カルシウム代謝と副腎ホルモンの病気

血中カルシウムを調節する上皮小体(副甲状腺)ホルモンの過不足、高カルシウム血症・低カルシウム血症の原因と症状・心電図変化・治療、そして副腎のアルドステロンとカテコラミン(褐色細胞腫)の異常を、図ではなく文章で読んで理解する。カルシウムは高すぎても低すぎても全身に症状を起こす。

1カルシウムを調節するホルモン

血中カルシウムは上皮小体(副甲状腺)から出るパラトルモン(PTH)で調節される。PTHは骨・腎臓・腸に働いて血中カルシウムを「上げる」ホルモン。出すぎるのが亢進症、出せないのが低下症で、症状はほぼ逆になる。

上皮小体(副甲状腺)から出るパラトルモン(PTH)は、骨・腎臓・腸に働いて血中カルシウムを上げる。PTHが多すぎる亢進症と、少なすぎる低下症では症状がほぼ逆になる。

体の中のカルシウム濃度は、いつも一定の範囲に保たれていなければならない。

その調節役の中心が、上皮小体(副甲状腺)から分泌されるパラトルモン(PTH)である。

PTHは、骨からカルシウムを取り出し、腎臓での再吸収を増やし、腸からの吸収を助けることで、血中カルシウムを「上げる」方向に働く。

このPTHが多すぎるのが上皮小体機能亢進症、少なすぎる(分泌できない)のが上皮小体機能低下症で、起こる症状はほぼ逆になる。

カルシウムは筋肉や神経の働きにも欠かせないため、高すぎても低すぎても全身にさまざまな症状を起こす。

2上皮小体機能亢進症(高カルシウム血症と尿石)

PTHが過剰になると血中カルシウムが上がりすぎ、腎臓が余ったカルシウムを尿へ捨て始める。その結果、尿中カルシウムが増えてシュウ酸カルシウムの結石ができやすくなる。

上皮小体機能亢進症では、PTHが過剰に分泌され、血中カルシウムがどんどん上がる。

血中カルシウムが上がりすぎると、腎臓は「もうこれ以上は要らない」と判断し、余ったカルシウムを尿へ捨て始める。

その結果、尿中のカルシウムが増え、シュウ酸カルシウムの結石(尿路結石)ができやすくなる。

高カルシウム血症そのものによる症状(多飲多尿・嘔吐・元気消失など)とあわせて、尿石による症状にも注意する。

3上皮小体機能低下症と低カルシウム血症

PTHを分泌できないと血中カルシウムが下がり、筋肉が痙攣する(テタニー)・しびれる。ほかにカルシトニン製剤・ループ利尿薬・摂取不足・腸管吸収不足・過剰排出・腎不全(高リン血症経由)でも低下する。心電図はQT間隔・ST部分が延長する。

上皮小体機能低下症では、PTHを分泌できないため、血中カルシウムが低下する。

カルシウムは筋肉や神経の働きに不可欠なので、不足すると筋肉が制御を失い、痙攣(テタニー)やしびれが起こる。

PTHの問題以外にも低カルシウム血症は起こる。

薬剤性ではカルシトニン製剤やループ利尿薬、そのほかカルシウムの摂取不足、腸管からの吸収不足、過剰なカルシウムの排出が原因となる。

腎不全でも起こり、腎臓が悪くなるとリンを捨てる力が落ちて血中リンが上がり(高リン血症)、リンとカルシウムはシーソーの関係にあるため、リンが上がるとカルシウムが下がる。

症状はしびれ・テタニー・腹痛・下痢などで、心電図ではQT間隔やST部分が延長する。

「カルシウムが足りない=心電図がのびる」と覚えると、高カルシウムのときと混同しにくい。

4高カルシウム血症の原因・症状・治療

原因はビタミンD過剰・悪性腫瘍(PTHに似たPTHrPを放出)・アジソン病・原発性上皮小体機能亢進症など。症状は多飲多尿・元気食欲低下・嘔吐・不整脈・高血圧・腎不全。長期では骨密度低下や軟部組織の石灰化も。治療は生理食塩水で薄め、フロセミドで尿へ出し、プレドニゾロンを用いる。心電図はQT・STが短縮する。

高カルシウム血症は、さまざまな原因で起こる。

ビタミンDの過剰(中毒)、悪性腫瘍、アジソン病(副腎皮質機能低下症)、原発性の上皮小体機能亢進症などが代表である。

悪性腫瘍では、腫瘍がPTHに類似した物質(PTHrP)を際限なく放出してカルシウムを上げ続けることがあり、リンパ腫や肛門嚢腺癌が知られる。

症状は、元気・食欲の低下、嘔吐、下痢、多飲多尿、不整脈、高血圧、腎不全など。

高い状態が長く続くと、骨密度が下がって病的骨折を起こしたり、軟部組織にカルシウムが沈着(石灰化)したり、シュウ酸カルシウム結石ができたりする。

治療は「薄めて・出す」が基本で、カルシウムを含まない生理食塩水で薄め、利尿剤のフロセミドで尿へ追い出し、必要に応じてプレドニゾロン(ステロイド)を用いる。

心機能に注意が必要で、心電図ではQT・STが短縮する(低カルシウムと真逆)。

5副腎のホルモン―アルドステロンとカテコラミン

アルドステロンは腎臓で働き、尿から塩分(ナトリウム)が漏れないように再吸収し、代わりにカリウムを尿へ捨てる。カテコラミンは心臓を強く速く動かし(高血圧・頻脈・頭痛)、エネルギーを燃やして高血糖にし、胃腸の動きを抑える。作られすぎる原因が褐色細胞腫(副腎髄質の腫瘍)。

副腎からは、カルシウム調節とは別に、体液や代謝を調節するホルモンも分泌される。

アルドステロンは腎臓で働き、尿からナトリウム(塩分)が漏れていかないように再吸収させるホルモンで、その作用によりナトリウムの代わりにカリウムが尿から排出される。

カテコラミンは「戦闘モード」のホルモンで、心臓を強く速く打たせて高血圧・頻脈・頭痛を起こし、肝臓や脂肪のエネルギーを燃やして高血糖にし、胃や腸の活動を低下させて消化に無駄なエネルギーを使わせないようにする。

このカテコラミンが過剰に作られすぎる原因が、副腎髄質の腫瘍である褐色細胞腫である。

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