眼科検査(シルマー試験・眼圧・フルオレセイン)

目の検査には、涙の量を測るシルマー涙液試験、眼の中の圧を測る眼圧検査、角膜の傷を調べるフルオレセイン染色などがある。シルマー試験は犬で15mm/分以上が正常、眼圧はおおむね10〜25mmHgが正常で高ければ緑内障・低ければぶどう膜炎を疑う、フルオレセイン染色は角膜潰瘍の検出に使う。基本的な眼科検査の意味・正常値・看護を学ぶ。

1シルマー涙液試験(涙の量を測る)

シルマー涙液試験(STT)は、専用のろ紙を下まぶたにはさんで、1分間でどれだけ涙でぬれるか(mm)を測り、涙の量を調べる検査。犬では15mm/分以上が正常。少ないと乾性角結膜炎(ドライアイ/KCS)を疑う。

眼科でよく行う3つの検査(シルマー涙液試験・眼圧検査・フルオレセイン染色)の目的と基準値・所見をまとめた表。数値は本文の犬15mm/分以上・眼圧おおむね10〜25mmHgに基づく。

シルマー涙液試験(シルマーティアテスト、STT)は、涙の分泌量を調べる検査である。

目盛りのついた専用のろ紙(試験紙)を下まぶたのふちにはさみ、1分間でどこまで涙でぬれるか(何mm)を測定する。

犬では、15mm/分以上が正常とされる。

およそ10〜14mm/分は軽度の涙液減少、5mm/分以下は重度の涙液減少と判断される。

涙の量が少ないと、目の表面が乾いて炎症を起こす『乾性角結膜炎(ドライアイ、KCS)』を疑う。

ドライアイでは、ネバネバした目やに・結膜の充血・角膜の濁りなどがみられる。

涙は、目の表面をうるおして守る大切なはたらきをもつため、その量を測るシルマー試験は、目の不調の原因を調べる基本的な検査である。

(点眼麻酔や目の刺激の前に行うなど、正しい手順で測ることが大切である。

2眼圧検査(眼の中の圧を測る)

眼圧検査は、眼の中の圧(眼圧)を眼圧計(トノメーター)で測る検査。正常の目安はおおむね10〜25mmHg。眼圧が高いと緑内障(失明につながる緊急疾患)を、低いとぶどう膜炎などを疑う。

眼圧検査は、眼球の中の圧力(眼圧)を測る検査で、専用の眼圧計(トノメーター。

トノベットなど)を角膜にあてて測定する。

正常な眼圧の目安は、おおむね10〜25mmHg程度である(測定機器や条件で多少幅がある)。

眼圧が高くなる代表的な病気が緑内障である。

緑内障は、眼の中の水(房水)の流れが妨げられて眼圧が上がり、視神経が障害されて失明につながる、緊急性の高い病気である。

急性の緑内障では、強い痛み・充血・角膜の濁り・瞳孔の散大などがみられる。

逆に、眼圧が低くなる代表が、眼の中に炎症が起こるぶどう膜炎である。

このように、眼圧を測ることで、緑内障(高い)かぶどう膜炎(低い)かといった、見ただけではわかりにくい眼の病気の手がかりが得られる。

眼圧の急な上昇は失明を防ぐために急ぐ必要がある。

3フルオレセイン染色(角膜の傷を調べる)

フルオレセイン染色は、緑色の色素(フルオレセイン)を点眼して、角膜に傷(欠損)があるとそこに色素がとどまって緑色に染まることを利用し、角膜潰瘍(角膜の傷)を検出する検査。角膜潰瘍は強い痛みを伴う。

フルオレセイン染色は、角膜(目の表面の透明な膜)に傷があるかどうかを調べる検査である。

フルオレセインという緑色(黄緑色)の色素を点眼すると、正常な角膜の表面(上皮)では色素ははじかれて染まらないが、角膜に傷(上皮の欠損)があると、その部分に色素がとどまって緑色に染まる。

これにより、目で見ただけではわかりにくい角膜の傷(角膜潰瘍・角膜びらん)を見つけることができる。

角膜には知覚神経がたくさん集まっているため、角膜潰瘍があると強い痛みを伴い、目をしょぼしょぼさせる・涙が多い・目を気にするなどの症状が出る。

角膜潰瘍は、深くなると角膜に穴があく(穿孔)危険もあるため、早く見つけて治療することが大切である。

このように、フルオレセイン染色は『角膜に傷があるか』を調べる、簡便で重要な検査である。

4その他の眼科検査

眼科では、ほかにも、ペンライトなどで瞳孔の反応や前眼部を見る検査、眼底(網膜)を観察する眼底検査、超音波(エコー)で眼内を見る検査などがある。症状に応じて、これらを組み合わせて診断する。

シルマー試験・眼圧検査・フルオレセイン染色のほかにも、眼科ではさまざまな検査が行われる。

ペンライト(光)を使って、瞳孔が光に反応して縮むか(対光反射)、左右の瞳孔の大きさ、まぶた・結膜・角膜・前房(角膜の内側の部屋)などの前眼部の状態を観察する。

眼底検査では、専用の器具(眼底鏡など)を使って、眼の奥にある網膜・視神経・血管(眼底)を観察し、網膜の病気などを調べる。

眼の中が濁って奥が見えないときや、眼球の後ろの状態を調べたいときは、超音波(眼科用エコー)検査が用いられる。

これらの検査を、症状や疑う病気に応じて組み合わせて、診断を進める。

(明るさの調整や、検査の順番〔涙液→染色などの順〕にも配慮が必要である。

5眼科検査の動物看護

看護では、検査がスムーズに行えるよう適切な保定をし、動物が目をこすらないよう注意する。点眼・検査の介助、結果(涙液量・眼圧・染色の有無)の記録、目薬の正しいさし方や目を触らせない工夫(エリザベスカラー)などの飼い主指導が役割。

眼科検査では、目という繊細な部位を扱うため、動物看護師の介助がとくに重要である。

検査がスムーズに、安全に行えるよう、動物が急に動かないように適切に保定し、頭を支える。

検査中・検査後に動物が前足で目をこすったりしないよう注意する。

シルマー試験のろ紙をはさむ、点眼薬や染色液をさす、眼圧計をあてる、といった検査の介助を行い、得られた結果(シルマー試験の値、眼圧、フルオレセイン染色の染まり方など)を正確に記録する。

飼い主に対しては、自宅での目薬の正しいさし方(容器の先を目につけない、複数の目薬は時間をあけてさす)、目を気にするときに角膜を傷つけないようエリザベスカラーを使うこと、目の異常(充血・目やに・しょぼしょぼ・濁り)に早く気づいて受診することなどを伝える。

目の病気は進行が早く失明につながるものもあるため、早期発見・早期受診の大切さを伝えることが重要である。

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