骨の詳細(構造・細胞・骨折治癒・比較解剖・ホルモン・関節)

骨はエナメル質に次いで体内で2番目に硬い物質。骨端・骨幹の構造、緻密骨・海綿骨・骨髄、骨芽細胞と破骨細胞、骨折治癒の3期(炎症期→修復期→リモデリング期)、鎖骨の動物種差、PTH・カルシトニン・ビタミンDによるカルシウム調節、関節の構造(軟骨・滑液・靭帯・半月板)までを整理する。

1骨の硬さと基本構造(骨端・骨幹・緻密骨・海綿骨)

骨はエナメル質に次いで体内で2番目に硬い組織。長骨は両端の骨端(関節面に関節軟骨)と中央の骨幹からなる。外側は硬い緻密骨(皮質骨)、内側は海綿骨(スポンジ状)、骨幹中央は骨髄腔(骨髄が入る)。骨の表面は骨膜、骨髄腔の内面は骨内膜で覆われる。

長骨は両端の骨端と中央の骨幹からなり、外側を硬い緻密骨(皮質骨)、内側を海綿骨が占め、骨幹の中央には骨髄が入る骨髄腔がある。表面は骨膜、骨髄腔の内面は骨内膜、骨端の関節面は関節軟骨で覆われる。

骨はカルシウムを主成分とする無機質(ハイドロキシアパタイト)とコラーゲン線維(有機質)が組み合わさった複合材料で、体内でエナメル質に次いで2番目に硬い組織である。

硬さと適度な弾性の両立が骨の特徴で、骨折しにくい構造をもつ。

長骨(大腿骨・上腕骨など)の構造は以下のとおり。

骨端(両端)は関節に接する部分で、表面は関節軟骨で覆われ、内部には海綿骨がある。

成長期には骨端と骨幹の間に骨端軟骨板(成長板)があり、ここで骨が長軸方向に成長する。

骨幹(中央の柄の部分)は外側が緻密骨(皮質骨)という硬く密な骨組織で覆われ、内部に骨髄腔がある。

緻密骨は骨単位(オステオン・ハバース系)という円柱状の構造が規則正しく並んでおり、機械的強度が非常に高い。

海綿骨(スポンジ骨)は細い骨梁(骨小柱)が網目状に絡み合った構造で、軽量化しつつ強度を保ち、その隙間に骨髄が入る。

骨の表面全体は骨膜という線維性の膜で覆われ、血管・神経・骨芽細胞が豊富で骨の修復と成長に重要な役割を果たす。

骨髄腔の内面は骨内膜で覆われ、やはり骨芽細胞や破骨細胞が存在する。

2骨の細胞:骨芽細胞・骨細胞・破骨細胞

骨芽細胞(osteoblast)は骨基質を産生し骨を形成する。骨細胞(osteocyte)は骨基質中に埋め込まれた成熟細胞でカルシウム調節に関わる。破骨細胞(osteoclast)は骨を溶かして吸収する(破壊)。骨形成と骨吸収のバランス=骨リモデリング。

骨には主に3種類の細胞がある。

骨芽細胞(osteoblast)は骨を形成する細胞で、コラーゲンやカルシウムを含む骨基質を産生して骨を作る。

骨膜・骨内膜・骨端軟骨板付近に多く存在する。

骨細胞(osteocyte)は骨芽細胞が骨基質に埋め込まれて成熟した細胞で、骨組織の中の小腔(骨小腔)に存在する。

細い突起で互いにつながり、骨の力学的刺激を感知したりカルシウム代謝の調節に関わる。

破骨細胞(osteoclast)は多核の大きな細胞で、酸と酵素を分泌して骨基質を溶かし吸収する(骨吸収)。

常時行われている骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスを骨リモデリングといい、このバランスが崩れると骨粗鬆症(骨吸収が骨形成を上回る)などが起こる。

