駆虫薬・抗寄生虫薬の分類

寄生虫は、線虫(回虫・鉤虫・鞭虫など)・条虫・吸虫・原虫などに分けられ、それぞれに効く薬が違う。マクロライド系(イベルメクチン・ミルベマイシン)は線虫やフィラリア予防に、ベンズイミダゾール系は線虫を中心に幅広く、プラジクアンテルは条虫に、ニトロスカネートは広範囲に、スルファジメトキシンは原虫(コクシジウム)に使う——『どの虫にどの薬か』を整理する。

1寄生虫の分類と駆虫薬の考え方

おもな内部寄生虫は、線虫(回虫・鉤虫・鞭虫など細長い虫)・条虫(さなだ虫)・吸虫(フルーク)・原虫(コクシジウムなど単細胞)に分けられる。種類によって効く薬が違うため、『どの虫に、どの薬が効くか』を結びつけて理解することが大切。

駆虫薬・抗寄生虫薬と効く寄生虫の対応。マクロライド系(イベルメクチン・ミルベマイシン)=線虫・フィラリア予防、ベンズイミダゾール系(フェンベンダゾール)=線虫を中心に条虫・吸虫まで幅広く、プラジクアンテル=条虫(と吸虫)、ニトロスカネート=広域(線虫・条虫)、スルファジメトキシン=原虫(コクシジウム)。●がおもに効く対象。

動物の体の中にすむ内部寄生虫は、形や仲間によって大きく分けられる。

線虫(せんちゅう)は、細長い糸のような虫で、回虫・鉤虫(こうちゅう)・鞭虫(べんちゅう)・糸状虫(フィラリア)などが含まれる。

条虫(じょうちゅう)は、平たく節がつながった『さなだ虫』のなかまである。

吸虫(きゅうちゅう)は、フルークとも呼ばれる平たい虫である。

原虫(げんちゅう)は、コクシジウム・ジアルジア・トキソプラズマなど、単細胞の小さな寄生虫である。

これらは虫の種類によって効く薬が異なるため、駆虫薬(虫下し)は『どの虫に効くか』で選ぶ。

多くの寄生虫に広く効く広域の薬もあれば、特定の虫にねらって効く薬もある。

以下、代表的な駆虫薬・抗寄生虫薬を、その対象とともに整理する。

2マクロライド系(イベルメクチン・ミルベマイシン)

マクロライド系(マクロサイクリックラクトン)には、イベルメクチン・ミルベマイシンオキシム・セラメクチン・モキシデクチンなどがある。線虫に効き、犬糸状虫(フィラリア)症の予防に広く使われる。一部は外部寄生虫(ダニなど)にも効く。コリー系などでイベルメクチンの感受性に注意。

マクロライド系(マクロサイクリックラクトン)の駆虫薬には、イベルメクチン、ミルベマイシンオキシム、セラメクチン、モキシデクチンなどがある。

これらは線虫に効き、とくに犬糸状虫(フィラリア)症の予防薬として広く使われる(毎月投与してミクロフィラリアの段階で駆除する)。

回虫や鉤虫などの消化管内線虫にも効くものが多い。

セラメクチンやモキシデクチンなどは、ノミやダニ・疥癬など外部寄生虫にも効く製品があり、内外の寄生虫をまとめて予防・駆除できる。

注意点として、コリー・シェルティなど一部の犬種では、薬剤排出に関わる遺伝子(MDR1)の異常により、高用量のイベルメクチンに対する感受性が高く、中毒(神経症状)を起こしやすいため、用量や薬剤の選択に注意が必要である。

ポイントは、『マクロライド系=線虫・フィラリア予防(+一部外部寄生虫)』である。

3ベンズイミダゾール系・プラジクアンテル・ニトロスカネート

ベンズイミダゾール系(フェンベンダゾールなど)は、回虫・鉤虫・鞭虫などの線虫を中心に、条虫や吸虫まで幅広く効き安全性が高い。プラジクアンテルは条虫(と吸虫)に効く代表薬。ニトロスカネートは回虫・鉤虫・条虫など広範囲に効く。

