動物と社会(実験動物・展示動物・動物介在・看護師の対象)

動物が人の社会でどう関わり、どう守られているかを学ぶ。動物実験で守るべき3Rの原則(1959年にイギリスのラッセルとバーチが提唱。代替・削減・改善)と、それに責任を加えた4Rの考え方。動物園・水族館の展示の工夫(形態展示・生態展示・行動展示)と、飼育動物の幸福のための環境エンリッチメント。動物の力を活かす動物介在活動(AAA)・動物介在療法(AAT)・動物介在教育(AAE)の違い。そして愛玩動物看護師法が対象とする動物が犬・猫・愛玩鳥であることを、文章と確認問題で理解する。

1実験動物と3Rの原則

動物実験で国際的に守るべき原則が3R。1959年にイギリスのラッセル(Russell)とバーチ(Burch)が『人道的な実験技術の原則』で提唱した。Replacement(代替=動物を使わない方法へ)、Reduction(削減=使う数を減らす)、Refinement(改善=苦痛を軽減)の3つの頭文字Rで覚える。

動物実験の3Rの原則(1959年 ラッセル&バーチが提唱)。Replacement(代替)=動物を使わない方法へ、Reduction(削減)=使う動物の数を減らす、Refinement(改善)=麻酔・鎮痛や飼育の工夫で苦痛を軽減。さらに Responsibility(責任)を加えて4Rとする考え方もある。

動物実験は、医療や薬の開発などに役立つ一方で、動物に苦痛をあたえうるため、倫理的なルールが定められている。

その国際的な原則が『3Rの原則』である。

3Rは、1959年にイギリスの研究者ラッセル(Russell)とバーチ(Burch)が、著書『人道的な実験技術の原則(The Principles of Humane Experimental Technique)』のなかで提唱した。

3つのRは、それぞれ次のことを指す。

Replacement(代替)は、動物を使わない方法(細胞や培養、コンピュータシミュレーションなど)に置き換えること。

Reduction(削減)は、実験に使う動物の数をできるだけ少なくすること。

Refinement(改善・洗練)は、麻酔・鎮痛や飼育環境の工夫によって、動物の苦痛をできるかぎり小さくすること。

『代替・削減・改善』の3つのRとして覚えるのが基本である。

24Rと実験動物の管理

3Rに『責任(Responsibility)』を加えて4Rとする考え方もある。実際の動物実験は、各施設の動物実験委員会が計画を審査して、3Rが守られているかをチェックする。また日本では、実験に使われた動物に感謝し慰霊する慰霊祭の習慣がある。

近年は、3Rに『責任(Responsibility)』を加えて4Rとする考え方もある。

これは、動物を使う研究者がその扱いに責任をもち、適切に管理することを強調するものである。

実際の動物実験は、研究者が好きに行ってよいものではない。

各研究機関には動物実験委員会が置かれ、実験の計画があらかじめ審査され、3Rがきちんと守られているか、科学的にも倫理的にも妥当かがチェックされる。

こうした審査を通った計画だけが実施でき、実験中も動物の状態が管理される。

また日本では、研究や教育のために命を使わせてもらった実験動物に対して感謝し、その霊をなぐさめる慰霊祭(慰霊)を行う習慣がある。

動物を使う以上、苦痛を減らし、数を減らし、可能なら使わずに済ませ、そして責任をもって扱うという姿勢が求められる。

3展示動物の展示手法と環境エンリッチメント

動物園・水族館の展示には、姿形を見せる形態展示、自然の生息環境を再現する生態展示、動物本来の動き・能力を引き出して見せる行動展示(旭山動物園で有名)がある。また、飼育動物の幸福(well-being)を高めるため、環境に変化や工夫をくわえる環境エンリッチメントが重要。

動物園や水族館などの展示動物は、ただ見せるだけでなく、見せ方(展示手法)にさまざまな工夫がある。

形態展示は、動物の姿形を見せる最も伝統的な展示で、同じ仲間の動物を並べて種の違いを比べたりする。

生態展示は、その動物が暮らす自然の生息環境(地形や植生など)を再現して、生息地ごと見せるような展示である。

行動展示は、走る・泳ぐ・捕食するといった動物本来の行動や能力を自然に引き出して見せる展示で、北海道の旭山動物園の取り組みで広く知られるようになった。

あわせて大切なのが、環境エンリッチメントである。

環境エンリッチメントは、飼育されている動物の幸福(well-being)を高めるために、えさの与え方・遊具・空間・仲間との関わりなどに変化や工夫をくわえ、退屈やストレスを減らして本来の行動を引き出す取り組みである。

展示の工夫と環境エンリッチメントは、来園者への教育効果と、動物の福祉の両方を高めることにつながる。

4動物介在 ― 活動(AAA)・療法(AAT)・教育(AAE)

動物の力を人に活かす取り組みは3つに分けられる。AAA(動物介在活動)はふれあいなどでQOLや楽しみを高める活動。AAT(動物介在療法)は医療者が治療目標を立てて行う治療。AAE(動物介在教育)は学校などで命の大切さを学ぶ教育。A=活動、T=療法(セラピー)、E=教育(エデュケーション)と区別する。

動物が人にもたらすよい効果を活かす取り組みは、目的によって3つに分けられる。

AAA(動物介在活動:Animal Assisted Activity)は、施設の訪問やふれあいなどを通じて、生活の質(QOL)を高めたり、楽しみや情緒的な安定をもたらしたりする活動である。

専門の医療資格がなくても、ボランティアなどが関わることができる。

AAT(動物介在療法:Animal Assisted Therapy)は、医師・理学療法士などの専門家が、治療の目標を立てて計画的に行う、治療を目的とした取り組みで、体や心の機能の回復を助ける。

AAE(動物介在教育:Animal Assisted Education)は、学校などで、命の大切さや思いやりを学ぶ教育に動物を活かす取り組みである。

『AAA=アクティビティ(活動)、AAT=セラピー(療法)、AAE=エデュケーション(教育)』と頭文字で区別するとよい。

いずれも、関わる動物自身に無理やストレスがかからないよう、動物福祉への十分な配慮が前提となる。

5愛玩動物看護師の対象動物と法律

愛玩動物看護師法で『愛玩動物』とされるのは、犬・猫・愛玩鳥(オウム科・カエデチョウ科・アトリ科の鳥)。種で決まり、目的では決まらない(番犬の犬も含まれ、ペットのブタは含まれない)。ウサギ・カメ・フェレットなどは含まれない。動物の扱いは『動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)』に基づく。

愛玩動物看護師は国家資格で、その業務の対象となる『愛玩動物』は、愛玩動物看護師法で定められている。

対象は、犬・猫と、政令で定める鳥(愛玩鳥)であり、愛玩鳥にはオウム科・カエデチョウ科・アトリ科の鳥が含まれる。

この定義は『動物の種類』で決まり、『飼っている目的』では決まらない点に注意する。

たとえば、番犬や猟犬として飼われている犬も対象に含まれる一方、ペットとしてかわいがっているブタは対象には含まれない。

また、ウサギ・カメ・イグアナ・フェレットなどは、ペットとして飼われていても、この法律上の愛玩動物には含まれない。

(実際の動物病院ではこれらの動物も診療・看護の対象になるが、法律が定める『愛玩動物』の範囲とは別である。

)動物の適正な取り扱いや飼い主の責務などは、『動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)』に基づいて定められている。

理解できたら腕試し!
このテーマの確認テスト