鳥類の生理と解剖(体温・呼吸・消化)

イヌ・ネコとは大きく異なる鳥類のからだのしくみを学ぶ。体温が40〜42度と高く、過度に上がると心筋が傷んで死ぬこと、哺乳類と違って赤血球に核とミトコンドリアをもつこと、大きな胸の筋肉をふるわせて熱をつくること、尾の付け根の尾脂腺から脂を出して羽の手入れをすること、代表的な動物の染色体数、横隔膜をもたず気嚢で効率よく呼吸すること、そして食物を一時ためる嗉嚢・胃酸で化学的に消化する腺胃・砂や小石で物理的にすりつぶす筋胃(砂嚢)、総排泄腔から尿酸として排泄することを、文章と確認問題で理解する。

1鳥の体温と赤血球

鳥の体温は40〜42度と、ほ乳類より高い。代謝が高く活発に飛ぶために高い体温を保つが、上がりすぎ(およそ44度以上)ると心筋が変性して死に至ることもある。鳥の赤血球は、哺乳類と違って核とミトコンドリア(エネルギー工場)をもつため、赤血球自身がエネルギーを作れ、高い代謝・体温を支えている。

鳥類は体温が40〜42℃とほ乳類(38〜39℃)より高く、44℃以上になると心筋が変性して死に至ることもある。鳥の赤血球は核とミトコンドリアをもち、自分でエネルギーを作って高い代謝と体温を支える。

鳥類の体温は、およそ40〜42度と、ほ乳類(イヌ・ネコで38〜39度ほど)よりかなり高い。

これは、鳥が活発に飛ぶために代謝が高く、つねに多くの熱を作り出しているためである。

ただし、体温が高すぎる方向に傾くのには弱く、およそ44度以上になると心臓の筋肉(心筋)が変性して、死に至ることもある。

鳥の赤血球は、哺乳類の赤血球と大きく異なる。

哺乳類の成熟した赤血球は核もミトコンドリアももたないが、鳥類の赤血球は核をもち、さらにエネルギーを作る工場であるミトコンドリアをもっている。

そのため鳥の赤血球は、自分自身でエネルギーを作り出すことができ、これも鳥の高い代謝と高い体温を支える一因になっている。

(冬の寒い時期でも、こうした高い代謝のしくみによって体温を高く保つことができる。

2体温を高める仕組み(胸筋のふるえ)

鳥は、飛ぶための大きな胸の筋肉(胸筋)をこまかくふるわせる(シバリング)ことで熱を発生させ、体温を高める。羽毛は熱を逃がさない断熱材になる。逆に、肺につながる気嚢(後で学ぶ)は体内の熱を逃がして体温を下げる役割もある。

鳥は、自分で熱を作って体温を高く保つしくみをもっている。

とくに、翼を動かすための大きな胸の筋肉(胸筋)をこまかく震わせる(ふるえ=シバリング)ことで、筋肉の運動による熱を発生させ、体温を上げる。

寒いときに羽をふくらませるのは、羽毛の間に空気の層を作って熱を逃がさないようにする(断熱する)ためである。

一方で、鳥は汗をかかないため、体温を下げるしくみも必要である。

肺につながる袋である気嚢は、呼吸で取り込んだ空気を通すことで体内にこもった熱を逃がし、体温を下げる(放熱する)役割ももっている。

このように、胸筋のふるえで熱を作り、羽毛で熱を保ち、気嚢などで熱を逃がして、鳥は高い体温を調節している。

3尾脂腺(羽の手入れ)

尾脂腺(びしせん)は、尾の付け根にある分泌腺で、脂(あぶら)を分泌する。鳥はこの脂をくちばしにつけて羽づくろい(preening)をし、羽毛にぬり広げる。これにより羽に防水性をもたせ、羽を保護する。鳥が水をはじけるのは、この尾脂腺の脂のおかげである。