ベンズイミダゾール系の駆虫薬(フェンベンダゾール、フェバンテルなど)は、回虫・鉤虫・鞭虫といった線虫を中心に、条虫や吸虫まで幅広く効き、安全性も高いため、イヌの駆虫薬として最もよく使われる薬の一つである。

プラジクアンテルは、条虫(さなだ虫)に効く代表的な薬で、吸虫にも有効である。

線虫には効かないため、線虫用の薬(ミルベマイシンなど)と組み合わせた配合剤としてよく使われる。

ニトロスカネートは、回虫・鉤虫・条虫など、複数の種類の虫に広く効く広域の駆虫薬である。

このように、『線虫中心で広いベンズイミダゾール系』『条虫にプラジクアンテル』『広範囲のニトロスカネート』と、対象とする虫の違いを押さえる。

実際の製品は、線虫用と条虫用を組み合わせて、1錠で幅広い虫をカバーできるようにした配合剤が多い。

4抗原虫薬(スルファジメトキシンなど)

原虫(コクシジウムなど)には、これまでの駆虫薬ではなく抗原虫薬を使う。コクシジウム症にはスルファジメトキシン(サルファ剤)などが用いられる。線虫・条虫の薬とは対象が違う点に注意。

コクシジウム・ジアルジアなどの原虫は、線虫や条虫とは別の仲間(単細胞の寄生虫)であり、線虫・条虫用の駆虫薬は効かない。

原虫には『抗原虫薬』を使う。

代表的なものとして、コクシジウム症の治療にはスルファジメトキシン(サルファ剤の一種)などが用いられる。

(ジアルジアなどにはメトロニダゾールなどが使われることもある。

)ポイントは、『原虫(コクシジウムなど)にはスルファジメトキシンなどの抗原虫薬』であり、線虫・条虫の駆虫薬とは対象が違うということである。

駆虫の前には、便検査などで『どの寄生虫がいるか』を確かめ、その虫に効く薬を選ぶ。

動物看護師は、検便用の検体採取、投薬の介助、再検査の案内などを通じて駆虫を支える。

5駆虫薬の使い分けと看護

駆虫薬は、対象の虫に合わせて選ぶ。マクロライド系=線虫・フィラリア予防、ベンズイミダゾール系=線虫中心に幅広く、プラジクアンテル=条虫、ニトロスカネート=広域、スルファジメトキシン=原虫(コクシジウム)。便検査で虫を特定し、適切な薬と再投与・再検査につなげる。

ここまでの駆虫薬・抗寄生虫薬を、対象の虫で整理する。

マクロライド系(イベルメクチン・ミルベマイシン)=線虫・フィラリア予防(一部外部寄生虫)。

ベンズイミダゾール系(フェンベンダゾール)=回虫・鉤虫・鞭虫などの線虫を中心に幅広く。

プラジクアンテル=条虫(・吸虫)。

ニトロスカネート=回虫・鉤虫・条虫など広範囲。

スルファジメトキシン=原虫(コクシジウム)。

駆虫では、まず便検査などで寄生虫の種類を確かめ、その虫に効く薬を選ぶことが基本である。

また、多くの寄生虫はライフサイクル(卵→幼虫→成虫)があり、1回の投与で卵まで完全には駆除できないことがあるため、決められた間隔で再投与し、再検査で駆除を確認することが大切である。

動物看護師は、検便の検体採取・取り扱い、体重に応じた投薬量の準備や投薬介助、再投与・再検査の時期の飼い主への案内、そして人にもうつる寄生虫(回虫など)の予防の啓発を担う。

『どの虫に、どの薬か』を理解しておくことが、適切な駆虫の支援につながる。

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