副甲状腺ホルモン(PTH)は破骨細胞を活性化して骨吸収を促進しカルシウムを血中に放出させる。

カルシトニンは破骨細胞を抑制して骨吸収を抑える。

3造血:赤色骨髄・黄色骨髄・必要な栄養素

赤色骨髄で血液細胞(赤血球・白血球・血小板)が産生される(造血)。加齢・成熟とともに脂肪に置き換わった黄色骨髄になる。大量出血時などには黄色骨髄が赤色骨髄に戻り造血を増加させる。造血に必要な要素:エリスロポエチン(腎臓から分泌)・ビタミンB12・葉酸・鉄。

骨髄は骨の内部(骨髄腔・海綿骨の隙間)を満たす組織で、赤色骨髄と黄色骨髄がある。

赤色骨髄は造血細胞(造血幹細胞)が豊富で、赤血球・白血球・血小板などすべての血液細胞を産生している(造血)。

黄色骨髄は脂肪細胞に置き換わった骨髄で、造血能は低いが、貧血や大量出血など造血の需要が高まると赤色骨髄に転換して造血を増加させる。

幼若動物では多くの骨の骨髄が赤色だが、成熟とともに末梢の骨は黄色骨髄になり、成熟動物では脊椎骨・胸骨・腸骨などの扁平骨が主要な造血部位となる。

赤血球産生(赤血球造血)に必要な主要因子は以下のとおり。

エリスロポエチン(EPO):腎臓で産生されるホルモンで、骨髄の造血細胞に働いて赤血球産生を促進する。

慢性腎臓病では腎臓が萎縮してEPOが不足し、非再生性貧血が起こる。

ビタミンB12(コバラミン):DNA合成に必要なビタミンで、不足すると赤血球が成熟できず巨赤芽球性貧血になる。

葉酸:ビタミンB12と協調してDNA合成に関わり、不足でも巨赤芽球性貧血が起こる。

鉄:ヘモグロビン(赤血球の酸素運搬タンパク質)の構成成分(ヘム鉄)。

不足すると小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血)となる。

4骨折の治癒過程:炎症期→修復期→リモデリング期

骨折治癒は3段階。①炎症期(血腫形成)→②修復期(仮骨形成)→③リモデリング期(過剰骨吸収・骨再形成)。

骨折が起きると以下の3段階で治癒が進む。

【第1段階:炎症期(血腫期)】骨折部位の骨・骨膜の血管が損傷し血腫(血の塊)が形成される。

炎症反応(発赤・腫脹・疼痛・発熱)が起こり、炎症性細胞(好中球・マクロファージ)が集まって組織の破壊片を除去する。

【第2段階:修復期(仮骨形成期)】血腫に線維芽細胞・軟骨細胞が侵入し、線維性・軟骨性の仮の組織(軟性仮骨)が形成される。

続いて骨芽細胞が活性化してカルシウムなどの骨基質が沈着し、石灰化した硬い仮骨(硬性仮骨)が形成されて骨折部が架橋される。

この時期にはX線で骨折部周囲の膨らみ(仮骨)が見えてくる。

【第3段階:リモデリング期(再造形期)】過剰に形成された仮骨を破骨細胞が吸収し、骨芽細胞が新たに骨形成して、骨折部が元の骨の形に近づくよう再造形される。

このプロセスに数週間〜数か月かかり、最終的に骨折線が消えて骨が修復される。

適切な固定(ギプス・手術など)が行われないと仮骨が正常に形成されず、偽関節(骨がつかない状態)になる場合がある。

5比較解剖:鎖骨の有無と動物種差

鎖骨の比較:鳥=左右が融合した叉骨(さこつ)として存在。爬虫類(トカゲ等)=ヒトと同様の鎖骨あり。犬=鎖骨なし(痕跡すらない)。猫・ウサギ=皮下に埋もれた痕跡的な小さな鎖骨あり。