尾脂腺(びしせん、尾腺)は、鳥の尾の付け根あたりにある分泌腺である。

ここからは脂(あぶら)が分泌される。

鳥は、くちばしでこの脂をとり、羽づくろい(preening:プリーニング、毛づくろい)をして羽毛全体にぬり広げる。

脂をぬられた羽毛は水をはじくようになり(防水性)、羽が水でぬれて重くなったり傷んだりするのを防ぐ。

水鳥が水にぬれてもすぐにはじいて乾くのは、この尾脂腺の脂を羽にぬっているためである。

尾脂腺は羽の健康を保つうえで大切な器官で、羽づくろいは鳥の重要な日課である。

4いろいろな動物の染色体数

動物の染色体数(2n)は種によって決まっている。ニワトリ78、イヌ78、ネコ38、ヒト46、ウサギ44、モルモット64、ハト(カワラバト)80など。数の大小は体の大きさや高等さとは関係しない(ニワトリとイヌが同じ78、ヒトは46)。

染色体の数(体細胞の2n=2倍体の数)は、動物の種ごとに決まっている。

代表的な動物の染色体数(2n)は、次のとおりである。

ニワトリ78、イヌ78、ネコ38、ヒト46、ウサギ44、モルモット64、ハト(カワラバト)80。

染色体の数は、体の大きさや『高等さ』とは関係しない点に注意したい。

たとえば、ニワトリとイヌはどちらも78本で同じであり、ヒトの46本よりも多い。

国家試験などでは、ニワトリ78・イヌ78・ネコ38・ヒト46といった代表値を問われることがあるため、組み合わせで覚えておくとよい。

5呼吸 ― 横隔膜がなく気嚢で呼吸

鳥には、ほ乳類にあるような横隔膜がない。そのかわり、肺の前後につながる多数の袋(気嚢)をもち、息を吸うときも吐くときも肺に新鮮な空気が流れる効率のよい呼吸を行う。気嚢は呼吸の効率化のほか、体を軽くする・熱を逃がすはたらきももつ。

鳥の呼吸は、ほ乳類とは大きく異なる。

ほ乳類は、胸とお腹を仕切る筋肉の膜である横隔膜を上下させて肺をふくらませたりしぼませたりするが、鳥には横隔膜がない。

そのかわり鳥は、肺に加えて、肺の前後につながる多数の袋である気嚢(きのう)をもっている。

気嚢に空気をためて押し出すことで、息を吸うときだけでなく吐くときにも、肺に新鮮な空気を一方向に流すことができる。

このしくみにより、鳥は酸素をとても効率よく取り込むことができ、激しく飛ぶときの大量の酸素需要にこたえている。

気嚢は、ほかにも体を軽くして飛びやすくする、体内の熱を逃がして体温を調節する、といった役割ももっている。

6消化 ― 嗉嚢・腺胃・筋胃(砂嚢)と尿酸排泄

鳥は歯をもたない。食べた物はまず嗉嚢(そのう)に一時的にためられる(雛では嗉嚢炎を起こしやすく、カンジダ(真菌)やトリコモナス(原虫)などが原因になる)。胃は2つあり、腺胃(前胃)が強い胃酸(pH約0.7〜2.3)と消化酵素で化学的に消化し、筋胃(砂嚢・砂ぎも)が飲み込んだ砂や小石を使って歯のかわりに物理的にすりつぶす。老廃物は総排泄腔から尿酸として排泄する。

鳥は歯をもたないため、消化のしくみもほ乳類と異なる。

食べた物は、まず食道のとちゅうにある袋状の嗉嚢(そのう)に一時的にためられ、やわらかくふやかされる。

嗉嚢は、とくに雛(ひな)で炎症(嗉嚢炎)を起こしやすく、カンジダなどの真菌や、トリコモナスなどの原虫が原因になることがある。

鳥の胃は、はたらきの違う2つの部分に分かれている。

前半の腺胃(せんい、前胃)は、強い胃酸(pHはおよそ0.7〜2.3)と消化酵素を出して、食物を化学的に消化する。

後半の筋胃(きんい、砂嚢・砂ぎも)は、発達した厚い筋肉でできており、鳥が飲み込んだ砂や小石を内部にためて、歯のかわりに食物を物理的にすりつぶす。

こうして消化された後、消化管・尿管・生殖管は最後に総排泄腔(そうはいせつくう)という共通の出口に集まる。

鳥は、体の中の窒素の老廃物を、水にとけにくい尿酸として総排泄腔から排泄する(白っぽいのが尿酸である)。

これは水分を節約できる排泄のしかたである。

理解できたら腕試し!
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