皮膚科(かゆみ・外耳炎・アレルギー)

皮膚と耳のトラブルは、イヌ・ネコの診療でとても相談の多い領域である。皮膚の役割とかゆみのしくみから、外耳炎、アレルギー性皮膚疾患、感染や寄生虫による皮膚病、そして皮膚のケアと看護のポイントまでを、図ではなく文章で読んで理解する。

1皮膚の役割とかゆみ

皮膚は体を守るバリア・体温調節・感覚を担う。皮膚科で最も多い訴えはかゆみ(掻痒)で、掻くことで皮膚が傷つきさらに悪化する悪循環に陥りやすい。

かゆみで掻きこわすと皮膚バリアが壊れて細菌が侵入し、炎症が悪化してさらにかゆくなる悪循環を示す。原因を探りつつ、かゆみそのものを抑える管理も重要になる。

皮膚は体の表面をおおい、外からの刺激や病原体の侵入を防ぐバリアとして働くほか、体温の調節や感覚(触覚など)も担う重要な器官である。

皮膚科の診療で最も多い訴えのひとつがかゆみ(掻痒)で、動物は体をかく・なめる・こする・噛むといった行動を示す。

かゆみによって掻きこわすと、皮膚のバリアがさらに壊れて細菌などが入りやすくなり、炎症が悪化してまたかゆくなるという悪循環に陥りやすい。

そのため、原因を探りながら、かゆみそのものを抑える管理も重要になる。

皮膚の状態は、どの部位に・どんな症状(赤み・脱毛・かさぶた・ふけ・においなど)が・いつから出ているかを観察することが手がかりになる。

2外耳炎

外耳炎は外耳道の炎症で、垂れ耳犬種やL字に曲がった耳道で汚れ・湿気がこもると起こりやすい。細菌・マラセチア(酵母)・耳ダニ・アレルギーなどが背景。耳垢・におい・頭を振る・耳をかくがサイン。

外耳炎は、耳の入口から鼓膜までの外耳道に炎症が起こる、とても多い病気である。

イヌ・ネコの外耳道はL字に曲がっており、特に垂れ耳の犬種では汚れや湿気がこもりやすく、外耳炎を起こしやすい。

背景には、細菌やマラセチア(酵母様の真菌)の増殖、耳ダニ(ミミヒゼンダニ)の寄生、アレルギーなどがある。

茶色や黒っぽい耳垢、いやなにおい、頭をしきりに振る、耳をかく・床にこすりつけるといった様子がサインになる。

治療や予防では、耳の状態に合わせた洗浄(耳掃除)や点耳薬が用いられ、看護師はその補助や、飼い主への耳ケアの指導を行う。

3アレルギー性皮膚疾患

代表はアトピー性皮膚炎(環境中のアレルゲン、若齢発症、顔・足先・脇・内股などがかゆい)、食物アレルギー、ノミアレルギー性皮膚炎(ノミの唾液に反応、尾の付け根に多い)。

皮膚のかゆみの大きな原因のひとつがアレルギーである。

アトピー性皮膚炎は、花粉・ハウスダスト・カビなど環境中のアレルゲンに反応して起こり、比較的若齢で発症し、顔・足先・脇・内股など決まった部位にかゆみが出やすい。

食物アレルギーは、食事中の特定の成分(多くはタンパク質)に反応するもので、皮膚症状のほか消化器症状を伴うこともある。

ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミの唾液に対するアレルギーで、わずかな寄生でも強いかゆみを起こし、尾の付け根(腰背部)に症状が出やすい。

アレルギーは完全に治すというより、原因をできるだけ避け、かゆみを管理しながら付き合っていく病気が多い。

4感染・寄生虫による皮膚病

細菌性の膿皮症やマラセチア皮膚炎はかゆみ・赤み・においを起こす。皮膚糸状菌症(真菌・リングワーム)は人にもうつる人獣共通。疥癬(ヒゼンダニ)やニキビダニ(毛包虫)も皮膚病の原因。

皮膚には、感染や寄生虫による病気も多い。

細菌が増えて起こる膿皮症や、マラセチアという真菌が増えるマラセチア皮膚炎は、かゆみ・赤み・べたつき・においなどを起こす。

これらはアレルギーなどに続いて二次的に起こることも多い。

皮膚糸状菌症(リングワーム)は真菌(カビの仲間)による感染で、円形の脱毛などがみられ、人にもうつる人獣共通感染症として注意が必要である。

ヒゼンダニが寄生する疥癬は激しいかゆみを起こし(人獣共通)、毛包にすむニキビダニ(毛包虫)も脱毛などの皮膚病を起こす。

原因に応じて、抗菌薬・抗真菌薬・駆虫薬などが使い分けられる。

5好酸球性肉芽腫(ネコ)・天疱瘡

好酸球性肉芽腫複合体はネコ特有の皮膚病で、アレルギーが背景となり無痛性潰瘍・好酸球性プラーク・肉芽腫の3病型がある。天疱瘡は免疫が自分の皮膚を攻撃する免疫介在性疾患で、水疱・びらん・かさぶたを形成する。

ネコに特有の難治性皮膚病のひとつが好酸球性肉芽腫複合体(EGC)である。

無痛性潰瘍(口唇・舌・口腔に生じる光沢のある潰瘍)、好酸球性プラーク(腹部・内股などの赤く盛り上がったかゆい病変)、好酸球性肉芽腫(線状または塊状の隆起した病変)という3つの病型がある。

背景にはアレルギー(食物・環境アレルゲン・ノミ)が関与していることが多く、アレルギーの原因を探してコントロールすることが治療の根本となる。

ステロイドや免疫抑制薬が症状の改善に用いられる。

天疱瘡は、免疫が皮膚の細胞どうしをつなぐタンパク質を攻撃する免疫介在性疾患で、皮膚・粘膜に水疱・びらん(皮膚がめくれた状態)・かさぶたを形成する。

鼻鏡・耳介・爪床など顔の特定部位に出やすく、重症化することもある。

治療には免疫抑制薬(ステロイドなど)が使用される。

どちらも出題基準に明記されており、病型・原因・治療の概要を把握しておくことが重要である。

6皮膚のケアと看護

薬用シャンプーによるスキンケア、投薬・点耳の補助、ノミ予防や食事(療法食)などの環境管理、引っかき防止(エリザベスカラー)が中心。部位・程度・経過の観察と飼い主指導が看護の役割。

皮膚病の管理では、薬だけでなく日々のケアが重要になる。

薬用シャンプーによる洗浄(シャンプー療法)は、皮膚の汚れや余分な菌・アレルゲンを落とし、皮膚の状態を整えるのに役立つ。

看護師は、投薬や点耳・薬浴の補助、ノミ・マダニ予防の徹底、食物アレルギーでの療法食の管理など、環境面の管理を支える。

かゆみで掻きこわすのを防ぐために、エリザベスカラーや包帯を用いることもある。

皮膚の状態(部位・範囲・程度・経過)を継続して観察・記録し、飼い主にスキンケアや予防の方法を分かりやすく伝えることが、看護の大切な役割である。

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