循環器の病気(心臓病の各論)

イヌ・ネコの心臓病について、症状の出方から代表的な病気、検査と看護までを学ぶ。心臓病のサイン、犬で多い僧帽弁閉鎖不全症、猫で多い肥大型心筋症、その他の心疾患とフィラリア、そして検査と看護のポイントを、図ではなく文章で読んで理解する。

1心臓病の基礎とサイン

心臓のポンプ機能が低下すると、血液がうっ滞して肺などに水がたまる(うっ血)。咳、運動を嫌がる・疲れやすい(運動不耐性)、呼吸が速い・苦しい、失神、舌が青い(チアノーゼ)などがサイン。初期は無症状のことも多い。

心臓のポンプ機能が低下すると血液がうっ滞(うっ血)し、肺に水がたまって(肺水腫)さまざまなサインが現れる流れを示す。初期は無症状のことも多く、聴診の心雑音で気づくこともある。

心臓は全身に血液を送り出すポンプで、その働きが低下するのが心臓病である。

ポンプ機能が落ちると、送り出せない血液が手前にたまり(うっ血)、肺に水がたまる肺水腫などを起こす。

心臓病のサインには、咳、運動を嫌がる・すぐ疲れる(運動不耐性)、呼吸が速い・苦しそう、失神する、舌や歯ぐきが青っぽくなる(チアノーゼ)などがある。

ただし、心臓病は初期には症状が出ないことが多く、健康診断の聴診で心雑音が見つかって気づくこともある。

症状が出てきたときには病気が進んでいることもあるため、早期発見と継続的な管理が大切である。

2僧帽弁閉鎖不全症(イヌに多い)

中高齢の小型犬(キャバリアなど)に好発する代表的な心臓病。僧帽弁がうまく閉じず血液が逆流し、収縮期に心雑音が出る。進行すると咳や肺水腫を起こす。治療は内科(強心薬・利尿薬・血管拡張薬など)が中心。

僧帽弁閉鎖不全症は、イヌで最も多い心臓病である。

左心房と左心室の間にある僧帽弁が、加齢とともに変性してうまく閉じなくなり、血液が逆流する。

中高齢の小型犬に好発し、特にキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルで多い。

逆流によって、収縮期に左側の心尖部で心雑音が聴取される。

進行すると、左心房が拡大して気管を圧迫し咳が出たり、肺に水がたまる肺水腫を起こして呼吸困難になったりする。

治療は、心臓の働きを助ける強心薬、たまった水を出す利尿薬、血管を広げて負担を減らす薬などを用いる内科治療が中心になる。

3肥大型心筋症(ネコに多い)

ネコで最も多い心臓病で、心臓の筋肉(特に左心室の壁)が厚くなる。無症状のことも多いが、肺水腫による呼吸困難や、左心房にできた血栓が飛んで後肢の動脈を詰まらせる動脈血栓塞栓症(ATE・後肢麻痺・激痛)を起こすことがある。

肥大型心筋症は、ネコで最も多い心臓病である。

心臓の筋肉、特に左心室の壁が厚くなり(肥大)、心臓がうまく広がって血液をためられなくなる。

長い間、無症状で経過することも多いが、進行すると肺に水がたまって(肺水腫)呼吸が苦しくなる。

また、血液がよどんでできた血栓が左心房から流れ出し、後肢へ向かう大動脈の分かれ目などに詰まる動脈血栓塞栓症(ATE)を起こすことがある。

ATEでは、後肢が突然麻痺し、冷たくなり、肉球が白っぽくなって強い痛みを示す、致死率の高い緊急事態となる。

ネコは症状を隠しやすく、急に発症して見つかることも多い。

4その他の心疾患とフィラリア

大型犬に多い拡張型心筋症(心臓が薄く広がりポンプ力が低下)、生まれつきの先天性心疾患(動脈管開存症など)、蚊が媒介する犬糸状虫症(フィラリア・肺動脈や右心に寄生)なども重要。

心臓病には、ほかにもさまざまなものがある。

拡張型心筋症は、心臓の壁が薄く伸びて広がり、収縮する力が低下する病気で、大型犬に多い。

生まれつきの心臓の構造の異常(先天性心疾患)もあり、動脈管開存症(生後に閉じるはずの血管が残る)などが知られる。

また、蚊が媒介する犬糸状虫症(フィラリア)では、成虫が肺動脈や右心に寄生して心臓・肺に負担をかける。

フィラリアは予防薬で防げる病気であり、予防の徹底が重要である。

心臓病は原因によって治療が異なるため、正確な診断が欠かせない。

5検査と看護

聴診(心雑音)、X線(心拡大・肺水腫)、心臓超音波(心エコー)、血圧、心電図などで評価する。看護では投薬管理、減塩の食事、安静、そして家庭での安静時呼吸数のモニタリング(増加は肺水腫のサイン)が重要。

心臓病の評価には、いくつかの検査を組み合わせる。

聴診で心雑音や不整脈を確認し、X線で心臓の大きさ(心拡大)や肺水腫の有無を見る。

心臓超音波(心エコー)は、心臓の構造や動き、弁の状態を詳しく調べられる重要な検査である。

そのほか、血圧測定や心電図、血液中の心臓の指標(NT-proBNPなど)も用いられる。

看護では、複数の薬を確実に与える投薬管理、心臓に負担をかけない減塩の食事、過度な運動を避ける安静の管理が大切である。

家庭での安静時(睡眠時)の呼吸数の測定は、肺水腫の悪化を早期にとらえる手がかりになるため、飼い主に記録の仕方を指導する。

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