2022年5月、動物看護師は国家資格になった
2022年5月に愛玩動物看護師法が施行され、それまで民間の各団体が独自に認定していた「動物看護師」が、「愛玩動物看護師」という国家資格に生まれ変わった。国家資格化そのものは制度上の大きな転換点で、資格を持つことの意味(できる業務・名乗れる名称)が法律で明確に定められるようになった。
変わったこと①:診療の補助ができるようになった
最大の変化は、獣医師の指示のもとで「診療の補助」の一部を行えるようになったこと。環境省の資料によれば、愛玩動物看護師が行える診療の補助の例として、採血、経口投薬などの投薬、マイクロチップの挿入、カテーテルによる採尿、静脈内輸液などが挙げられている。これらは「診療に伴う衛生上の危害を生じるおそれが少ない行為」として位置づけられており、これに対して診断そのもの、レントゲン撮影・放射線の照射、ワクチン接種のような身体への影響が大きい投薬などは、引き続き獣医師のみが行う業務として区別されている。つまり「何でもできるようになった」わけではなく、リスクの低い診療補助行為に限って、国家資格を持つ人だけが行える業務として法律上切り出された、という整理になる。
変わったこと②:資格が無いと「動物看護師」を名乗れなくなった
愛玩動物看護師法の施行以降、愛玩動物看護師の資格を持たない人は「愛玩動物看護師」はもちろん、紛らわしい「動物看護師」という名称を用いて業務を行うことができなくなった(名称独占)。一方で、診療の補助にあたらない処置・業務(受付や動物の世話、施設の管理など)自体は、引き続き民間資格取得者や無資格者が行うこと自体は可能。「名称」と「診療補助という独占業務」の2つの軸で線引きされている、と理解すると整理しやすい。
今までの民間資格はどうなる?
法施行前から民間資格を持って現場で働いていた「現任者」は、資格が自動的に切り替わるわけではなく、経過措置による講習会の受講・予備試験の合格を経て、国家試験の受験資格を得る必要がある。経過措置には期限(2027年4月末)があり、対象になりそうな人は早めに準備を進めることが重要。詳しくは本サイトの「受験資格・経過措置」の記事を参照。
国家資格を取ることの実務上の意味
国家資格化によって、愛玩動物看護師の専門性・技術が法的に裏付けられ、動物病院側も安心して診療の補助を任せられるようになった。求職・転職の場面でも「愛玩動物看護師の資格を持っているか」は、業務範囲や採用条件に直結する明確な基準になっている。これから動物看護の仕事を目指す人にとっては、民間資格ではなく国家資格としての愛玩動物看護師を取得することが、キャリアの選択肢を広げる前提になっている。