため、低分子ヘパリン(フラグミン=ダルテパリン)などで血栓予防を行うことがある。

急性膵炎は、炎症が強いほど膵臓だけにとどまらず全身に影響を及ぼす。

膵臓の炎症が全身性の炎症反応(SIRS)を引き起こすと、血液が固まりやすくなって全身の細い血管に小さな血栓が多発する播種性血管内凝固(DIC)、血栓症、細菌や毒素が全身に回る敗血症(はいけつしょう)といった、命に関わる合併症を引き起こすことがある。

とくに、血液が固まりやすくなって血栓ができやすい状態になるため、その予防が重要になる。

血栓を予防する薬として、低分子ヘパリンであるフラグミン(一般名ダルテパリン)などが用いられることがある。

これは血液を固まりにくくする抗凝固薬で、血栓塞栓症の予防・治療に使われる。

重症の急性膵炎では、こうした合併症を見越して、点滴・鎮痛とあわせて全身管理を行うことが大切である。

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