猫免疫不全ウイルス感染症(FIV・猫エイズ)

猫免疫不全ウイルス(FIV)は、猫の免疫を徐々に低下させるレトロウイルスで、『猫エイズ』とも呼ばれる。おもにケンカの咬み傷で感染し、一度感染すると終生体内から消えない。感染後は、急性期→無症候キャリア期→持続性全身性リンパ節腫脹期→エイズ関連症候群期→後天性免疫不全症候群期と進み、最終的に日和見感染などで衰弱する。病期・予防・看護を学ぶ。

1FIVとは・感染経路

FIV(猫免疫不全ウイルス)は、猫の免疫細胞に感染して免疫を徐々に低下させるレトロウイルスで、『猫エイズ』とも呼ばれる。おもな感染経路は、感染猫とのケンカによる咬み傷(唾液中のウイルスが傷から入る)。交尾や母子感染もあるが、咬傷が主。人にはうつらない。

FIVはおもに感染猫の唾液を介し、ケンカの咬み傷から体内に入って、リンパ球など免疫細胞に感染し終生感染となる。交尾・母子感染もあるが咬傷(水平感染)が中心で、人にはうつらない。

猫免疫不全ウイルス(FIV)は、猫の免疫をになう細胞(リンパ球など)に感染して、時間をかけて免疫を低下させていくレトロウイルスである。

ヒトのHIV(エイズウイルス)に似た性質をもつことから、『猫エイズ(猫後天性免疫不全症候群)』とも呼ばれる。

ただし、FIVは猫だけに感染し、人にはうつらない。

おもな感染経路は、感染した猫とのケンカによる咬み傷である。

FIVは感染猫の唾液に多く含まれ、咬まれたときに傷口から体内に入る。

そのため、外に出てケンカをする雄猫で多くみられる。

交尾による感染や、母猫から子猫への母子感染もあるが、咬傷による感染(水平感染)が中心である。

そして重要なのが、FIVは一度感染すると、ウイルスが終生体内から消えることはない(生涯感染が続く)という点である。

2病期の進み方(全体像)

FIV感染は段階的に進む。急性期(感染初期)→無症候キャリア期(長い無症状期)→持続性全身性リンパ節腫脹期→エイズ関連症候群期→後天性免疫不全症候群(エイズ)期。多くの猫は無症候キャリア期が長く、発症せずに寿命をまっとうすることもある。

FIV感染は、感染してから段階的(病期=ステージ)に進んでいく。

大きく次のように分けられる。

急性期(感染初期):感染して最初の時期。

発熱やリンパ節の腫れなどがみられる。

無症候キャリア期:その後の、症状のない長い時期。

数年〜年単位で続くことが多い。

持続性全身性リンパ節腫脹期:全身のリンパ節が持続的に腫れる時期。

エイズ関連症候群(ARC)期:体重減少や口内炎、慢性の感染症など、さまざまな症状が現れ始める時期。

後天性免疫不全症候群(エイズ)期:免疫がほとんど働かなくなり、重い症状が出る最終段階。

重要なのは、多くの猫では無症候キャリア期が長く続き、免疫がウイルスを抑え込んで、発症せずにふつうに長生きする猫も多いということである。

感染=すぐ発症・死亡ではない。

3各病期の症状と日和見感染

急性期は発熱・リンパ節腫脹、時に下痢(すべての猫に出るわけではない)。長い無症候期のあと進行すると、著しい体重減少・貧血・慢性口内炎などが現れる。最終的に免疫がほぼ働かなくなると、ふだんは問題にならない弱い菌にも抵抗できず感染症を起こす(日和見感染)。

各病期の症状をもう少し見ていく。

急性期には、発熱やリンパ節の腫れがみられ、ときに下痢などを伴うこともある。

ただし、これらの初期症状はすべての猫にはっきり出るわけではなく、気づかれないまま経過することも多い。

その後、長い無症候キャリア期に入ると、見た目には元気で症状がない。

進行して免疫の低下が進むと、著しい体重減少、貧血、なかなか治らない慢性の口内炎・歯肉炎、慢性の鼻炎・皮膚炎などが現れる。

そして最終段階で免疫機能がほとんど働かなくなると、健康な猫では問題にならないような、環境中にふつうに存在する弱い病原体(常在菌など)にも抵抗できなくなり、さまざまな感染症を起こす。

これを『日和見(ひよりみ)感染』という。

FIVそのものより、この日和見感染や、関連する腫瘍などで衰弱・死亡することが多い。

4検査・治療・予防

診断は、血液を使った抗体検査(院内キットなど)で行う。FIVを排除する治療法はなく、対症療法(二次感染への抗菌薬、インターフェロン、栄養管理など)が中心。予防は、室内飼いでケンカ・咬傷を避けること、ストレスをかけないこと、ワクチンなど。

FIV感染は、血液を用いた抗体検査(動物病院で使える検査キットなど)で診断する。

FIVを体から完全に排除する治療法はない。

そのため治療は、病期や症状に応じた対症療法が中心になる。

二次的な細菌感染には抗菌薬、ウイルスや免疫に対してはインターフェロン、口内炎のケア、食欲不振・栄養不良への栄養管理などを行い、生活の質を保つ。

予防でもっとも大切なのは、感染源との接触(とくにケンカによる咬傷)を断つことである。

具体的には、猫を外に出さず室内飼いにして、感染猫とのケンカを避けることが効果的である。

また、ストレスは免疫を下げて発症を早めるため、ストレスの少ない環境を整えることも重要である。

FIVのワクチンもある。

感染猫を多頭飼育する場合は、ケンカを防ぐ、食器を分けるなどの配慮をする。

FIVは人にはうつらないこと、適切な管理で長く穏やかに暮らせることを、飼い主に正しく伝えることも大切である。

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