鎖骨(clavicle)は前肢を体幹につなぐ骨で、動物種によって有無・形態が大きく異なる。

鳥類では左右の鎖骨が癒合して「叉骨(さこつ・フォークボーン)」を形成しており、飛翔時に翼を動かす際の筋肉の付着部となる。

爬虫類(トカゲなど)はヒトと同様の形の鎖骨をもつ。

イヌ(犬)は鎖骨をまったくもたない(発生学的な痕跡もない)。

これにより前肢の可動範囲が広く、速く走るための適応と考えられる。

ネコ(猫)とウサギは皮下筋肉内に埋もれた小さな痕跡的な鎖骨があるが、他の骨と関節を形成せず機能的な役割はほとんどない。

これらの違いは比較解剖学の出題頻度が高いため、動物種と特徴をセットで覚えておく。

6カルシウム調節ホルモン:PTH・カルシトニン・ビタミンD

PTH(副甲状腺ホルモン/パラソルモン):血中Ca↑(骨吸収促進・腎でのCa再吸収促進)。カルシトニン(甲状腺C細胞):血中Ca↓(骨吸収抑制)。ビタミンD:腸管でのCa・リン吸収促進→骨へのカルシウム沈着を促進。

血中のカルシウム(Ca)は主に3つのホルモン・ビタミンで調節されている。

副甲状腺ホルモン(PTH・パラソルモン)は上皮小体(副甲状腺)から分泌され、血中カルシウムを上げる方向に働く。

具体的には①破骨細胞を活性化して骨を吸収させCaを血中に溶出、②腎臓でのCa再吸収を促進して尿からの損失を抑制、③腎臓でのビタミンD活性化を促進する。

カルシトニンは甲状腺のC細胞(傍濾胞細胞)から分泌され、血中カルシウムを下げる方向に働く。

具体的には破骨細胞の活性を抑制して骨吸収を減らし、Caが血中から骨に戻るよう促す。

PTHとカルシトニンが拮抗して血中Caを一定の狭い範囲(正常範囲)に保つ。

ビタミンD(活性型1,25-ジヒドロキシビタミンD)は小腸での食事からのカルシウムとリン(リン酸)の吸収を促進する。

さらに骨へのカルシウム沈着(骨石灰化)も促進し、骨形成を助ける。

ビタミンD不足では腸からのCa吸収が減り、骨の石灰化が不十分になる(骨軟化症・くる病)。

7関節の構造:軟骨・滑液・靭帯・半月板・骨膜

関節は骨端面を覆う関節軟骨・関節腔を満たす滑液(摩擦を減らす)・関節包・靭帯(骨と骨をつなぐ)・骨膜で構成される。関節軟骨に血管・神経はない(栄養は滑液から)。膝関節には半月板(線維軟骨製のクッション)がある。

関節は2つ以上の骨が連結して動く部位で、以下の構造からなる。

関節軟骨は骨端面を覆う弾力性のある軟骨(硝子軟骨)で、骨同士の摩擦を減らし衝撃を吸収する。

重要なポイントとして、関節軟骨には血管も神経も存在しない。

栄養は関節腔の滑液(関節液)から拡散によって供給される。

このため軟骨の自己修復力は非常に低い。

滑液(関節液・シノビア)は関節包の内面を覆う滑膜(シノビア膜)から分泌される粘稠な液体で、潤滑油として摩擦を減らし、関節軟骨に栄養を届ける。

関節包(関節嚢)は関節全体を包む袋状の線維性の膜で、外側の線維膜と内側の滑膜の2層からなる。

靭帯(リガメント)は骨と骨を連結する強靭な線維性結合組織で、関節の安定性を保ち過剰な動きを防ぐ。

前十字靭帯・後十字靭帯(膝)が有名。

半月板(meniscus)は膝関節(膝蓋骨・大腿骨・脛骨の複合関節)の内・外側にある三日月形の線維軟骨製のクッションで、関節面への荷重を分散させる。

イヌで前十字靭帯断裂と並んで重要。

骨膜は骨の表面を覆う膜で、関節包との境界に存在し骨の栄養・修復に関わる。

理解できたら腕試し!
このテーマの確認テスト