1胎児循環のしくみ(なぜ特別な通り道があるか)
胎児は肺で呼吸せず、酸素は胎盤から受け取る。そのため肺を通らずに血液を回す3つの近道がある——臍静脈からの血を下大静脈へ流す『静脈管』、右心房から左心房へ抜ける『卵円孔』、肺動脈から大動脈へつなぐ『動脈管』。
胎児はまだ肺で呼吸しておらず、酸素や栄養は母体の胎盤から受け取る。
そのため、肺をほとんど通さずに血液を全身へ回すための特別な近道(短絡路)が3つ備わっている。
酸素を多く含む血液は、胎盤から臍静脈(さいじょうみゃく)を通って胎児の体に入る。
その大部分は、肝臓を通らずに『静脈管(ductus venosus)』という近道を通って下大静脈(後大静脈)へ直接流れ込み、右心房に入る。
右心房に入った血液の多くは、心房の壁にあいた穴『卵円孔(らんえんこう)』を通って、すぐ左心房へ抜ける。
これにより酸素の多い血液が左心室から大動脈へ送られ、脳など上半身へ優先的に届く。
一方、右心室から肺動脈へ送られた血液は、まだ働いていない肺を避けて、『動脈管(ductus arteriosus)』という肺動脈と大動脈をつなぐ近道を通って大動脈へ流れる。
使い終わった血液は臍動脈(さいどうみゃく)を通って胎盤へ戻り、再び酸素を受け取る。
このように胎児循環は『肺をバイパスする』ことに特化している。